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(木枯)お待たせ。
君に ちゃんと紹介しておきたいと思って。山藤太郎さん。
(裕一)あっ。改めまして 山藤です。
古山裕一です。 あっ 木枯君とは同期で…差は もう ついちゃったんですけど…。
木枯さんは あなたには とても才能があると おっしゃってましたよ。
お世辞ですよ。(木枯)僕は お世辞なんか言わない。
君の曲は 山藤さんに きっと合うよ。
いつか 是非 一緒にやってほしいな。あ… ありがとう。
あれ? これ…。
ああ… あの…早稲田の応援歌 頼まれまして。
慶應の あの「若き血」に必ず勝てって言われてます。
フフ…。どうしました?
「若き血」は僕が塾生時代に生まれたんです。
えっ?(山藤)応援団に歌唱指導したのは僕なんです。
えっ… 応援団だったんですか!?いえいえ…。
歌の指導を頼まれたんです。
♪「光輝みてる我等」
(山藤)その時 僕は まだ2年生なのに上級生に対して 何度も何度も 違うと歌わせたあげく…。
何回言ったら分かるんだ。
ただ 大声出したって気持ちは伝わらないんだ!
あなたたちは 母校を愛してないのか!?
うるせえ~! 調子に乗るな。
俺は お前より慶應を愛してる!
この大学を 何よりも誰よりも俺は愛してる!
それです。はあ?
今のあなたの叫びこそ 「若き血」です。
「若き血」が応援歌になって以来我が慶應義塾は早稲田に連戦連勝です。勝つのは… 容易ではないですよ。
う~ん… 勝ち負け以前の問題です。
♪~
♪「泣いて 生まれて 響く命」
♪「きっと嬉しくて 笑っているんだ」
♪「僕らはきっと 出逢うでしょう」
♪「手を引き 背を押し 出逢うでしょう」
♪「きっといつか今日の日も意味を持って ほら」
♪「耳をすませば」
♪「星の見えない日々を 超えるたびに」
♪「互い照らすその意味を知るのでしょう」
♪「愛する人よ」
♪「親愛なる友よ」
♪「遠くまで 響くはエール」
あれ? まだ書けてない。 え~?
(ノックとドアが開く音)
あ~ ありがとう。
(音)進まんの?う~ん…。
前半は シューベルトのイメージでいけそうなんだけどね最後が もう全く浮かばない。
「覇者 覇者」の部分?
応援歌ってさ迫力が大事だと思うんだけど「は」の発音って弱いでしょ?そうね。
「か」とかなら いいのかな?
「勝つ!」とか こう…「かっ飛ばせ~」とか…。
提案してみようかな。うん… 頑張って。
ありがとう。
「勝~つ!」 「かっ飛ばせ~」。
(田中)なかです!
こん歌詞は完璧ですけん。そうですか…。特に この「覇者 覇者」は慶應ば圧倒する気持ちが出とって譲れんとです!
そ… そう…はい 分かりました。 はい。
お願いします!はい… はい… お願いされました。
失礼します!はい どうも。 ご苦労さまです。
(保)ありがとうございました。
(保)お代わりは?あっ お願いします。
困ってるね~。 書けないの?
あ~… 応援歌って ほらある一定の形 あるじゃないですか。
どうしても それに引っ張られてありきたりになっちまうんです。
ありきたりじゃ まずいの?いや そりゃ…そりゃ どうせ 作んなら違うもん作りたいじゃないですか。
そっか… そうだよね。
僕も 毎日 同じコーヒーを作ることに疑問を持つことがある。
いや… コーヒーは…。えっ 何?
いや… その味が飲みたくて来てるわけで毎回違ってたら… 困りますよ。
裕一君が書けないのはさ 自分の音楽を作ろうとしてるからじゃないかな?僕が コーヒーをブレンドする時に考えるのは お客さんの顔なわけ。これを飲んだら どんな反応するかなとか。
意味分かんないよ! 僕が 曲 作んのに何で自分の音楽 作っちゃいけないの?
だったら ほかに頼んでも同じってことになんない?
マスター 客商売だから こびないとやっていけないかもしれないけど僕たちの世界じゃ 意味ないよね!?ねえ そう思わない?
難しいよね。
いや 人のまねして歌えって言われてどう思う?
ありきたりの歌が分かりやすいからって安易でしょ?
私は まだ基礎やっとる段階だからよく分からんけど…。
何?
廿日市さんも言ってた。 裕一さんの音楽は西洋音楽に こだわっとるって。
そ… そりゃ… そりゃ 僕 西洋音楽で音楽 学んだんだもん しかたない。
そうなんだけど… 作ってくる曲が…作ってくる曲が…。
何? 言って。 聞いときたい。
怒らん?
うん… 僕 冷静だよ。 言って。
「鼻につく」って。
普通に盛り上がればいいメロディーも何か…こざかしい知識をひけらかして曲を台なしにしとるって。
怒った…。 でも言っときたかったの。
一年間 一枚もレコードになっとらんのは事実だし何か変えんと まずいと思う。
変える? 変える?
フフ… 何それ。
いや… 本当だったら 今頃 イギリスで音楽の勉強してるはずだったのに東京の隅っこで応援団と大衆曲の曲 作ってんだよ?
もう十分 変わってるよ!
それでも… それでも 自分の音楽表現しようって頑張ってんだよ!
…なら このままでいいの?
自分の音楽は捨てないよ。捨てたら意味ないよ!
(せきばらい)もういい。
明日から ごはんは作りません。勝手にやって下さい。
ん~! んっ… んっ!
あ~ みんな 何なんだよ…。
僕に何を期待してんだよ!
人には得意不得意あんだろうに…。
うん…。
こうなったら…。
これだ… これが僕だ。
久志さんの心配が当たりました。
(久志)でしょう? 裕一みたいに独学でやってきた人間は往々にして はまりやすいケースだよね。
久志さんは 悩み事とか ないんですか?
そう見える?
だって… 学校内では憧れの的だし歌も顔もいいですし相談したらいつも的確な答えを下さいますし。
ほれた?人妻です。
裕一の最大の幸福は… 君だ。
音楽の才能は その次。
そんな…。
そうだといいんですけどこのままだと裕一さんが心配で。
才能を無駄にして後悔しながら生きてほしくないんです。
応援歌を作ることで何かが変わる。
応援歌は文字どおり 人を元気づける歌だからね。
・キャ~!
・ああ… すてき…。
それ 気を付けた方がいいですよ。
罪だな… 僕という存在が。
(恵)う~ん… どうだろう?
彼を変えられるのは自分だけだと思うけど。
私にできることは ないってことですか…。
そうねえ…。
あっ!
あっ… あった あった。 はい。
徳川家の遺訓?
(恵)「人の壹生は重荷を負て遠き道をゆくが如し急ぐべからず」。
「不自由を常と思えば 不足なし」。
♪~
う~ん… あと100回だな。
♪~(鼻歌)
♪~
んっ!
♪~
何もしないって つらいわ 家康さん。
出来た… 最高傑作かもしれない。
裕一が書き上げたのは「反逆の詩」という西洋音楽でした。
(貧乏揺すりの音)
ん~… うお~!
曲は まだね!? あと5日ったい!
(小熊)団長! もうほかの作曲家を手配しましょう!
こ~りゃ~!
お前… それでも応援部とね!?
人ば信じられんで なにが応援ね!
俺は信じとう… あいつば 信じとう!
はい…。・(事務局長)失礼するよ!
(事務局長)うん? 君たち 新しい応援歌を作っていると聞いたが 本当かね?
それが何か?
作曲は誰かね?古山裕一っちゅう若者です。
おいおい! それは困るね~。
学校の応援歌を勝手に やってもらっちゃあ。
詞も公募です。 問題なかでしょう。
西條八十先生が関わってるなら詞は問題ないでしょう。
曲は 我々が選んだ人に作ってもらいます。
秋の早慶戦まで あと5日です!間に合わんとです!
(事務局長)別に今季でなくてもいいでしょう。
いや… それでは団長が卒業になってしまいますよ!
だから?あっ いや…。
学校のことに個人の思いなど挟まる余地はなし。
話はつきましたね。では私が 日本で最高の作曲家小山田先生に頼んであげましょう。
(村田)小山田先生は一度作っておられます!だから?
その時の曲が古くさいと あまり評判がよくなく…。
個人の主観など関係ない! では!
団長… どうしますか!?
フフッ… ハハハハハ…。
ハハハハ… ハハハハハ!
これで俺ん腹は決まった。
古山裕一と心中ったい!
何が どげんなろうと早稲田第六応援歌は今度ん早慶戦で歌う! よかか!?
(一同)はい!
そのころ 裕一は…。
♪~