『男はつらいよ』の原案は安藤昇が考えた!
ご存知、山田洋次監督、渥美清主演による国民的人気シリーズ『男はつらいよ』。実はその原案を考えたのは安藤昇だった。山田洋次は、安藤主演の松竹作品『望郷と掟』(66年)に助監督としてついていたが、安藤は「何となく」山田のことが気に入っており、自身の企画の監督として推薦したり、アイデアのプロットを渡して脚本にしてほしいと頼んだりしたのだという。
そのときのアイデアが、「ヤクザが市民社会の中に入っていって、騒動と笑いを引き起こす」というヤクザ喜劇だった。一ヶ月後、山田洋次は「書けません」と断ったが、しばらくしてフジテレビでドラマ版『男はつらいよ』が始まった。フーテンの寅次郎はテキ屋であり、いわゆるヤクザの一種である。プロットを盗用されたと感じた安藤は怒ったが、表沙汰にはしていなかったという。
「山田洋次に会ったら、あいつを締め上げなければいけないところだ」と安藤は語っているが、一方で「俺のアイデアを取った不届きな奴だが、才能はあるよ」とも賞賛もしている。その後、特に揉めたという話はない。よかった。
口で「バーン、バーン」というのが嫌で俳優引退
安藤昇は、俳優デビューしてから約12年で一線を退く。その動機として、銀座でのロケなどでピストルを撃つリハーサルの際、「バーン、バーン」と口で言うのが嫌になった、という逸話がよく知られている。銀座は知り合いが多く、恥ずかしくて仕方なかったらしい。
この人ほどインテリヤクザ居ない。
ゴキブリ、カスも伝説へ。