[PR]

 政府は航空自衛隊の主力戦闘機の一つ「F2」の後継機について、米国と共同開発する方向で最終調整に入った。米英2カ国を相手国として検討していたが、同盟関係にある米国との協力が欠かせないと判断した。官民合同の「日米企業協議」(仮称)を設置し、協力内容を詰める方針だ。

 複数の政府関係者が明らかにした。政府は2018年策定の「中期防衛力整備計画」で「国際協力を視野に、我が国主導の開発に早期に着手する」と明記。自国で戦闘機を開発する技術基盤を維持するため、「日本主導」をめざしている。米側との協議で主導権を担保できるかが焦点となる。

 政府関係者によると、協議に参加する国内企業は、三菱重工、IHI、東芝など10社程度。米側にはロッキード・マーチン、ボーイングなど3社の参加を求める。当初は3月末に東京で初会合を開く予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大で延期となった。

 プログラムの設計図にあたるソースコードをはじめ、敵のレーダーに映りにくいステルス能力など、各分野の協力内容を話し合う。夏まで協議を重ねたうえで、年末に共同開発の相手国として米国を正式決定する流れを想定している。

 政府はF2が30年ごろから退役するのを見据え、今年度の当初予算に次期戦闘機の開発費として111億円を盛り込んだ。防衛省内には主導権を握りやすいとみて英国との共同開発を模索する動きがあったが、首相官邸は作戦時に戦闘機同士がやりとりする「相互運用性」も重視して米国を推していた。(相原亮、寺本大蔵)