今度は、満足に歩くことのできないところまで悪化し、リハビリ病院への入院を余儀なくされた。
「それまで、周りに弱い所を見せたことがなかった西城が、初めて『もう、やめちまおうかな』と、弱気なことをつぶやきました。
自分よりも遥かに年上の方々に交じって、箸の上げ下ろしをしたり、おはじきをひっくり返したりしてリハビリをするんです。『なんで俺が』という気持ちになるのも、無理はありませんでした」(西城のマネージャー・片方秀幸)
歌が歌えないのはおろか、まるで幼稚園児がしつけでやらされるようなことですら、満足にはできない。
仮に復帰できたとしても、昔の自分とはかけ離れた惨めな姿を世間に晒すことになる。スター街道を歩んできた西城にとって、それは堪え難い屈辱だったに違いない。
しかし、西城の心はここで折れなかった。
「あるとき、自分より症状が重い人が必死になってリハビリに取り組んでいる姿を見て、『俺がここであきらめちゃダメだろう』と気づいたそうです。
『こうなってしまった以上、格好つけたり、隠しても仕方ない。ありままの俺でいこう』と言っていました」(片方)