牛肉の産地偽装事件や料理の使い回しで廃業し、破産手続き中の高級料亭「船場吉兆」(大阪市)の元女将(おかみ)の湯木佐知子社長(71)と湯木正徳・前社長(75)が自己破産を申し立て、大阪地裁は29日、手続きの開始を決定した。破産管財人の増市徹弁護士が、同日に地裁で開かれた債権者集会の終了後、記者会見して明らかにした。
増市弁護士によると、船場吉兆の不動産や美術品などを管理する「ユキカンパニー船場」(大阪市)も同日、破産手続きに入った。今後、ユキ社の財産を処分し船場吉兆の債務返済を進める予定だが、税金や元従業員への退職金などに充てると、一般債権者への配当は厳しいという。このため、湯木社長ら旧経営陣4人を相手に経営上の注意義務を怠ったとする賠償請求訴訟を起こす準備を進める。