@chablis777
シャブリ

---------------------------

----Y----038----------
----e-----------------------------
----l-----------------------
----l------------------------------
-----------------------------------
-----------------------------------
---------------------------------------------------------------


引き受けた応援歌を差し置いて裕一は自分の才能を証明したい一心でした。
(小山田)フフフ…。
…で?
(裕一)えっ?
(楽譜を投げ捨てる音)
(ドアの開閉音)
♪~
♪「泣いて 生まれて 響く命」
♪「きっと嬉しくて 笑っているんだ」
♪「僕らはきっと 出逢うでしょう」
♪「手を引き 背を押し 出逢うでしょう」
♪「きっといつか今日の日も意味を持って ほら」
♪「耳をすませば」
♪「星の見えない日々を 超えるたびに」
♪「互い照らすその意味を知るのでしょう」
♪「愛する人よ」
♪「親愛なる友よ」
♪「遠くまで 響くはエール」
遅くになっても裕一は帰ってきませんでした。
♪~
(ドアが開く音)
何してんの?
(音)ごめんなさい。 遅いから心配になって…。
そっか…。
ただいま。お帰り。
怒らんの?
勝手に入ったから?
君の家だよ。
そうだけど…。
掃除も必要だね… フフッ。
僕が掃除するっつったのに… だらしない。
(本を乱暴に扱う音)
(すすり泣き)
(泣き叫ぶ声)
音…。うん。
(すすり泣き)
日曜なのに…。
バカだ 私…。
・♪~(歌声)
♪~
どうして? どうして ここに?
(保)要らないって。(恵)えっ? タダなのに?
先生が頑張ってる時に何か口に入れるなんて失礼だって。
う~ん… お店に来て 何も注文しないで何日も居座る方が失礼だと思うけど。
でもね… あの顔 見ちゃうと…。
追い詰められてるよ…。
(田中)失礼します!いらっしゃいませ。
佐藤!
まだね?
(佐藤)まだであります。
何ば しようとや?
お前のせいやなか。
団長… 団長…。
様子ば見てき。はい。
ご主人 みんなに ミルクセーキば。
はい。ミルクセーキ?ああ…。
(恵)<ミルクセーキは 卵黄 砂糖 牛乳にバニラエッセンスを混ぜて作ります。明治時代から滋養食として愛されてきました>
うまか~!
ああ~!
(田中)先生も苦しんでおられるっちゅうことですか?
そう… 一年間 36曲 全部 没。
(小熊)うわっ… まさに契約金泥棒。
お前 何 言いようとね。(村田)しかし 団長。
何や?お言葉ですが こいつの言うとおりです。
私は心配です。そんな男に任せて大丈夫でしょうか?
(ドアが開く音)いらっしゃいませ~。
(御園生)フッ。御園生! 何しに来たとね?
うわさを聞きつけましてね~。
何でも新しい応援歌を作ろうとしてるとか。
う~ん… 誰?
(寺門)慶應義塾の応援部 団長御園生新之助です。
出ていきんしゃい。フフッ… ここはお店でしょ?
コーヒー下さい。 あっ ブラックで。(保)はい。
何や? ブラックって。(保)砂糖もミルクも入れてないコーヒーのこと。
フッ ハハハハハ! そげなコーヒー苦くて飲めんやろうもん!
(笑い声)
本場はブラックですよ~。
そんなことも知らない。 だから負ける。いや 負け続けるんですよ。
お水 どうぞ。どうも。
何なの?アメリカの大学に留学してたのをいつも ああやって鼻にかけるのです。
僕はね 常に 本物を本場で学んできました。 いいですか?
「若き血」を歌いだして慶應義塾は連戦連勝だ。
しかし 事は そう単純ではない。
私は戦略を練っているのです。
あなた方がいくら新しい応援歌を作ろうがそこがなければ結果は同じことだ。
それを… あなたで できますか?
大声だけが取り柄のあなたに。
お前~! この… 団長をバカにするな!
あっ! ああっ…!
力任せ。 これこそが あなたたち早稲田だ。もう そんな時代じゃない。
ハッハッハッハッハッハ…!
アッハハハハハ…。
思い出すわ~。
私が オックスフォード大学で法律を学んでいた時のこと。
オックスフォード!?
何も怖くなかった…誰にも負ける気がしなかった!
でも… そんな時にね 現れたの。
底抜けのバカが。
今まで 模擬裁判で負けたことなんかなかったのにあいつは 正面を切って 正義を訴えるの。
陪審員は ほだされていく…。
私は悟ったわ。
しょせん 人は… 感情の生き物だって。
もちろん本当の裁判は違うのかもしれない。
でも… 若かった私は 大学をやめた。
だって 論理が全てじゃないのなら違った生き方をしてみたいって思ったから。
あなた… 負けるわよ。
なぜだ?
だって この人たち…底抜けのバカだから。
フフッ… フッフッフ…。
どいつもこいつも… まあいい。
戦いを楽しみにしている。 行くぞ。
団長… 悔しいです!
勝つしかなか。
俺は… 名前や功績より人の縁ば信じるばい!
よ~し! 皆で先生ば応援しに行くばい!
(一同)はい!
さっきの話… うそだよね?
えっ? 本当よ。 言ってなかったっけ?
うん… 初めて聞いた。・(田中)失礼します!
先生… 書けましたか?
ううん… 一音も書いてない。
ええっ!? えっ… いやいやあと3日しかなかとです!
僕には書けない。ほかの人に頼んで下さい。
(村田)お前… 団長の思いを踏みにじるのか!?
すいません! でも 先生も頑張って書こうとしてくれたんです。
それだけは分かって下さい。せからしか!
先生… 俺たちは慶應に勝ちたか!
やつらの応援歌ば しのぐ歌が必要ばい!
応援歌って勝ち負けに関係ありますか?
裕一さん。
早稲田が負けんのは ただ弱いからです。実力不足です。
(小熊)団長… どうしますか?
よう分からん…。
何か分からんけど… 応援ってわしらの自己満足やなかろうか?
応援って… 勝敗に関係あるとやろか?
♪~
「豊橋に帰ります。 音」。


via Twishort Web App

Made by @trknov