「3日に1回」の買い物、上手に行うには?プロに聞く工夫
新型コロナウイルス感染拡大を受け休校や在宅勤務になり、毎日3食家族の食事の用意が必要になった人は多いのでは? 免疫力を高めるためにも栄養バランスは意識したいが、連日の食事作りの負担は減らしたい。感染予防のために買い物の回数を抑え、上手に手を抜きながら料理する工夫について、プロに聞いた。
まずは買い物のこつから。東京都が呼び掛ける「3日に1回」にするにはどうしたらいいか。
食品保存に詳しい料理研究家の島本美由紀さんは「冷蔵庫の中を見て、簡単に3日分の献立を考えて買い物リストを作りましょう」と助言する。店にいる時間が短くなり、節約にもつながる。買い忘れやダブり買いを防ぐため、スマートフォンで冷蔵庫内の写真を撮っておくのも有効だ。
買ってきたら上手に保存して長持ちさせよう。野菜は袋詰めのままだと結露が発生して傷みやすい。余分な水気や乾燥、冷気から守るためキッチンペーパーに包んでポリ袋へ入れ、野菜室で保存するのが基本だ。
鮮度を保つこつは、畑で育った状態をイメージすること。小松菜などの葉野菜やキュウリは、ペットボトルを切った容器に立てる。ジャガイモや玉ネギは冬場は常温、これからの季節は新聞紙で包み野菜室へ。レタスやキャベツは芯につまようじを3本程度刺すと、成長が止まり長持ちする。
「実は、ほとんどの野菜が生のまま冷凍できます」と島本さん。切って水分を拭き取り、保存袋に入れて冷凍室へ。1カ月保存可能で、使うときは凍ったまま調理する。冷凍で野菜の繊維が壊れて火の通りが早くなり、味も染み込みやすくなる。トマトやキノコはうまみ成分が増えるため特にお勧めという。
肉や魚は小分けしてラップで包み、保存袋へ入れて冷凍する。島本さんが「時短や節約になる上、味が染みて柔らかく仕上がる」と太鼓判を押すのが「下味冷凍」だ。保存袋に肉や魚と調味料を入れ、よくもみ込んで空気を抜き、平らにして冷凍する。
例えば、一口大に切った鶏肉に塩麹を加えて冷凍する。朝冷蔵室へ移して解凍しておけば、夕飯は炒めるだけで一品に。唐揚げやグラタン、クリーム煮などアレンジもしやすい。保存袋には日付と中身を書き、1カ月を目安に使い切る。
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外出しない「巣ごもり生活」は運動不足になり、栄養も偏りがち。出張作り置きサービス「シェアダイン」(東京)の管理栄養士、住岡昌恵さん(29)に免疫力アップを意識し、簡単にできる「作り置き」のレシピを教えてもらった。
免疫力を高めるには、免疫細胞が集中する腸内環境を整え、免疫細胞の働きを活性化させることが重要だ。「特定の食品ではなく、タンパク質やビタミン、ミネラルなどをバランス良く取ることが大切」と語る。
3品提案してもらった。「サワラのマッシュルームソース」はキノコに食物繊維とビタミンB群が豊富で、高タンパク、低カロリーの魚が「コロナ太り」対策にもいい。「パプリカのヨーグルトサラダ」はビタミンC、Eやβカロテンが多く含まれ、発酵食品は腸内環境を整える作用がある。「根菜のショウガスープ」は、体を温めて免疫細胞を活性化する効果が期待できる。作り置きは冷蔵庫で3日程度が目安だ。
野菜や果物の色素には、機能性成分「ファイトケミカル」が含まれる。植物が紫外線や害虫から身を守るために作り出したもので、トマトのリコピン、ニンジンのβカロテンなどが代表的だ。抗酸化作用や抗炎症作用が強いため、住岡さんは「彩りも意識して食材を選んで」と呼び掛ける。 (新西ましほ)