「VOCALOID 東北ずん子」発売直前! “お父さん”たちにその歩みを聞いてみた (1/2)
東北地方を応援する版権フリーのご当地キャラ「東北ずん子」。その誕生やボーカロイド開発秘話など、生みの親にいろいろ聞いてみました。
東北のシンデレラ・東北ずん子の歩み
東北地方を応援するという重大な使命を与えられ、2011年10月に登場した版権フリーのご当地キャラクター「東北ずん子」。
ずん子ちゃんと仲間たちによる会話形式のTwitter小説、日本中を冒険する横スクロールのスマホ向けアクションゲーム、読み上げソフト「VOICEROID+」への対応など、さまざまなコンテンツを公開してきた「東北ずん子」がいよいよ6月5日にボーカロイドソフトとして新しい一歩を踏み出します。
そこで今回は「東北ずん子」にとって親のような存在にあたるSSS合同会社の小田恭央さん、イラスト担当の江戸村ににこさん、Twitter小説担当のさとうとしおさんの3人に、デビューした当時の思い出や「VOCALOID3 東北ずん子」、各コンテンツの裏話などをたっぷりと聞かせていただきました。
なぜ「ずんだ餅」?
―― 「東北ずん子」が登場したのは2011年の秋でしたね。
ずん子ちゃんのプロジェクトが始まったのは2011年。ちょうど東北の大地震があった年ですね。
―― あの地震でプロジェクトに影響は出ませんでしたか?
影響というか。もともとは地方キャラクターとして作ろうとしていたんです。でも、あの地震があってみんなが暗くなっちゃっているのを見て、何か応援できるようなことができたらいいなと。
―― だから東北応援キャラクターなんですね。
ずん子ちゃんは基本的に版権フリーなんですが、商業利用に関しても東北6県に本籍をおいている企業さんであれば自由にしていただいて良いですよっていうのはそこですね。
―― ずん子ちゃんのデザインって最初から今のような感じだったんですか?
「東北ずん子」のデザインは「ずんだ餅」がモチーフになっているんですが、初期はもっと緑色が多かったですね。
Googleの画像検索で「ずんだ餅」の画像を出しておいて、それを眺めなら描きましたからね。すごくおなかがすきましたけど。
―― ずんだカラーの主張が激しい! でも正式版と比べてデザインはあまり変わっていないんですね。
ずん子さんのデザインはそんなに修正がきた覚えがないです。
デザインで苦労したのは四国(ずん子の友達・四国めたん)くらいじゃないですかね。
そうですね。四国は……全書き直しでしたね。
―― ちなみになぜ「ずんだ餅」だったんですか?
名産品というのもあるんですが、「ずんだ餅」を食べる地域が東北の大地震で被災した地域と重なっていることも関係しています。
―― 東北を応援するキャラクターですものね。
ちなみにずん子ちゃんの本名は「東北じゅん子」といって、それが東北なまりで「東北ずん子」と呼ばれているんですよ。
ずん子、準優勝を佳作だと思い込む
―― ずん子ちゃんがデビューしてから思い出に残っていることを聞かせてください。
ずん子ちゃんが「Creative Market Tokyo」(経産省・関東経済産業局のクリエイティブ産業振興プロジェクト)で審査員特別賞を取ったことですね。ずっと佳作を取ったんだと思っていて、1年後くらいに準優勝クラスの賞だと分かって驚きましたw
―― 1年も気づかなかったことにびっくりデス。
優勝は絶対ムリだけど、佳作はたぶん取れるからって言って応募したんですよ。実際は佳作どころじゃなかったんですがw
―― 佳作は取れるって言い切れたのはすごいですね。
優勝は絶対にムリだと思ったんです。いつも動画を使った作品が優勝しているので。でも佳作はイケるな……という、特に根拠のない自信がありましたね。
Twitter小説というフォーマットの苦労
―― ずん子ちゃんと言えばTwitterを使った活動も盛んですよね。今も続いているTwitter小説は書籍化されましたし。
ぼくがプロジェクトに参加したのは2012年の5月ごろなんですが、参加するなりTwitter小説の最初の公開予定日が6月の中旬くらいだと言われましたね。
―― 小説を始めるにあたって参考にしたものってありますか?
最初の段階で「2chのSS(ショートストーリー)みたいな感じの会話形式がいいよね」ってことは決まっていました。
それを「Twitterでやったら面白いんじゃない?」ってことで、今のTwitter小説のスタイルができました。でも更新作業がねぇ……めんどくさい(きっぱり)。
―― そんなにハッキリと言っていいんですか!w
実際に始めてみると複数のTwitterアカウントを使っているので、いろいろと大変なんですよ。
今はもうエクセルを使ったツールでやっていますけどね。
―― どんなツールですか?
エクセルに必要なものを入力したら自動でTwitterに投稿してくれます。
―― そんなことをポロリしちゃっていいのですか?
初期から読んでくださっている人は気づいているようですね。投稿スピードが変わったってTwitterで言われていました。
―― 確かに投稿時間が……。ほかに苦労したことと言えばなんですか?
最初のころはセリフの修正をたくさん入れられましたね。
ずん子ちゃんはこんなことを言わないだろう、と。
あと「間」が作れないのもつらいんですよね。
―― Twitter小説って大変なんですね……書籍化されたときはどうでした?
発売されたという実感はまだありませんね。
―― 発売されてからもう半年も経っているのに!?
書籍が出たときに本屋さんに並んでいるのをみたら実感するよって言われたんですが、ぼくはAmazonで買い物をするタイプの人間なので……。あっ、なのでAmazonレビューは読みました。
―― 書籍化で苦労したところってありましたか?
基本的にTwitter上の会話で成立させているものから書籍という読み物に仕上げるのは大変でした。ほとんど書きなおしましたよ。
―― 続編が出たときも大変でしょうね…。 あれ? 続編って出ますよね?
ど、どど、どうなんでしょうね(チラッ)
たくさん売れたら出ますよ! きっと!
ならばさりげなく宣伝を……ということで筆者独断のステルスしないマーケティング! 江戸村ににこさんのかわいいイラストも堪能できる東北ずん子ちゃんの小説「東北ずん子 『むちむち』じゃありません! 『もちもち』です!」が好評販売中です! お値段、たったの1080円です!
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