今度は雇用調整助成金でもオンライン申請に不具合
全国各地で一律10万円の特別定額給付金のオンライン申請がシステム障害を起こすなか、今度は雇用調整助成金のオンライン申請もダメである。
これほど政府の失政をあらゆる形で見せつけられてくると、ダメさ加減に慣れてしまわないか心配になる。
厚生労働省もホームページで以下のように釈明をしている。
今回対象となっている雇用調整助成金は、順次、制度改変がされて、申請書類もかなり簡素化されているし、以前は支給対象ではなかった事業者にも給付する措置を決めている。
従業員へ休業補償をした部分に政府が補填をする制度である。
それゆえに、一度申請を断念した事業者も再度、申請を検討してほしいとお伝えしている。
【重要】雇用調整助成金申請ができなかった、該当しないと言われた人、もう一度窓口に問い合わせてください
政府が危機時に頼りなさを露呈させるのは政治不信を加速させてしまい致命的なこと
しかしながら、相変わらず簡易的な申請を促すはずのシステムが機能しない。
加藤氏や西村氏ら閣僚が定例の記者会見などで説明をし、オンライン申請を促しているなかで、相次ぐ失敗である。
「緊急事態なので仕方ない」「慣れない制度改変だから」「新しい試みなのだから失敗は当然」と擁護する声も聞こえてきそうだが、あまりにも失敗が多くないだろうか。失敗が目につきすぎないだろうか。
例えば、マスク配布事業についても不備が見つかり、回収・再調整が起きた。
一部でマスク配布を始めたが、現在もマスクが届いていない世帯の方が多いだろう。
市場のマスク供給量も回復してきており、今更マスクが配布されても…という声は根強くある。完全に時機を逸した政策の象徴だ。
生活福祉資金貸付制度も社会福祉協議会に相談が殺到し、緊急で貸付なければならないにも関わらず、審査や支給に数ヶ月かかるという場合も散見されている。
そもそも相談人員体制の不足、事務連絡・調整の不足は当初より明らかだった。
現在は、人員を増やし、労働金庫や郵便局にも委託をして、貸付事務を拡大させていることは評価するが、適正に政策実施されたとはいえない。
困窮世帯へ家賃を補助する住居確保給付金も、当初の仕組みでは支援しきれない事が判明し、要件の緩和や対象範囲の拡大を進める結果となっている。
当初よりどの制度運用でも目算の誤りが散見されている。
そのため、制度改変が次々に起きていて、現場の実施運用にも混乱が見られる。
完全な準備不足をどこでも露呈しているのである。
正直なところ、支援現場で当事者と各種事務手続きの案内や手伝いをしているが、円滑に進み、成功していると断言できる政策を探す方が困難だ。
つまり、どれも事務が煩雑で、待ち時間も長く、問い合わせ先はつながりにくく、ようやく申請できても支給まで相当な時間を有する。
それらを解消するためのオンライン申請導入であろうが、ここでも失敗されたら、たまったものではない。
政府は危機事態に頼りになり、ありがたい存在だと思われなければ、何のために税や保険料を払っているのか、という怒りの声と同時に、政治不信を加速させてしまう。
緊急事態であることは考慮するが、何度も何度もこれだけの失敗を見せつけていることを重く受け止めてほしい。
苦しい立場にあり、不安ななかで生活している方たちをこれ以上、失望させないでほしい。