横浜・中華街の料理店主を射殺し現金を奪った後、東京メトロ渋谷駅の駅員を銃撃し重傷を負わせたなどとして強盗殺人、同未遂などの罪に問われ、二審で死刑とされた無職熊谷徳久被告(70)の上告審判決で最高裁第3小法廷は1日、被告側の上告を棄却した。死刑が確定する。
田原睦夫裁判長は「新規事業のための大金を得たいとの利欲的で身勝手な動機に酌量の余地はなく、人命軽視の態度は強い非難に値する。冷酷、残忍な犯行態様で、公共の場での駅員銃撃も軽視できず、社会に与えた衝撃も大きい」と指摘。
その上で「短期間で犯行を繰り返しており、犯罪傾向は根深く、死刑もやむを得ない」とした。
一審東京地裁判決(2006年4月)は死亡被害者が1人の点を重視し無期懲役としたが、二審東京高裁判決(07年4月)は「死刑を回避するケースではない」と判断が分かれていた。
二審判決によると、熊谷被告は04年5月、横浜市中区の中華料理店経営清水文男さん=当時(77)=の自宅前で清水さんの顔を拳銃で撃って殺害、現金約40万円が入ったバッグを奪った。
翌6月には東京メトロ渋谷駅の地下1階通路で売上金を奪おうと駅員の男性を撃って重傷を負わせ、3日後に拳銃を持って警視庁本部に車で乗り付け逮捕された。
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