中井なつみ、浜田知宏、畑山敦子
新型コロナウイルスの影響による保育園の休園や登園自粛で、賃金を減らされたり、有休取得を指示されたりしているという保育士からの相談が行政や労働組合に相次いでいる。認可保育園の収入はコロナ禍で子どもが減っても保証されることになっており、内閣府は不当な賃金カットが横行しないよう注意喚起に乗り出した。
拡大する保育士からの賃金カットの訴えを受け、国や自治体が保育事業者向けに、給与を通常通り支給することや、有休取得を促すことのないよう相次いで通知を出している。写真は東京都世田谷区のもの
東京都世田谷区の私立認可保育園でパート保育士として働く男性(33)は区内の保育園が臨時休園となった4月20日以降、登園する子どもが減った園からの要請で出勤回数が激減した。5月の出勤は13日までに1回のみ。男性は時給制で働くパート職員のため、「このままでは収入が激減する」と不安が募る。
平日はほぼ毎日6時間勤務して手取り収入は月約17万円ほどあったが、休園後は約3週間、勤務シフトが白紙になり、自宅待機になった。給与について男性が尋ねても、園を運営する社会福祉法人の理事長は「休園の間の給与を支払えるか、全く見通しが立たない」と言うばかりだ。
拡大するシフトがなくなった日、世田谷区の男性保育士が自宅で製作したカード。子どもたちに渡してメッセージなどを書いてもらう=男性提供
今は園からの指示で、園で使うカードや飾りなどを作って自宅で過ごす。一つ作るのにかかった時間をストップウォッチで計り、何個作ったか園に報告しているが、作れるのは一日数十点。「もし製作物を作った時間しか勤務時間と認められなければ、来月の給与はどうなるのか」と気が気でない。
都内の別の私立園で働く保育士…
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