先日、仕事場で
「農作物の読み」について話題に上がった。このことについては、
8年前に
拙ブログにアップしたこともあり、持論を展開させていただいた。復習になるが
再掲してみたい。
「農作物」を
「のうさくもつ」と読んでいる人が多いと思う。実際は「のうさくぶつ」が正しい。
「作物」には
「さくもつ」と
「さくぶつ」の2通りの読みがある。大半の辞書では、
「さくもつ」は「田畑でとれるもの」、「さくぶつ」は「作ったもの、特に芸術作品」などと定義し区別している。
田畑に関係するから
「農作物」は「のうさくもつ」と読むのが正しいように思える。しかし、
「農作物」は
「農作」+「物」の
複合語である。
「農」+「作物」ではない。同じような言葉に
「著作物」がある。これはほとんどの人が
「ちょさくぶつ」と読み、「ちょさくもつ」とは言わないであろう。
「著作」+「物」であって
「著」+「作物」ではないことに気づくはずだ。
よって
「のうさくぶつ」が
正解なのである。他に
「工作物」がある。これも「こうさくぶつ」と読むが「こうさくもつ」とは言わない。「創作物」もそうだ。ただし、
「畑作物」はどちらも間違いではない。
「畑」+「作物」も
「畑作」+「物」が成り立つからである。同じように
「冬作物」は
「冬」+「作物」だから
「ふゆさくもつ」と読む。
<参考文献>「知らなさすぎる日本語雑学王」 河出書房新社
ニュースを聞いていると、
「台風で農作物(のうさくもつ)に大きな被害が出ました」と話していることが多い。正式には誤りだと知らないから仕方ないが、
公共のメディアである以上、本来の読みを使ってもらいたいものである。
現在は、誤って使われていても、広く
一般化され
許容範囲に収まっているものが多い。
「農作物」は典型的な例だろう。したがって、完全に間違いとは言い切れない。
![](data:image/gif;base64,R0lGODlhGgANALMIAEREROxoACIiImZmZszMzAAAAJmZmf///////wAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAACH5BAEAAAgALAAAAAAaAA0AAASEEB1Ez6zXUnmlDNMhCKEAWAApjSH4iYYok7NskC42Ekch3JafoHAgsDqW3o1XAMKIRgNRcwiAWAMAwfkjAAYinCspNBC2tC7aiewJtgfDID2IxYaaCqgw56GDZkUCA0RjY3xmfzBnckQvHhV8A1lTBV+TjhUbmz0Fnhmen5ujnEmleaMRADs=)
0