バラ色素化合物の新規な用途
JPWO2015178385A1
Japan
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本発明は、バラ科植物、特に青系若しくは藤色系のバラ、又はフラボノイド3', 5'-水酸化酵素遺伝子をコードする遺伝子を有するバラ科植物より得られるポリフェノール化合物を有効成分として含有するヒアルロニダーゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、エラスターゼ阻害剤、MMP−1産生抑制剤、コラーゲン合成促進剤、皮膚外用剤、皮膚化粧料、及び医薬部外品に関する。本発明は、特に、ロザシアニン類化合物又はロザデルフィン類化合物を有効成分として含有するヒアルロニダーゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、エラスターゼ阻害剤、MMP−1産生抑制剤、コラーゲン合成促進剤、皮膚外用剤、皮膚化粧料及び医薬部外品に関する。
加齢やストレスなどの影響により、皮膚の新陳代謝や皮脂腺機能が衰えると、皮膚は刺激を受けやすい状態になる。この結果、たとえば、乾燥によりかゆくなりやすいという症状を呈する。また、紫外線の影響により皮膚の線維成分が萎縮すると、しわができる等の症状も呈する。
皮膚のしわ形成や皮膚の弾力性低下等の老化の原因としては、コラーゲン、エラスチン等の真皮マトリックスの線維減少、変性や退縮などの種々の原因が考えられる。
皮膚の真皮・表皮は、表皮細胞、線維芽細胞及びこれらの細胞の外にあって皮膚構造を支持するエラスチン、コラーゲン等の細胞外マトリックスを含む皮膚組織によって構成されている。若い皮膚においてはこれらの皮膚組織の相互作用が恒常性を保つことにより水分保持、柔軟性、弾力性等が確保され、肌は外見的にも張りや艶があってみずみずしい状態に維持される。ところが、紫外線、空気の著しい乾燥、過度の皮膚洗浄、ストレス等の外的因子や加齢の影響により、細胞外マトリックスの主要構成成分であるエラスチンは分解・変質を引き起こし、またコラーゲンは産生量が減少すると共に架橋による弾性低下を起こす。その結果、皮膚は保湿機能や弾力性が低下し、角質は異常剥離を始めるから、肌は張りや艶を失い、荒れ、しわ、くすみ等の症状を呈するようになる。
バラ科植物は非常に種類が多く、中でもバラ科バラ属に分類されており花卉として利用されているバラは、その品種数は3000種とも言われ、その多くが交配などで作出された園芸品種である。この交配した園芸品種は、大きな分類としてオールドガーデンローズとモダンローズの2種類に分類される(特許文献1)。
バラの色素は詳細に調べられている。例えば、アントシアニン系色素としては、シアニジン3,5-ジグルコシド、ペラルゴニジン3,5-ジグルコシド、シアニジン3-グルコシド、ペラルゴニジン3-グルコシド、ペオニジン3,5-ジグルコシド、ペオニジン3-グルコシドが知られている。また、黄色を呈する多くのカロテノイド化合物も知られている。これらの色素が花弁に同時に蓄積されて赤色〜黄色を呈する。
藤色系バラ品種「マダムビオレ」には、青色色素化合物であるロザシアニン類(化合物I〜III)が含まれていることが知られている(特許文献2)。さらに、バラ品種「アプローズ(登録商標)」(または「サントリーブルーローズアプローズ(商標)」)には、ロザデルフィン類(化合物IV〜VI)が含まれていることが知られている(特許文献3)。当該化合物の構造や、色調および各種スペクトルデータは明らかになっているが、生理活性や機能性についてはまだ明らかになっていない。
バラ科植物の成分の作用としては、抗アレルギー作用、美白作用(メラニン産生抑制作用、チロシナーゼ活性阻害作用)、保湿作用、抗酸化作用などが報告されている。特許文献(特許文献4)には、ムコ多糖断片化抑制剤として、バラおよびナニワイバラ等の抽出物が有効であることが記載されている。特許文献(特許文献5)には、敏感肌用の化粧料として、バラ科のエッセンスが有効であることが記載されている。特許文献(特許文献6)には、美白用皮膚外用剤としてRosa Centifoliaの抽出物が有効であることが記載されている。このようなバラ科植物由来成分の効果に着目し、ロサ・センチフォリア(Rosa Centifolia)、ロサ・ダマスケナ(Rosa Damascena)、ロサ・ガリカ(Rosa Gallica)などのオールドガーデンローズ(別名セイヨウバラ)と呼ばれるバラの抽出物や花弁が、化粧品などの皮膚外溶剤や浴用剤、飲食品の香料などに利用されてきた。しかし、これら花卉以外の用途に用いられてきた品種のバラは、いずれも前述のロザシアニン類やロザデルフィン類を含んでいない。
本発明は、バラ科の植物より抽出して得られるタンニンなどのポリフェノール化合物を有効成分とするヒアルロニダーゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、エラスターゼ阻害剤、MMP−1産生抑制剤、及びコラーゲン合成促進剤、並びに該色素化合物を含む皮膚外用剤、皮膚化粧料及び医薬部外品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、藤色系バラ花弁から見出された色素であるロザシアニン類や、フラボノイド3', 5'-水酸化酵素遺伝子(3', 5'-ヒドロキシラーゼ)を有するバラにおいて合成される色素であるロザデルフィン類が、強いヒアルロニダーゼ阻害活性、コラゲナーゼ阻害活性、エラスターゼ阻害活性、MMP−1産生抑制活性、及びコラーゲン合成促進活性を示すことを見出した。さらに、ロザシアニン類やロザデルフィン類を含むバラ科の植物の抽出物は、ロザシアニン類やロザデルフィン類を含まない従来のバラ科の植物の抽出物と比較して、強いヒアルロニダーゼ阻害活性、コラゲナーゼ阻害活性、及びエラスターゼ阻害活性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のものに関する。
[1] 以下:
下記一般式(I)
{但し、基(a)においてグルコースの1位の水酸基の配位(波線)はα体とβ体の互変異性であることを示す。}
または、下記の基(b):
であり、そして
R2は−OHである〕
により表されるロザシアニン類化合物;および
下記一般式(II)
{式中、R1は、下記の基(a):
{但し、基(a)においてグルコースの1位の水酸基の配位(波線)はα体とβ体の互変異性であることを示す。}であり、かつ、R2は−OHであるか、又はR1とR2は一緒になって−O−を形成するか、又はR1は、下記の基(b):
であり、かつ、R2は−OHである。}で表されるロザデルフィン類化合物
からなる群より選択される一以上の化合物を有効成分として含有する、ヒアルロニダーゼ阻害剤。
[2] 以下:
下記一般式(I)
〔式中、R1及びR2は一緒になって−O−を形成するか;あるいは、R1は、下記の基(a):
{但し、基(a)においてグルコースの1位の水酸基の配位(波線)はα体とβ体の互変異性であることを示す。}
または、下記の基(b):
であり、そして
R2は−OHである〕
により表されるロザシアニン類化合物;および
下記一般式(II)
{式中、R1は、下記の基(a):
{但し、基(a)においてグルコースの1位の水酸基の配位(波線)はα体とβ体の互変異性であることを示す。}であり、かつ、R2は−OHであるか、又はR1とR2は一緒になって−O−を形成するか、又はR1は、下記の基(b):
であり、かつ、R2は−OHである。}で表されるロザデルフィン類化合物
からなる群より選択される一以上の化合物を有効成分として含有する、コラゲナーゼ阻害剤。
[3] 以下:
下記一般式(I)
〔式中、R1及びR2は一緒になって−O−を形成するか;あるいは、R1は、下記の基(a):
{但し、基(a)においてグルコースの1位の水酸基の配位(波線)はα体とβ体の互変異性であることを示す。}
または、下記の基(b):
であり、そして
R2は−OHである〕
により表されるロザシアニン類化合物;および
下記一般式(II)
{式中、R1は、下記の基(a):
{但し、基(a)においてグルコースの1位の水酸基の配位(波線)はα体とβ体の互変異性であることを示す。}であり、かつ、R2は−OHであるか、又はR1とR2は一緒になって−O−を形成するか、又はR1は、下記の基(b):
であり、かつ、R2は−OHである。}で表されるロザデルフィン類化合物からなる群より選択される一以上の化合物を有効成分として含有する、エラスターゼ阻害剤。
[4] 前記ロザシアニン類化合物が、以下:
下記式で表されるロザシアニンA1
下記式で表されるロザシアニンA2、
[5] 前記ロザシアニン類化合物を含むバラ科の植物の抽出物を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載のヒアルロニダーゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、又はエラスターゼ阻害剤。
[6] 前記ロザシアニン類化合物を含むバラ科の植物がマダムビオレ、パープルレイン、ラバンデ、マンハッタンブルー、シャンテリーレース、ブルームーン、タソガレ、シャルルドゴール、バイオレットドリー、ブルーリボン、アオゾラ、レディエックス、ブルーバユー、及びスターリングシルバーからなる群より選択される一以上のバラ科の植物である、[5]に記載のヒアルロニダーゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、又はエラスターゼ阻害剤。
[7] 前記ロザデルフィン類化合物が、以下:
下記式で表されるロザデルフィンA1
下記式で表されるロザデルフィンA2、
[8] 前記ロザデルフィン類化合物を含むバラ科の植物の抽出物を含む、[1]〜[7]のいずれかに記載のヒアルロニダーゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、又はエラスターゼ阻害剤。
[9] 前記ロザデルフィン類化合物を含むバラ科の植物が、フラボノイド3', 5'-水酸化酵素遺伝子を有するバラ科の植物である、[8]に記載のヒアルロニダーゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、又はエラスターゼ阻害剤。
[10] 前記ロザデルフィン類化合物を含むバラ科の植物が、アプローズ(登録商標)である、[9]に記載のヒアルロニダーゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、又はエラスターゼ阻害剤。
[11] 前記ロザデルフィン類化合物を含むバラ科の植物が、サントリーブルーローズアプローズ(商標)である、[9]に記載のヒアルロニダーゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、又はエラスターゼ阻害剤。
[12] [1]〜[11]のいずれかに記載のヒアルロニダーゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、又はエラスターゼ阻害剤を含む皮膚外用剤。
[13] [1]〜[11]のいずれかに記載のヒアルロニダーゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、又はエラスターゼ阻害剤を含む皮膚化粧料。
[14] [1]〜[11]のいずれかに記載のヒアルロニダーゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、又はエラスターゼ阻害剤を含む医薬部外品。
[15] [1]〜[4]及び[7]のいずれか一項で定義されたロザシアニン類化合物及びロザデルフィン類化合物からなる群より選択される一以上の化合物、又は[5]、[6]及び[8]〜[11]のいずれか一項で定義された抽出物を有効成分として含む、皮膚外用剤。
[16] [1]〜[4]及び[7]のいずれか一項で定義されたロザシアニン類化合物及びロザデルフィン類化合物からなる群より選択される一以上の化合物、又は[5]、[6]及び[8]〜[11]のいずれか一項で定義された抽出物を有効成分として含む、皮膚化粧料。
[17] [1]〜[4]及び[7]のいずれか一項で定義されたロザシアニン類化合物及びロザデルフィン類化合物からなる群より選択される一以上の化合物、又は[5]、[6]及び[8]〜[11]のいずれか一項で定義された抽出物を有効成分として含む、医薬部外品。
[18] [1]〜[4]及び[7]のいずれか一項で定義されたロザシアニン類化合物及びロザデルフィン類化合物からなる群より選択される一以上の化合物、又は[5]、[6]及び[8]〜[11]のいずれか一項で定義された抽出物を有効成分として含む、MMP−1産生抑制剤。
[19] [1]〜[4]及び[7]のいずれか一項で定義されたロザシアニン類化合物及びロザデルフィン類化合物からなる群より選択される一以上の化合物、又は[5]、[6]及び[8]〜[11]のいずれか一項で定義された抽出物を有効成分として含む、コラーゲン合成促進剤。
本発明は、藤色系又は青系のバラ科の植物に存在する色素化合物ロザシアニン類(化合物I〜III)、及びフラボノイド3', 5'-水酸化酵素遺伝子(3', 5'-ヒドロキシラーゼ)を有するバラ科の植物に存在する色素化合物ロザデルフィン類(化合物IV〜VI)の新規な用途を提供する。上記のバラ科の植物から得られた抽出物、該抽出物の色素含有分画物、並びに精製したロザシアニン類(化合物I〜III)及びロザデルフィン類(化合物IV〜VI)は、驚くべきことに、従来知られていたバラ科植物の抽出物、及び抽出物に含まれるタンニン類と比較して、約4倍のヒアルロニダーゼ阻害活性、ポリフェノール量あたりでは約2倍のコラゲナーゼ阻害活性を示し、エラスターゼ阻害活性においては、ロザシアニンA1とロザデルフィンA1は強い活性を示したが、テリマグランジン1(TG1)は殆ど活性を示さなかった。すなわち、本発明は、優れた活性を有するヒアルロニダーゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、及びエラスターゼ阻害剤を提供する。また、当該抽出物、分画物、ロザシアニン類化合物、及びロザデルフィン類化合物は、優れたMMP−1産生抑制効果及びコラーゲン合成促進効果(特にI型コラーゲン合成の促進)も発揮し、MMP−1産生抑制剤及びコラーゲン合成促進剤を提供することもできる。
本発明はまた、上記色素化合物を含む皮膚外用剤、皮膚化粧料、及び医薬部外品を提供する。本発明の皮膚外用剤、皮膚化粧料、及び医薬部外品は、上記色素化合物を有効成分として含むことにより、皮膚組織の水分保持、ならびに柔軟性および弾力性の維持改善に寄与するため、皮膚の乾燥、しわ、及びたるみの防止及び改善のために有効である。化粧品等に配合できる原料の量は、安定性のため限られているが、本発明の皮膚外用剤、皮膚化粧料、及び医薬部外品に用いる色素化合物は、皮膚外用剤、皮膚化粧料、又は医薬部外品に配合可能な用量で、高い有効性が得られる。
これまでの研究により、ロザシアニン類、及びロザデルフィン類の構造式については明らかにされていたが、これらの色素のバラ植物以外を対象とした生理的機能については全く知られていなかった。本発明により、これらの色素化合物群の機能性が新たに見出されたことで、皮膚の乾燥、しわ、及びたるみの防止及び改善のために用いて、人々のQOL向上に貢献することができる。
本発明は、ロザシアニン類化合物又はロザデルフィン類化合物を有効成分として含有するヒアルロニダーゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、エラスターゼ阻害剤、MMP−1産生抑制剤、コラーゲン合成促進剤、皮膚外用剤、皮膚化粧料、及び医薬部外品に関する。
(ロザシアニン類化合物)
ロザシアニン類化合物は、上述した構造を有する化合物であれば、いずれを用いてもよいが、特にロザシアニンA1、ロザシアニンA2、及びロザシアニンBからなる群より選択される1以上の化合物を好適に用いることができる。
ロザシアニン類化合物は、青系又は藤色系の色調を呈するバラ科の植物、たとえばマダムビオレ、パープルレイン、ラバンデ、マンハッタンブルー、シャンテリーレース、ブルームーン、タソガレ、シャルルドゴール、バイオレットドリー、ブルーリボン、アオゾラ、レディエックス、ブルーバユー、及びスターリングシルバー等の品種のバラから、たとえば特開2002-201372に開示されている方法により抽出することができる。
(ロザデルフィン類化合物)
ロザデルフィン類化合物は、上述した構造を有する化合物であれば、いずれを用いてもよいが、特にロザデルフィンA1、ロザデルフィンA2、及びロザデルフィンBからなる群より選択される1以上の化合物を好適に用いることができる。
ロザデルフィン類化合物は、野生種のバラには存在せず、フラボノイド3', 5' -水酸化酵素遺伝子を遺伝子組換え等の手法で導入したバラや、遺伝子組換えバラを親として得られるフラボノイド3', 5' -水酸化酵素遺伝子を有するバラにおいて青色色素であるデルフィニジンが合成され、これにガレートやテリマグランジン類が結合して生成する化合物である。
ロザデルフィン類化合物は、フラボノイド3', 5' -水酸化酵素遺伝子を遺伝子組換え等の手法で導入したバラや、遺伝子組換えバラを親として得られるフラボノイド3', 5' -水酸化酵素遺伝子を有するバラから、たとえばWO2010/110382に開示された方法によって抽出することができる。
(ロザシアニン類化合物又はロザデルフィン類化合物を含むバラ科の植物の抽出物)
本発明は、一態様として、ロザシアニン類化合物又はロザデルフィン類化合物を含むバラ科の植物の抽出物を含むヒアルロニダーゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、エラスターゼ阻害剤、MMP−1産生抑制剤、コラーゲン合成促進剤、皮膚外用剤、皮膚化粧料、及び医薬部外品に関する。これらは、ロザシアニン類化合物やロザデルフィン類化合物と当該抽出物を含んでもよい。ロザシアニン類化合物は、好ましくはロザシアニンA1、ロザシアニンA2、及びロザシアニンBからなる群より選択される一以上の化合物である。また、ロザデルフィン類化合物は、ロザデルフィンA1、ロザデルフィンA2、及びロザデルフィンBからなる群より選択される一以上の化合物である。好ましい態様において、当該抽出物は、ロザデルフィンA1、ロザデルフィンA2、及びロザデルフィンBを全て含む。
本発明に用いるロザシアニン類化合物を含むバラ科の植物の抽出物は、青系又は藤色系の色調を呈するバラ科の植物、たとえばマダムビオレ、パープルレイン、ラバンデ、マンハッタンブルー、シャンテリーレース、ブルームーン、タソガレ、シャルルドゴール、バイオレットドリー、ブルーリボン、アオゾラ、レディエックス、ブルーバユー、及びスターリングシルバー等の品種のバラ科の植物から、当業者に周知の方法で得ることができる。
また、本発明に用いるロザデルフィン類化合物を含むバラ科の植物の抽出物は、フラボノイド3', 5' -水酸化酵素遺伝子を遺伝子組換え等の手法で導入したバラや、遺伝子組換えバラを親として得られるフラボノイド3', 5' -水酸化酵素遺伝子を有するバラ、たとえばアプローズ(登録商標)等の品種のバラ科の植物から、当業者に周知の方法で得ることができる。なお、「アプローズ(登録商標)」は「サントリーブルーローズアプローズ(商標)」と同じ品種を指し、これはサントリーフラワーズ株式会社(日本国、東京都)より入手することができる。
ロザシアニン類化合物又はロザデルフィン類化合物を含むバラ科の植物の抽出物は、具体的には、実施例に示される方法で得ることができるが、たとえば以下の方法で得ることができる。
本発明に用いる抽出物を得るためには、上記のバラの花弁の部分を用いることが好ましいが、花弁のほかにガクや花粉が含まれても構わない。上記のバラの花部分の抽出物を本発明に用いることもできる。茎から切り取ったままの状態の花又は花弁をそのまま抽出に用いてもよいし、凍結された状態の花又は花弁を用いてもよいし、乾燥された状態の花又は花弁を用いてもよい。抽出効率を高めるために花又は花弁を適宜粉砕し、抽出物製造に用いることが好ましい。抽出物の製造方法は特に限定されず、上記のバラの花又は花弁を抽出溶媒中に浸漬する方法、花又は花弁に抽出溶媒を加熱還流させる方法等が挙げられる。
上記の花又は花弁を抽出溶媒中に浸漬して抽出物を製造する場合、抽出溶媒の使用量は特に限定されず、例えば、花又は花弁の湿重量に対して1〜30倍の重量の抽出溶媒を使用することができる。浸漬時間は特に限定されず、例えば0.25〜72時間とすることができる。浸漬温度は特に限定されず、例えば1〜100℃とすることができる。抽出溶媒としては水、低級アルコール、低級アルコール水溶液が好ましい。低級アルコールとしては、炭素数が1〜5である、一価アルコール、二価アルコール、三価アルコールなどを用いることができ、具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、グリセロール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,3-プロパンジオール、ペンチレングリコール等の公知の低級アルコール類を用いることができる。低級アルコールの濃度は限定されず、水溶液全量に対して5〜90重量%の低級アルコールを含むものを使用することができる。特に好ましい抽出溶媒としては、全量に対して5〜90重量%の有機溶媒を含有するエタノール水溶液、またはアセトニトリル水溶液または1,3-ブチレングリコール水溶液が挙げられる。また、色素化合物の分解を防ぐため、酸性条件で抽出することが好ましい。酸性条件は特に限定されず、例えば、pH1〜6、酸としては、化粧品製造に認められている医薬部外品原料規格に記載のクエン酸、塩酸、リン酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、アスコルビン酸、食品添加物の酢酸、硫酸等を用いることが好ましい。
上記バラの花又は花弁に抽出溶媒を加熱還流させる方法により抽出物を製造する場合にも上記と同様の抽出溶媒を用いることができる。
抽出後に、ろ過や遠心分離などの任意の手段により花又は花弁の残渣と抽出物とを分離する。
得られた抽出物は、そのままで、あるいは抽出溶媒を適宜除去した濃縮物として、さらにこれらを希釈した希釈物として、本発明の用途に用いることができる。得られた抽出物の酸を除き、pHを中性に戻すため、ダイヤイオン(商標)HP-20(三菱化学株式会社)やダイヤイオン(商標)HP2MG(三菱化学株式会社)のような吸着樹脂に吸着させて、水洗浄により酸を洗い流し、溶媒で必要な画分を回収することが望ましい。また、得られた抽出物を定法に従って精製した粗精製物又は精製物も、ロザシアニン類化合物又はロザデルフィン類化合物を含むバラ科の植物の抽出物として、本発明の用途に用いることもできる。本発明の抽出物、その濃縮物、希釈物は、液体状の形態で用いてもよく、噴霧乾燥、凍結乾燥、真空乾燥等の方法によって乾燥したものをそのまま、あるいは粉末化、顆粒化した形態で用いてもよい。
抽出物中にロザシアニン類化合物又はロザデルフィン類化合物が含まれることは、実施例に示される方法で確認することができる。
(ヒアルロニダーゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、エラスターゼ阻害剤、MMP−1産生抑制剤、及びコラーゲン合成促進剤)
本発明のヒアルロニダーゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、エラスターゼ阻害剤、MMP−1産生抑制剤、又はコラーゲン合成促進剤は、ロザシアニン類化合物又はロザデルフィン類化合物を含む。また、本発明のヒアルロニダーゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、エラスターゼ阻害剤、MMP−1産生抑制剤、又はコラーゲン合成促進剤は、ロザシアニン類化合物およびロザデルフィン類化合物からなる群より選択される一以上の化合物を含むものであってよい。さらに、ロザシアニン類化合物を含むバラ科の植物の抽出物、ロザデルフィン類化合物を含むバラ科の植物の抽出物、又はこれらの組み合せを、そのまま本発明のヒアルロニダーゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、エラスターゼ阻害剤、MMP−1産生抑制剤、及びコラーゲン合成促進剤として用いてもよい。
本発明のヒアルロニダーゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、エラスターゼ阻害剤、MMP−1産生抑制剤、又はコラーゲン合成促進剤は、ロザシアニン類化合物及びロザデルフィン類化合物、並びにロザシアニン類化合物及びロザデルフィン類化合物を含むバラ科の植物の抽出物の効果を損なわない範囲で、さらに薬理学的に許容可能な担体や添加物を含んで製剤化されたものであってよい。担体の例としては、水、生理食塩水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3ブチレングリコール等が挙げられる。添加物の例としては、ブドウ糖、ショ糖、乳糖、デキストリン、シクロデキストリン等が挙げられる。また、製剤化において一般的に使用される賦形剤、乳化剤、緊張化剤(等張化剤)、緩衝剤、溶解補助剤、防腐剤、安定化剤、抗酸化剤等を適宜配合することもできる。
製剤化された本発明のヒアルロニダーゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、エラスターゼ阻害剤、MMP−1産生抑制剤、又はコラーゲン合成促進剤は、液体状、ペースト状、ゲル状、粉末状、顆粒状等の任意の剤形とすることができる。
本発明のヒアルロニダーゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、エラスターゼ阻害剤、MMP−1産生抑制剤、又はコラーゲン合成促進剤の有効成分であるロザデルフィン類化合物、ロザシアニン類化合物、ロザシアニン類化合物含むバラ科の植物の抽出物、及びロザデルフィン類化合物を含むバラ科の植物の抽出物の含量は、効果面を考慮して任意に決定することができる。
(皮膚外用剤、皮膚化粧料、医薬部外品)
本発明の皮膚外用剤、皮膚化粧料、及び医薬部外品は、ロザシアニン類化合物又はロザデルフィン類化合物を含むことにより、皮膚の乾燥、しわ及びたるみを効果的に防止又は改善することができる。本発明の皮膚外用剤、皮膚化粧料、及び医薬部外品は、ロザシアニン類化合物、ロザデルフィン類化合物、並びにロザシアニン類化合物及びロザデルフィン類化合物の組み合わせからなる群より選択される一以上の化合物を含むものであってよい。さらに、本発明の皮膚外用剤、皮膚化粧料、及び医薬部外品は、ロザシアニン類化合物を含むバラ科の植物の抽出物、ロザデルフィン類化合物を含むバラ科の植物の抽出物、又はこれらの組み合せを含むものであってよい。
本発明の皮膚外用剤、皮膚化粧料、及び医薬部外品には、さらに通常皮膚外用剤、皮膚化粧料、及び医薬部外品に用いられる成分、たとえば水性溶媒、アルコール、油脂類、ロウ類等の担体や、賦形剤、乳化剤、緊張化剤(等張化剤)、緩衝剤、希釈剤、溶解補助剤、防腐剤、安定化剤、抗酸化剤等の添加剤を適宜配合することができる。
本発明の皮膚外用剤、皮膚化粧料、及び医薬部外品の剤型は、たとえば粉末状、液状、乳液状、ペースト状、クリーム状、ゲル状、ムース状、軟膏状、シート状等の任意の剤型とすることができる。
本発明の皮膚外用剤としては、たとえばパウダー、ローション、乳液剤、クリーム剤、ジェル剤、軟膏、パック剤、固形石鹸、液状石鹸、シャンプー、リンス、入浴剤等の形態のものが挙げられるが、これらに制限されない。
本発明の皮膚化粧料としては、たとえばローション、化粧水、美容液、乳液、美容オイル、美容クリーム、美容ジェル、パック剤、パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、クリームファンデーション、スティックファンデーション、BBクリーム、美容石鹸、ボディーソープ、洗顔料、クレンジングローション、クレンジング乳液、クレンジングクリーム、クレンジングオイル、シャンプー、リンス、トリートメント、ヘアトニック、育毛剤、入浴剤、制汗剤等の形態のものが挙げられるが、これらに制限されない。
医薬部外品とは、特定の効能、効果が認められる製品であって、人体に対する作用が緩和な製品をいう。本発明の医薬部外品としては、薬用化粧品、薬用石鹸、薬用シャンプー、薬用リンス、薬用入浴剤、薬用ベビーパウダー、薬用ベビーローション、薬用育毛剤等の形態のものが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の皮膚外用剤、皮膚化粧料、及び医薬部外品は、ヒアルロニダーゼ阻害効果、コラゲナーゼ阻害効果、エラスターゼ阻害効果、MMP−1産生抑制効果、及びコラーゲン合成促進効果を有するロザシアニン類化合物、ロザデルフィン類化合物、又はこれらの組み合わせを有効成分として含むため、皮膚に潤いをあたえ、皮膚の乾燥、しわ及びたるみ、肌荒れ、ひび、あかぎれを効果的に防止又は改善する機能を有する。したがって、本発明の皮膚化粧料は、乾燥肌、敏感肌、脂性肌等の肌質を防止又は改善し、しわ、たるみ、ほうれい線等の加齢による肌の老化の防止又は改善する効果が期待できる。
本発明のヒアルロニダーゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、エラスターゼ阻害剤、MMP−1産生抑制剤、コラーゲン合成促進剤、皮膚外用剤、皮膚化粧料、及び医薬部外品の有効成分であるロザデルフィン類化合物、ロザシアニン類化合物、ロザシアニン類化合物を含むバラ科の植物の抽出物、及びロザデルフィン類化合物を含むバラ科の植物の抽出物の含量は、効果面を考慮して任意に決定することができる。たとえばヒアルロニダーゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、エラスターゼ阻害剤、MMP−1産生抑制剤、コラーゲン合成促進剤、皮膚外用剤、又は皮膚化粧料中に、ロザデルフィン類化合物、ロザシアニン類化合物、ロザシアニン類化合物を含むバラ科の植物の抽出物、及びロザデルフィン類化合物を含むバラ科の植物の抽出物からなる群より選択される一以上の成分が、あわせて0.000001〜99.9重量%含まれることが好ましく、0.00005〜50重量%含まれることがより好ましく、0.00001〜10重量%含まれることがさらに好ましい。
本発明を以下の実施例により更に詳しく説明するが、これにより本発明の範囲を限定するものではない。当業者は、本発明を種々変更、修飾して使用することが可能であり、これらも本発明の範囲に含まれる。
(ロザシアニン類の単離)
特開2002-201372の方法に従って、バラ品種「マダムビオレ」の花弁から以下:ロザシアニンA1、ロザシアニンA2、及びロザシアニンBのロザシアニン類を得た。
(ロザデルフィン類を含むバラ科の植物の花弁からの抽出物の作製)
-80℃で冷凍されたバラ品種「アプローズ」の花弁110gを、ビニール袋中で木槌を用いて凍結状態のまま粉砕した。70%エタノール1.5 Lを加え、超音波洗浄機を用いて、20分間ソニック下で抽出した。抽出処理後、12.5cmのブフナー漏斗を用い、No.2ろ紙(Toyo Roshi Kaisha,Ltd)を用いて吸引ろ過し、ろ液をロータリーエバポレーターで約1/5の体積まで減圧濃縮し、エタノールを留去した後、凍結乾燥した。乾燥重量8.33g(生花弁からの収率:7.57%)の粉末を得た。
(ロザデルフィン類を含む分画物及びロザデルフィン類化合物の精製)
<材料と方法>
バラ品種「アプローズ」の花弁1100gを、エクセルオートホモジナイザーを用いて液体窒素中で凍結粉砕し、0.5%TFAを含む50%アセトニトリルとなるように5.5Lのアセトニトリル、4.4LのミリQ水、55mlのTFAを混合した溶液(花弁の水分を含めて11L)に加え一晩浸漬した。ハイフロスーパーセル(珪藻土)50gをプレコートした18cmφのブフナー漏斗で吸引濾過(x3回)した濾液をロータリーエバポレーターで連続濃縮し、約1/2以下の体積まで濃縮した。
この濃縮液を水で平衡化した吸着樹脂HP-20(三菱化学株式会社)2.2Lに負荷した。2.2Lの水洗後、一晩置き、さらに4.4Lの水洗(合計3CV)後、6.6Lの0.1%TFAを含む20%アセトニトリルで溶出し、500mlずつ13画分に分けた。1〜4Fraは溶出物がなかったため、水洗液とともに廃棄した。5〜13Fraは減圧濃縮し、凍結乾燥した。さらに、カラムに残った青色色素類は6.6Lの0.1%TFAを含む60%アセトニトリルで溶出し9Fraに分けて、減圧濃縮、凍結乾燥を行った。7〜9Fraは合併した。60%-4画分前後に青色色素(ロザデルフィンA1)を含む画分が溶出した。
60%-4画分および60%-5画分を、以下の分取HPLCで精製した。カラムはDevelosil-ODS-HG(野村化学社製5cmφx 50cm)、移動相はA: 0.5%TFA/水、0.5%TFA/B:50%アセトニトリルを用い、流速:30ml/minで、グラジエント溶出を以下のように行った。B30%(30min保持)、B30→B100%のリニアグラジエント(50min)、B100%を20分間保持した。検出はA260nmで行った。67-82minに溶出した青色色素を含む画分を集め凍結乾燥した。クロマトは60%-4Fra.について6回、60%-5 Fra.について2回繰り返した。
凍結乾燥品を50%アセトニトリルで平衡化したSephadexLH-20カラム(ファルマシア、200mL)に5回に分けて負荷した。50%アセトニトリルで溶出を行い、目視にて青色色素を含む画分を集め、凍結乾燥した。
得られた凍結乾燥品を下記のHPLCで再度分取を行った。
カラムはYMC pack PolymerC18 (ワイエムシー株式会社、2cmφx 30cm)、移動相はA: 0.5%TFA/水、B: 0.5%TFA/ アセトニトリル、流速:6ml/min、以下のグラジエント溶出を行った。B32.5%(30min保持)、B32.5→B45%のリニアグラジエント(50min)、B45%を30分間保持し、検出はPDA検出器で250-650nmのデータを収集し、A260nmおよびA560nmのクロマトグラムによりピークを集めた。80-94minに溶出した青色色素(ロザデルフィンA1)を集め凍結乾燥した。クロマトは計5回繰り返した。
成分の分析は下記のHPLC-TOF-MSで行った。
<HPLC分析条件>
カラム: SHODEX ODP-40-2D (2 mmφ150 mm x. 昭和電工株式会社)
移動相:A: 1% HCOOH/ H2O、B: 0.1% HCOOH/ CH3CN
溶出条件:B conc. 10%→60% (15min), B conc. 60%iso(5min)→10% (1min), B conc. 10%(15min)
カラム温度;40℃
流速:0.2 ml/min
検出波長:PDA(250-600 nm), A270 nm & A560 nm
注入量:3 μl
<MS条件>
MSは、Q-TOF Premier(Micromass社製)でイオン源にZスプレーイオンソースをつけたESIを用い、ポジティブ、Vモードで測定した。ロックスプレーによる質量補正を行い、リファレンスにはロイシンエンケファリン(m/z 556.2771[M+H]+)を用いた。
TOF-detector電圧: 2000 V, Capillary: 2.7KV, Cone: 50V, Source Temp: 150℃、Desolvation Temp: 250℃
理論値として、それぞれ、ロザデルフィンA1は、m/z 1221.1268[M]+、ロザデルフィンBはm/z 435.0352[M]+、ロザデルフィンA2は、m/z 1373.1378[M]+の分子イオンを与え、それぞれの分子式は、C56H37O32、C22H11O10、C63H41O36である。この分子イオンのマスクロマトグラムを元にロザデルフィン類を確認しながら精製した。
<結果>
(1)HP-20カラムの分画物
HP-20カラムの分画物は表1のように、まとめて凍結乾燥した。
60%アセトニトリル溶出物は加水分解性タンニン、青色色素類(デルフィニジンとタンニンの結合物)を主成分としており、60%-3〜5FraはロザデルフィンA1およびA2を含有している。
(2)5cmのODS-HPLCによる分画結果
5回にわけて分取HPLCを行い、ロザデルフィンA1を含む画分と前後の色素画分を集めて凍結乾燥した。11.27gを負荷して、2.49gの色素画分を得た(収率:22.1%)。ロザデルフィンA1を含む画分の収率は5.6%であった。
(3)LH-20カラム分画結果
LH-20による分画は、目視により、フラクションを分けた。サンプルは、ODS-HGカラム分画物で上記(2)で得られた凍結乾燥粉末で、5回に分けて負荷した。また50%アセトニトリルの後80%アセトンで溶出しても永久吸着している紫色成分があったので、カラムより樹脂を取り出して1N-HCl(0.2ml)/EtOH(30ml)で色素を溶出し、回収した。この色素はロザデルフィンBが主成分であった。
5回のクロマトを行い、純度20-70%のロザデルフィンA1を含む画分を得た。
(4)2cmのPolymerC18カラムによる分画結果
PolymerC18カラムで精製後のロザデルフィンA1のクロマトグラム(A560nm)を図1に示す。
(5)LC-MS分析結果
ロザデルフィン類は分析時にLC-TOF−MSでロザデルフィン A1、m/z 1221.14のマスクロマトグラムで確認しながら、分画を進めた。
精製の結果、純度90%を超えたロザデルフィンA1は、3.9mg得られた。
(ヒアルロニダーゼ阻害試験)
<材料と方法>
実施例2で作製した抽出物(以後、「青バラ花弁抽出物」と記載する)、青バラ花弁抽出物のHP-20カラム分画物(60%アセトニトリル画分)、およびロザデルフィンA1のヒアルロニダーゼ阻害試験は、前田有美恵ら、食品衛生学雑誌31(3),233-237(1990)の方法を改変し、以下の方法にて実施した。ヒアルロン酸はヒアルロニダーゼによりN−アセチルへキソサミンに分解される。還元末端のN−アセチルグルコサミンを、p-ジメチルアミノベンズアルデヒド(和光純薬工業株式会社製、以下p-DABと略す)標識による発色により吸光度で定量することにより、ヒアルロニダーゼ阻害活性を測定した。
10%DMSOに溶解した試料溶液40 μLに、0.1M 酢酸緩衝液(pH4.0)に溶解した1000 U/mLヒアルロニダーゼ(Sigma社製)を20 μL混合し、37℃で20分間予備加温した。同緩衝液に溶解した0.5 mg/mL Compound 48/80(Sigma社製)を40 μL添加し、37℃で20分間静置してヒアルロニダーゼを活性化させた。この溶液に最終濃度0.4 mg/mLとなるよう0.8mg/mLヒアルロン酸カリウム溶液 100 μLを添加し、37℃で40分間反応させた後、0.4N水酸化ナトリウム溶液を40μLを添加し、氷冷して反応を停止させた。6N NaOHでpH9.1に調整した0.8Mホウ酸溶液を40 μL反応液に加え、100℃で3分間煮沸した。氷中で室温まで冷却し、これに、遮光した10 mg/mL p-ジメチルアミノベンズアルデヒド(p-DAB)溶液を1.2 mL添加し、37℃で20分間反応させた後、585nmの吸光度(A585)を測定した。試料のヒアルロニダーゼ阻害活性は次式から求められる阻害率で表した。
阻害率(%)={1−(a−b)/(c−d)}×100
a:酵素を添加した試料溶液のA585
b:酵素を添加していない試料溶液のA585
c:酵素を添加した対照溶液のA585
d:酵素を添加していない対照溶液のA585
また、陽性対照には、試料溶液の代わりに800 μg/ml(モル濃度1.56 mM)のクロモグリク酸ナトリウム(Sigma社製、以下DSCGと略す)を40 μL添加して、試験濃度160μg/mlのDSCGを用いた。
<結果>
(1)60%アセトニトリル画分のヒアルロニダーゼ阻害試験
青バラ花弁抽出物をHP-20カラム分画して得られた60%アセトニトリル画分について、試験濃度10、20 μg/mlにおけるヒアルロニダーゼ阻害率(%)を測定したところ、表2に示す通りとなった。3-5 Fra.は青バラ特有の色素成分ロザデルフィン A1を含み、そのうち4Fra.と5Fraの含有率が多いことを、TOF-MS分析により確認している。
3-6 Fra.は、青バラ花弁抽出物の2分の1の試験濃度において、青バラ花弁抽出物より強いヒアルロニダーゼ阻害活性を示し、ロザデルフィン A1の含有率が最も高い4 Fra.が、最も強い活性を示した。この結果より、3-5 Fra.は活性成分を含むこと、ロザデルフィンA1が、青バラ花弁抽出物中のヒアルロニダーゼ阻害活性を示す活性成分である可能性が示唆された。
(3)ロザデルフィン A1および類縁化合物のヒアルロニダーゼ阻害試験
青バラ花弁抽出物より精製した青色色素成分ロザデルフィン A1について、試験濃度20、40、80 μg/mlにおけるヒアルロニダーゼ阻害率(%)を測定したところ、表3に示す通りとなった。ロザデルフィンA1が、青バラ花弁抽出物中の活性成分であることが明らかになった。濃度依存的に強い活性を示すことから、ロザデルフィン A1の用量反応性も確認している。
また、ロザデルフィン A1の構造の構成成分である、テリマグランジン 1、宿主株の青色色素成分であるロザシアニンA1の活性を同時に測定し、活性の強さの比較を行った。ロザシアニン A1は、ロザデルフィン A1と同等の活性を示した。アプローズにも含まれており、バラ科の植物にも存在する加水分解性タンニン、テリマグランジン 1は、ロザデルフィンA1よりも低いが活性を示した。
市販されているバラ花弁抽出素材のひとつに、東洋発酵社製のROSE CRYSTA-70(商標)がある。この素材は、加水分解性タンニンの1種であるオイゲニインが含まれており、総フェノール量70%が規格されている素材である。青バラ花弁抽出物は、ROSE CRYSTA-70(商標)よりも、強いヒアルロニダーゼ阻害活性を示したことからも(表4)、ロザデルフィン A1を含む青色色素群は、加水分解性タンニン類よりも活性が強いことを裏付けるデータが得られた。
各化合物のヒアルロニダーゼ阻害活性は、ロザシアニンA1、ロザデルフィンA1>青バラ花弁抽出物>テリマグランジン 1の順に強いことが分かった。また、ロザデルフィンA1がテリマグランジン1と比較して、より強い活性を持つことが明らかとなり、従来用いられてきたバラ抽出素材に勝る保湿作用効果を有すると考えられる。
以上のように、青バラ花弁抽出物、中でも青色色素ロザデルフィン類を含む画分、ロザデルフィン A1、および非組換え体の青色色素ロザシアニン A1は強いヒアルロニダーゼ阻害活性を持つことが明らかになった。
(コラゲナーゼ阻害試験)
<材料と方法>
青バラ花弁抽出物、青バラ花弁抽出物のカラム処理物(60%アセトニトリル画分)、ロザデルフィンA1、ロザシアニンA1及びテリマグランジン1のコラゲナーゼ阻害試験は、文献(Wunschら、Hoppe Seylers Z Physiol Chem., 333,149-51(1963))の方法を改変し、以下の方法にて実施した。
酵素溶液は、100 μg/mL(55.1 unit/mL)の濃度になるよう、コラゲナーゼTypeIV(Sigma社製)10 mgを蒸留水1 mLに溶解し、使用時に50倍に希釈して使用した。基質溶液には、PZ-ペプチド(4-phenylazo-benzyloxycarbonyl-Pro-Leu-Gly-Pro-D- Arg-OH)(Pz-Pro-Leu-Gly-Pro-D- Arg-OH、Sigma社製)の濃度が0.5 μg/mLになるように20 nmol/Lの塩化カルシウムを含有するトリス塩酸緩衝液(pH7.1)に溶解して使用した。10%DMSOに溶解した試料溶液20 μLに、酵素溶液20 μL及び基質溶液160 μLを混合し、37℃で30分間反応させた。次いで25 mMクエン酸溶液400 μLを加えて反応を停止させ、反応液中のPz-Pro-Leuを酢酸エチル2 mLで抽出した。得られた酢酸エチル層の波長320 nmにおける吸光度を、酢酸エチルを対照として測定した。また、各試料の阻害活性は、次の式で求められる阻害率で算出した。
コラゲナーゼ阻害率(%)= { 1 −( a−b )/( c −d )} ×100
a:試料添加時 反応30分後の吸光度
b:試料添加時 反応0分後の吸光度
c:試料無添加 反応30分後の吸光度
d:試料無添加 反応0分後の吸光度
上記式において、コラゲナーゼの活性が完全に阻害された場合には、コラゲナーゼ阻害率(%)は100%となる。高い「阻害率(%)」を示す化合物が、阻害剤としての活性がより高いと言える。
コラゲナーゼ阻害試験においては、陽性対照には試料溶液の代りに、800 μg/mL(モル濃度0.176 mM)のIsoamylphosphonyl-Glycyl-L-Proly-L-Alaine, dipotassium salt;C15H26K2N3O6P(Elastin Products Company, Inc.製、以下IP304と略す)を20 μL添加(反応時の濃度は80 μg/mL)して用いた。
<結果>
(1)60%アセトニトリル画分のコラゲナーゼ阻害試験
青バラ花弁抽出物をHP-20カラム分画して得られた60%アセトニトリル画分について、試験濃度40、80 μg/mlにおけるコラゲナーゼ阻害率(%)を測定したところ、表5に示す通りとなった。3-5 Fra.は、フラボノイド3', 5'-水酸化酵素遺伝子を有するバラ特有の色素成分ロザデルフィンA1を含み、そのうち4 Fra.と5Fraの含有率が多いことを、TOF-MS分析により確認している。
3-5 Fra.は、青バラ花弁抽出物の2分の1の試験濃度において、また、1, 2, 6 Fra.は、青バラ花弁抽出物と同じ試験濃度において、青バラ花弁抽出物より強いコラゲナーゼ阻害活性を示した。この結果より、3-5 Fra.は活性成分を含むこと、ロザデルフィンA1が、青バラ花弁抽出物中のコラゲナーゼ阻害活性を示す活性成分であることが示唆された。また、ロザデルフィンA1を含む3-5 fra.に限らず、60%アセトニトリル画分のすべてのFra.が、比較的高い活性を有したことから、青色色素化合物群全般が、活性を有することが明らかになった。
(2)ロザデルフィンA1およびその類縁体のコラゲナーゼ阻害試験
青バラ花弁抽出物より精製した青色色素成分、ロザデルフィンA1について、試験濃度40μg/mlにおけるコラゲナーゼ阻害率(%)を測定したところ、表6に示す通りとなった。ロザデルフィンA1が、青バラ花弁抽出物中の活性成分であることが明らかになった。
また、ロザデルフィンA1の構造の構成成分である、テリマグランジン1、宿主株の青色色素成分であるロザシアニンA1の活性を同時に測定し、活性の強さの比較を行った。
各化合物の40 μg/mLにおけるコラゲナーゼ阻害活性については、ロザシアニンA1、テリマグランジン1、ロザデルフィンA1はいずれも青バラ花弁抽出物を上回る活性であった。
(エラスターゼ阻害試験)
<材料と方法>
青バラ花弁抽出物、青バラ花弁抽出物のカラム処理物(60%アセトニトリル画分)、ロザデルフィンA1、ロザシアニンA1およびテリマグランジン1のエラスターゼ阻害試験は、以下の方法にて実施した。
酵素溶液は、0.05 unit/mLの濃度になるよう、エラスターゼ(Sigma社製)0.1 mlをpH8.0の0.2 Mトリス緩衝液(以下、トリス緩衝液と記載)を用いて、使用時に100倍希釈して使用した。基質溶液は、N-Succinyl-Ala-Ala-Ala-p- nitroanilide(Sigma社製)の濃度が4mMとなるようにトリス緩衝液に溶解して使用した。96ウェルプレートに、10%DMSOに溶解させた各試料溶液50 μL、および酵素溶液50 μLを添加して、プレートシェーカーで混合し、25℃で10分間予備加温した。次いで基質溶液100 μLを加えてプレートシェーカーで混合し、25℃で30分間反応させた後に速やかに、p-nitroaniline の遊離を波長405 nmの吸光度(以下、A405)で測定した。ブランクのA405は、基質溶液の代わりにトリス緩衝液を添加して測定し、対照溶液のA405は、試料溶液の代わりに10%DMSOを添加して測定した。また、各試料の阻害活性は、次の式で求められる阻害率で算出した。
エラスターゼ阻害率(%)=[(f−e)−{(b−a)−(d−c)}] /(f−e)×100
a:試料溶液の基質反応用のA405(0min)
b:試料溶液の基質反応用のA405(30min)
c:試料溶液のブランクのA405(0min)
d:試料溶液のブランクのA405(30min)
e:対照溶液のA405(0min)
f:対照溶液のA405(30min)
上記式において、エラスターゼの活性が完全に阻害された場合には、エラスターゼ阻害率(%)は、100%となる。高い「阻害率(%)」を示す化合物が、阻害剤としての活性が高いと言える。
エラスターゼ阻害試験においては、陽性対照には試料溶液の代わりに、320 μg/mL(モル濃度 1.84 mM)のPhenylmethanesulfonyl fluoride;C7H7FO2S(Sigma社製、以下PMSFと略す)を50 μL添加(反応時の濃度は80 μg/mL)して用いた。
<結果>
(1) 60%アセトニトリル画分のエラスターゼ阻害試験
青バラ花弁抽出物をHP-20カラム分画して得られた60%アセトニトリル画分について、試験濃度40、80、160 μg/mlにおけるエラスターゼ阻害率(%)を測定したところ、表7に示す通りとなった。3-5 Fra.は青バラ特有の色素成分ロザデルフィンA1を含み、そのうち4 Fra.と5Fraの含有率が多いことを、TOF-MS分析により確認している。
60%アセトニトリル画分4-9Fra.は、HP-20カラム分画前の青バラ花弁抽出物よりも強い活性を示した。特に60%アセトニトリル画分6-9Fra.が強い活性を有したことから、ロザデルフィン類だけでなく青色色素化合物群全般が、強い活性を有することが明らかになった。
(2) ロザデルフィン A1のエラスターゼ阻害試験
青バラ花弁抽出物より精製した青色色素成分ロザデルフィン A1について、試験濃度40、80、160 μg/mlにおけるエラスターゼ阻害率(%)を測定したところ、表8に示す通りとなった。ロザデルフィンA1が、濃度依存的に強い活性を示すことから、ロザデルフィン A1の用量反応性も確認している。
また、ロザデルフィン A1の構造の構成成分である、テリマグランジン 1、宿主株の青色色素成分であるロザシアニンA1の活性を同時に測定し、活性の強さの比較を行った。ロザデルフィン A1は、ロザシアニンA1と同等以上の活性を示した。バラ科の植物に含まれる加水分解性タンニンの1種であるテリマグランジン1は、弱い活性を示すのに対し、ロザデルフィン A1およびロザシアニン A1が強い活性を示したことから、青色色素化合物群が含まれることにより、青系のバラ花弁由来抽出物は、市販のバラエキスよりも、強い活性を有すると考えられる。
(コラーゲン合成促進試験)
<材料と方法>
正常ヒト線維芽細胞を、0.5%仔牛血清含有ダルベッコ変法MEM(0.5%FBS-DMEM)を用いて2.0×104cell/wellの細胞密度にて96穴プレートに播種した。播種24時間後に、0.5%FBS-DMEMを、細胞障害性のない青バラ花弁抽出物濃度を最高濃度として、これを希釈した、青バラ花弁抽出物を含有する0.5%FBS-DMEMと交換した。なお陽性コントロールとして25μMアスコルビン酸リン酸マグネシウム塩(VC-PMg)を用いた。青バラ花弁抽出物のカラム処理物含有培地で24時間培養したのち、培養上清を回収してELISAに供した。細胞は0.5%TritonX-100溶液にて溶解したのち、BCA法にてタンパク量を定量した。
培地および検量線用のI型コラーゲン溶液を高吸着型ELISAプレートに入れ、4℃にて一昼夜コーティングしたのち、1%牛血清アルブミン(BSA)溶液を用いて37℃にて1時間ブロッキングした。一次抗体反応は、Anti-Human Collagen TypeIantibody(Rabbit)を0.3%BSA溶液で希釈したものを添加し、37℃にて1.5時間反応させた。二次抗体反応は、ヒストファインMAX-PO(R)(Rabbit)をリン酸緩衝液で希釈したものを添加し、37℃にて1.5時間反応させた。
次に、0.3mg/mLの2,2’-Azino-bis(3-ethylbenzothiazoline-6-sulfonic acid) diammonium salt(ABTS)および0.03%の過酸化水素を含むリン酸-クエン酸緩衝液(0.1M,pH4.0)を添加して30分間反応させ、マイクロプレートリーダーにて405nmの吸光度を測定した。
培地中のI型コラーゲン量は、同じELISAプレートで測定した検量線から算出した。全細胞のタンパク量で培地中のI型コラーゲン量を除することによって単位タンパク量あたりのI型コラーゲン合成量を算出した。それぞれのI型コラーゲン合成量はStudent t検定を用いて有意差検定を行い、コントロールと比較した。
<結果>
青バラ花弁抽出物のI型コラーゲン合成量を図2に示した。試験試料の添加により、I型コラーゲン合成量の有意な増加が認められた。
(MMP−1産生抑制試験)
MMP−1(マトリックスメタロプロテアーゼ−1)(英:Matrix metalloproteinase、MMP)は、間質コラゲナーゼともよばれ、コラーゲンの分解に関わるメタプロテアーゼ(活性中心に金属イオンが配座しているタンパク質分解酵素)の一つである。MMP−1の産生を阻害することで、コラーゲンの分解が抑制される。
MMP−1産生の抑制における青バラ花弁抽出物の効果について検討した。新生児由来正常ヒト皮膚線維芽細胞(NHDF−NB、クラボウ株式会社より購入)を真皮線維芽細胞として用いて、MMP−1の産生量を指標として検討を行った。
24ウェルプレートに真皮線維芽細胞を播種し、37℃、二酸化炭素濃度5vol%中にてコンフルエントになるまで培養した。その後、DMSOに溶解した青バラ花弁抽出物を0、5、10、20mg/mLの濃度で添加した。DMSOは最終濃度が0.1%となるように添加した。24時間培養した後、IL−1βを最終濃度100pg/mLで培地に添加した。DMSO溶液のみを添加したウェルの一部にはIL−1βを添加しないものとし、これをコントロールとした。48時間培養後、培養上清を回収し、培地中に分泌されたproMMP−1を定量し、MMP−1の産生量とした。proMMP−1の定量は、定量ELISA Kit(R&D Systems社製)を用い、添付された説明書に従って行った。定量結果は、コントロールについてのMMP−1の産生量を100%とする相対値(%)として示した(表9)。
真皮線維芽細胞にIL−1βのみを添加すると、MMP−1の産生量は、コントロールのおよそ4倍となった。そして、青バラ花弁抽出物で細胞を処理した場合、いずれの濃度においてもIL−1βによるMMP−1の産生が顕著に抑制された。
これらの結果から、青バラ花弁抽出物は、優れたMMP−1産生抑制効果を有することが示された。
本発明のヒアルロニダーゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、エラスターゼ阻害剤は、ロザシアニン類化合物又はロザデルフィン類化合物を有効成分として含むことにより、乾燥、しわ、及びたるみの防止及び改善に優れた効果を示すため、保湿用及び抗老化用の皮膚外用剤、皮膚化粧料及び医薬部外品の開発及び製造のために有用である。
Claims (19)
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- 以下:
下記一般式(I)
〔式中、R1及びR2は一緒になって−O−を形成するか;あるいは、R1は、下記の基(a):
{但し、基(a)においてグルコースの1位の水酸基の配位(波線)はα体とβ体の互変異性であることを示す。}
または、下記の基(b):
であり、そして
R2は−OHである〕
により表されるロザシアニン類化合物;および
下記一般式(II)
{式中、R1は、下記の基(a):
{但し、基(a)においてグルコースの1位の水酸基の配位(波線)はα体とβ体の互変異性であることを示す。}であり、かつ、R2は−OHであるか、又はR1とR2は一緒になって−O−を形成するか、又はR1は、下記の基(b):
であり、かつ、R2は−OHである。}で表されるロザデルフィン類化合物
からなる群より選択される一以上の化合物を有効成分として含有する、ヒアルロニダーゼ阻害剤。 - 以下:
下記一般式(I)
〔式中、R1及びR2は一緒になって−O−を形成するか;あるいは、R1は、下記の基(a):
{但し、基(a)においてグルコースの1位の水酸基の配位(波線)はα体とβ体の互変異性であることを示す。}
または、下記の基(b):
であり、そして
R2は−OHである〕
により表されるロザシアニン類化合物;および
下記一般式(II)
{式中、R1は、下記の基(a):
{但し、基(a)においてグルコースの1位の水酸基の配位(波線)はα体とβ体の互変異性であることを示す。}であり、かつ、R2は−OHであるか、又はR1とR2は一緒になって−O−を形成するか、又はR1は、下記の基(b):
であり、かつ、R2は−OHである。}で表されるロザデルフィン類化合物
からなる群より選択される一以上の化合物を有効成分として含有する、コラゲナーゼ阻害剤。 - 以下:
下記一般式(I)
〔式中、R1及びR2は一緒になって−O−を形成するか;あるいは、R1は、下記の基(a):
{但し、基(a)においてグルコースの1位の水酸基の配位(波線)はα体とβ体の互変異性であることを示す。}
または、下記の基(b):
であり、そして
R2は−OHである〕
により表されるロザシアニン類化合物;および
下記一般式(II)
{式中、R1は、下記の基(a):
{但し、基(a)においてグルコースの1位の水酸基の配位(波線)はα体とβ体の互変異性であることを示す。}であり、かつ、R2は−OHであるか、又はR1とR2は一緒になって−O−を形成するか、又はR1は、下記の基(b):
であり、かつ、R2は−OHである。}で表されるロザデルフィン類化合物からなる群より選択される一以上の化合物を有効成分として含有する、エラスターゼ阻害剤。 - 前記ロザシアニン類化合物が、以下:
下記式で表されるロザシアニンA1
下記式で表されるロザシアニンA2、
- 前記ロザシアニン類化合物を含むバラ科の植物の抽出物を含む、請求項1〜4のいずれかに記載のヒアルロニダーゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、又はエラスターゼ阻害剤。
- 前記ロザシアニン類化合物を含むバラ科の植物がマダムビオレ、パープルレイン、ラバンデ、マンハッタンブルー、シャンテリーレース、ブルームーン、タソガレ、シャルルドゴール、バイオレットドリー、ブルーリボン、アオゾラ、レディエックス、ブルーバユー、及びスターリングシルバーからなる群より選択される一以上のバラ科の植物である、請求項5に記載のヒアルロニダーゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、又はエラスターゼ阻害剤。
- 前記ロザデルフィン類化合物が、以下:
下記式で表されるロザデルフィンA1
下記式で表されるロザデルフィンA2、
- 前記ロザデルフィン類化合物を含むバラ科の植物の抽出物を含む、請求項1〜7のいずれかに記載のヒアルロニダーゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、又はエラスターゼ阻害剤。
- 前記ロザデルフィン類化合物を含むバラ科の植物が、フラボノイド3', 5'-水酸化酵素遺伝子を有するバラ科の植物である、請求項8に記載のヒアルロニダーゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、又はエラスターゼ阻害剤。
- 前記ロザデルフィン類化合物を含むバラ科の植物が、アプローズ(登録商標)である、請求項9に記載のヒアルロニダーゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、又はエラスターゼ阻害剤。
- 前記ロザデルフィン類化合物を含むバラ科の植物が、サントリーブルーローズアプローズ(商標)である、請求項9に記載のヒアルロニダーゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、又はエラスターゼ阻害剤。
- 請求項1〜11のいずれかに記載のヒアルロニダーゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、又はエラスターゼ阻害剤を含む皮膚外用剤。
- 請求項1〜11のいずれかに記載のヒアルロニダーゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、又はエラスターゼ阻害剤を含む皮膚化粧料。
- 請求項1〜11のいずれかに記載のヒアルロニダーゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、又はエラスターゼ阻害剤を含む医薬部外品。
- 請求項1〜4及び7のいずれか一項で定義されたロザシアニン類化合物及びロザデルフィン類化合物からなる群より選択される一以上の化合物、又は請求項5、6及び8〜11のいずれか一項で定義された抽出物を有効成分として含む、皮膚外用剤。
- 請求項1〜4及び7のいずれか一項で定義されたロザシアニン類化合物及びロザデルフィン類化合物からなる群より選択される一以上の化合物、又は請求項5、6及び8〜11のいずれか一項で定義された抽出物を有効成分として含む、皮膚化粧料。
- 請求項1〜4及び7のいずれか一項で定義されたロザシアニン類化合物及びロザデルフィン類化合物からなる群より選択される一以上の化合物、又は請求項5、6及び8〜11のいずれか一項で定義された抽出物を有効成分として含む、医薬部外品。
- 請求項1〜4及び7のいずれか一項で定義されたロザシアニン類化合物及びロザデルフィン類化合物からなる群より選択される一以上の化合物、又は請求項5、6及び8〜11のいずれか一項で定義された抽出物を有効成分として含む、MMP−1産生抑制剤。
- 請求項1〜4及び7のいずれか一項で定義されたロザシアニン類化合物及びロザデルフィン類化合物からなる群より選択される一以上の化合物、又は請求項5、6及び8〜11のいずれか一項で定義された抽出物を有効成分として含む、コラーゲン合成促進剤。