世界がいよいよ首を傾げる…日本が「ヌルい対策」なのに被害が少ないワケ

日米の比較から見えたこと
飯塚 真紀子 プロフィール

さて、解放されたビーチはどんな様子なのか。時々散歩していたサンタモニカ・ビーチを歩き、唖然とした。

なんと、多くの人がマスクをしていない!

ロサンゼルスでは、5月15日、屋外でのマスク着用(バンダナなどでのフェイス・カバーも可)を義務づける「マスク着用令」が出たばかり。ビーチもマスク姿の人ばかりと思いきや、予想外の光景だった。

マスクについては、ロサンゼルスはすでに、スーパーでは客も従業員もマスクを着用するよう義務化していたが、屋外では着用を推奨するに留めていた。今回、屋外でのマスク着用を義務化した背景には感染者数や死者数が増加しているというロサンゼルスの実態がある。

ロサンゼルス市が中心となっている大都市圏ロサンゼルス郡の人口は約1000万人とアメリカの自治体の中では最大。そのうち感染者数は、カリフォルニア州の感染者数7万8725人の半数近くを占める3万7360人だ。この数は、アメリカの全自治体の中では、ニューヨーク州ニューヨーク市、イリノイ州クック郡、ニューヨーク州ナッソー郡、ニューヨーク州サフォーク郡に次いで5番目に多い(ジョン・ホプキンス大学の米国時間5月16日19時11分時点での集計)。

 

感染者は着実に増えている

また、アメリカ全体では毎日の新たな感染者数は減少しており、感染の中心となったニューヨーク州でも減少しているが、ロサンゼルスでは新たな感染者数が毎日1000人前後のペースで着実に増加している。

増加の背景には、検査規模の拡大がある。

当初、ロサンゼルスは、症状がある65歳以上の市民や症状があり基礎疾患を抱えている市民、感染者と接したために隔離期間中にある市民を優先的に検査していたが、この制限を取り去り、症状のある人々なら誰でも検査を受けることができるよう検査対象を拡大、さらに4月30日からは、症状のない人でも無料で検査を受けることができるようになった。

つまり、アメリカでは初めて、誰でも検査が受けられる体制にしたのだ。新型コロナでは、無症状感染者が25〜50%と多数いると報告されているが、そんな無症状感染者が外出規制の緩和とともに屋外に出て、知らず知らず、他の人に感染させる可能性がある。マスク着用の義務化には、そんな可能性を低減させようとする狙いがある。