私が懸念するのは、「何事も安倍政権のせいにして自らは何もしない態度が蔓延すること」である。
JFK(ジョン・F・ケネディ)がかつて冷戦時代に「国家が国民のために何をしてくれるのかを考えるのではない。国民が国家のために何ができるかを考えて欲しい」という言葉を述べたが、この言葉を今また繰り返したい。
確かに「自己責任」をとるということは大変なことで、「他人のせい」にするのは簡単だ。しかし、安易な道に流された国家は滅亡する。
例えば、ナチスは当初それほど反ユダヤ主義ではなかった(ヒットラー自身にユダヤ人の血が流れているという驚くべき説もある……)が、第1次世界大戦後に「ドイツが苦境に陥ったのはユダヤ人のせいだ」と主張したところ、国民の絶大な支持を受けたのでエスカレートしたのだ。
また、朝鮮半島や中国大陸の国々も同じである。「自分たちがひどい状況で苦しんでいるのは、日本人が悪いんだ」という主張は、自国民に受けがよく、しかも自らの政府のだらしなさを覆い隠すことができるから、止まらなくなったのである。
日本人は賢明だから、外国人(政府)のせいにすることはない(むしろ外国人〈政府〉の言うことをうのみにしている……)が、その代わり安倍政権のせいにしている。
また、安倍首相個人や夫人への人格攻撃が目立つが、「人格攻撃」は概ね議論の最終段階で登場する。議論で勝てない「負け組」が、最終手段として「人格攻撃」を行うのである。
子供の口げんかで、やり込められた方が「バーカ、お前のかあちゃんでべそ」と言うようなものである。
最初から「安倍死ね」などと言っているアベノセイダーズは、議論において白旗を上げているのも同然だ。