こんにちは!公認会計士クロです!!!
今回は収益認識基準の主軸となる基本原則(5つのステップ)を解説する記事となっております!!!
こんな方におススメの記事です!
- 会計監査の実務に従事されている方
- 公認会計士受験生の方
- 経理職の方
- 会計基準に興味がある方
- 経営分析をされる方
収益認識基準の適用における基本原則
収益認識基準の基本原則は以下の通りです!
本会計基準の基本となる原則は、約束した財又はサービスの顧客への移転を当該財又はサービスと交換に企業が権利を得ると見込む対価の額で描写するように、収益を認識することである。
企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」 16項
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わかりにくいですね。。。。
収益認識基準の基本原則に従うために、5つのステップを経て収益を認識します!
(企業会計基準第29号17項より)
収益認識に関する5つのステップ !まずはざっくり押さえる!
まずは、5つのステップを押さえる必要があります!
ステップ1 顧客との契約を識別する
契約の定義とかあるんですか?
(5つのステップとか急に言われてもな・・・)
定義は以下のポイントを押さえよう!(他のステップも同様)
”「契約」とは、法的な強制力のある権利及び義務を生じさせる複数の当事者間における 取決めをいう。” (企業会計基準第29号5項)
”契約における権利及び義務の強制力は法的な概念に基づくものであり、契約は書面、口頭、取引慣行等により成立する。” (企業会計基準第29号20項)
契約の定義を押さえた上で、識別要件(企業会計基準第29号19項)に当てはまるかどうかが実務上のポイントとなります。
個別解説記事は下記となります⇩⇩⇩
ステップ2 契約における履行義務を識別する
履行義務の定義は以下の通りです!!
「履行義務」とは、顧客との契約において、次の(1)又は(2)のいずれかを顧客に移転する約束をいう。 (1) 別個の財又はサービス(あるいは別個の財又はサービスの束) (2) 一連の別個の財又はサービス(特性が実質的に同じであり、顧客への移転のパター ンが同じである複数の財又はサービス)
(企業会計基準第29号7項)
履行義務の識別時期については契約における取引開始日となっております!
(企業会計基準第29号32項より)
ステップ3 取引価格を算定する
取引価格とは、財又はサービスの顧客への移転と交換に企業が権利を得ると見込む対価の額(ただし、第三者のために回収する額を除く。)をいう
(企業会計基準第29号47項)
ステップ4 取引価格を履行義務に配分する
取引価格の配分のポイントは以下の2つです!
1つ目のポイント!!
それぞれの履行義務(あるいは別個の財又はサービス)に対する取引価格の配分は、財又はサービスの顧客への移転と交換に企業が権利を得ると見込む対価の額を描写するようにう。
(企業会計基準第29号65項)
2つ目のポイント!!
財又はサービスの独立販売価格の比率に基づき、契約において識別したそれぞれの履行義務に取引価格を配分する
(企業会計基準第29号65項)
独立販売価格の比率に基づいて、取引価格を配分するところが重要です!
独立販売価格とは、
”財又はサービスを独立して企業が顧客に販売する場合の価格”(企業会計基準第29号9項)
となります。
イメージとしては、従前の収益認識では一括で計上されていたものが
厳密に分けて計上される可能性があります!
ステップ5 履行義務を充足した時に又は充足するにつれて収益を認識する
最後のステップは収益の測定です!
測定には2パターンあります。
履行義務を充足した時
履行義務が一定の期間にわたり充足されるものではない
⇩
資産に対する支配を顧客に移転する(履行義務が一時点で充足)
⇩
収益認識
イメージしやすい取引は商品(物)の販売です!
一定の期間にわたり充足される履行義務
一定の期間にわたり充足される履行義務は、次のいずれかの要件を満たすものが対象となります!
“(1) 企業が顧客との契約における義務を履行するにつれて、顧客が便益を享受すること
(2) 企業が顧客との契約における義務を履行することにより、資産が生じる又は資産の価値が増加し、当該資産が生じる又は当該資産の価値が増加するにつれて、顧客が当該資産を支配すること(適用指針[設例 4])
(3) 次の要件のいずれも満たすこと(適用指針[設例 8])
①企業が顧客との契約における義務を履行することにより、別の用途に転用することができない資産が生じること
②企業が顧客との契約における義務の履行を完了した部分について、対価を収受する強制力のある権利を有していること”
( 企業会計基準第29号38項 )
実務上、要件のあてはめが必要になってくると思います!
5つのステップー適用例 図解で簡単!【設例1より】
一番イメージがしやすい設例1の収益認識フローを取り上げました!
【設例1の前提条件】
“(1) 当期首に、A 社は B 社(顧客)と、標準的な商品 X の販売と 2 年間の保守サービスを 提供する 1 つの契約を締結した。
(2) A 社は、当期首に商品 X を B 社に引き渡し、当期首から翌期末まで保守サービスを行う。
(3) 契約書に記載された対価の額は 12,000 千円である “
(収益認識に関する会計基準 設例 Ⅰ1項)
設例1を図解にしたものが下記となります。
【解説】
①顧客との契約を識別する
②商品の販売と保守サービスは異なる履行義務として分けて考える!
③取引価格を算定する!設例1では契約上の対価の額12,000千円!
④独立販売価格の比率で取引価格を履行義務①(商品販売)と履行義務②(保守サービス)に配分する!
今回のケースは、例えばPCを購入した時の商品自体の価格とその後のサービスサポート料の価格をわけて考えます!
顧客の立場からは一括で対価を支払ったとしても、収益認識をする側は分けて考える必要があります!
⑤商品の販売を一時点(当期収益10,000千円)、保守サービスを一定期間に按分(当期の収益1,000千円、翌期の収益1,000千円)して収益計上します!
もう一度、5つのステップを思い出してみましょう!!!
イメージは湧きましたでしょうか?
各論を見ていく前に、基本原則をざっくり押さえることが必要な理解の近道かもしれません!
終わりに
最後までお読みいただきありがとうございます。
収益認識基準は実務上、重要な位置づけとなってくるでしょう。
公認会計士として会計監査に従事していて強く感じることは、収益は会計監査上、重要性がかなり高いです!
収益認識基準の適用によって、損益計算書の数値が大きく動いてくる企業もあります!
コツコツ理解していく必要性がありそうです!
それでは次の記事でお会いしましょう!
公認会計士クロ
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