「潜入」をテーマにしたゲーム性、重厚なシナリオが世界中で親しまれ、シリーズ累計販売本数が3240万本を突破した『メタルギア』。今年8月にはハリウッドでの実写映画化も発表されるなど、さらなる盛り上がりを見せる元祖ステルスゲームだ。
その魅力に迫るべく、2001年には米『ニューズウィーク』誌の「未来を切り開く10人」にも選出された『メタルギア』の生みの親・小島秀夫氏に、25周年を迎えた同シリーズ制作の裏側と、今後の展望を聞いた。
「初めはこんなに続くと思ってなかったんです(笑)。僕が会社に入って1本目に考えた企画がボツになり、だから、次はなんとしてでもお店に並ぶ作品にしたくて創ったのが『メタルギア』。ただ、その頃のゲームは映画や小説と比べると、世界観をきちんと創った作品が圧倒的に少なかったから、売れる、売れないは別として純粋に創り込みたかったんです」
「コナミの中でMSX2というのが僕にはハマりがよかった。ほかのハードに比べると動きも色も音もかなわない。じゃあ、ほかのところで勝負ということで“隠れる”というゲーム性に行きつけた」
モチベーションとなったのはほかのエンタメ業界への反骨精神だ。
「『ゲーム業界なんてと言われるけど、最終的には俺らが勝つ』みたいな気持ちが強かったですね。当時、ゲーム業界は今ほどメジャーな職種じゃなくて、職業を聞かれたりするとウソついて、『証券マンです』と答えたりしていました(笑)」
では、ハリウッド映画化は見返してやったという気分?
「いえいえ。実はPSで『メタルギア ソリッド』を発売した頃にはもう映画化の話があったんですが、断っていたんですよ。ただ、その後、アヴィさん(映画のプロデューサー、アヴィ・アラッド氏)と出会って、この人ならハリウッド映画にありがちな安易なものにはしないだろうと信頼できたので、お願いしたんです」
そんな小島さんの作品への気概はソリッド・スネークにも反映!
「スネークもかなり昭和のがんこおやじ。正義や悪に関係なく、孤独でも、評価されなくても自分の意思を押し通す。今、そういうヒーローは少ないですよね。昔の仮面ライダーが近いのかな。自分を勝手に改造した組織とひとり戦っていく。そんなスネークにとっての立花藤兵衛がオタコンで。ひとりぼっち同士が出会ってふたりぼっちになって、世界を変える」
昭和イズムがビンビンだ。
「これも昭和な考え方かもしれないけど、やっぱり若い頃はチャンスを待ってるだけじゃダメ。好きなものにガンガン積極的に動いてくことが大事で、それが10年後にようやく実を結ぶ。僕も『メタルギア ソリッド』が世界でヒットしたのは35歳のときですし」
小島さんの積極的な動きは今も変わっていない。
「FOXエンジンという新たに開発したシステムで、今、オープンワールドのゲームを創ろうとしています。ゲームの世界を筋道なく自由に遊べるので、本当の意味でプレイヤーがダイブできる世界を創りたいですね」
これからもファンを驚かせ続けてくれるに違いない!
●小島秀夫(こじま・ひでお)
1963年生まれ。株式会社コナミデジタルエンタテインメント執行役員(EVP)、小島プロダクション監督。メタルギアシリーズや『ポリスノーツ』など小島作品ファンは世界中に存在。
■週刊プレイボーイ51号「祝25周年!!!! メタルギア大研究!!」より
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