交流がある韓国人夫妻から「ウトロ、頑張れ。共に乗り越えましょう」とのメッセージとともに届いたマスクの一部を市に寄付するウトロ町内会の田中会長(右)=宇治市宇治・うじ安心館

交流がある韓国人夫妻から「ウトロ、頑張れ。共に乗り越えましょう」とのメッセージとともに届いたマスクの一部を市に寄付するウトロ町内会の田中会長(右)=宇治市宇治・うじ安心館

 新型コロナウイルス感染予防のマスク不足に悩む京都府宇治市に、在日コリアンが多く暮らすウトロ町内会(同市伊勢田町)が1500枚、ユニチカ宇治事業所(同市宇治)が2千枚のマスクを贈った。寄付者は「国籍を超えて困っている人に役立ててほしい」「宇治市で長年事業を行っているお礼に」と語る。

 第2次世界大戦中に京都飛行場建設に携わった朝鮮人の子孫らが暮らすウトロ町内会(約60世帯)は14日に寄付した。日韓の歴史を学ぶため、昨年にウトロ地区を訪れた韓国人夫妻が日本でのマスク不足を聞き、同地区に贈った5850枚の一部という。町内会長の田中秀夫さん(72)=韓国名・徐光洙(ソガンス)さん=は「市の支援もあり、町民みんなが仲良く暮らせている。マスクを有意義に使ってもらえればうれしい」と語った。
 約1千人が働くユニチカ宇治事業所は13日に寄付した。同社の上海事務所が社内用に確保したマスクの一部という。尾崎達博事業所長は「市内で暮らす従業員も多く、コロナ禍の中で市のためにできることをしたかった」と話した。
 両者に対し、同市の浜岡洋史危機管理監は「貴重な寄付でありがたい。介護事業所や保育所などに配りたい」と感謝を述べた。