今回は安旨ウイスキーとして古くからピックアップされるボトル、ハイニッカを飲みます。

マッサンが大切にした安旨ウイスキー

hin_2020_ハイニッカは、1964年に二級ウイスキーとして発売されました。

当時の二級ウイスキーの基準として、ウイスキー全体に対するモルトやグレーン原酒の混和率が13%未満という制限がありましたが、ハイニッカは上限ギリギリの割合までモルト原酒を加えることで、香りや味わいが多少感じられるよう配慮されたものでした。

元々は「ハイハイニッカ」として売る予定でした。由来は、高忠実度を意味する"Hi-Fi"から採りつつ、「はいはーい」と親しんで呼んでもらいたい思いを込めたと言われています。
実際には「ハイニッカ」と商品名が決まりましたが、ラベルを作り替える余裕が無かったのか、当初のラベルには「HiHi NIKKA」と表記されていました。

1964年当時の大卒初任給が21,200円の時代、ハイニッカは500円で発売されました。

現代の感覚からすると決して安いものでは無かったと思われるものの、ハイニッカは大ヒットし、翌年に一級ウイスキーとして発売されたブラックニッカと共に、ニッカの人気を牽引していきました。

最大手であったサントリーがハイニッカのヒットに対抗して、サントリーレッドを出すほどでした。

創業者でハイニッカも手がけたマスターブレンダーでもあった竹鶴政孝は、晩年にはハイニッカを愛飲していたとも言われ、多くの消費者が飲むボトルの品質に気を遣っていたといえるでしょう。

また、宮城峡蒸溜所の場所の選定においても、新川川の水の印象を確かめるために、ハイニッカで水割りにして飲んだとも言われています。

1989年にウイスキーの等級制度が撤廃された後、モルトとグレーンの原酒のみに改められ、より香りや味わいが高まるブレンドに改められ、今に至ります。

では実際に飲んでみます。

ストレート

先にカラメルを思わせる甘い香りが先行し、リンゴ、栗の香りが後を追ってきます。

味わいは、アルコールからの辛みは少なめで、甘さが主体になります。しばらく経つとほろ苦さも幾分感じられます。

甘くて飲みやすい印象ですが、香りはそれほど豊かに感じられません。

ロック

ストレートよりもアルコール分が揮発した印象で刺激が鼻をつきます。その後はリンゴやナシのフルーティさが続き、カラメルの甘い香りも後に感じられます。

加水が進むと、樽からの木の香り、カカオの香ばしさも表れてきます。

味わいは、ほろ苦さが前に出るようになり、内々に酸味がほのかに秘められた印象で、後味に甘みが残ります。

ストレートとは一変して飲みやすさが薄れていますが、香りは強くはないものの、広がりが出てきます。

水割り

トゥワイスアップにすると、栗の香りが口に広がり、続いてアルコールを思わせる刺激を経て、リンゴやライムのフルーティな香りが続きます。
味わいは、苦みが先行した後、甘さが後からやってくる印象です。

一方で1:4で割ると、ゴムを思わせる香りが先立ち、後からほのかに樽の香りが続きます。

味わいは、軽く苦みが感じられるほどで、あまり感じられなくなります。

あまり水で割ると、ウイスキーならではの香りや味わいがなくなってしまい、ウイスキーを飲んでいる雰囲気を得られません。

ハイボール

1:3で割ると、ナッツを思わせる香ばしい香りが先行し、後からリンゴ、ライムの香りが続きます。

味わいは、多少の苦みはあるものの、炭酸と相まった酸味が主体となり、さっぱりした印象になります。

水で割るのと炭酸水で割るのとで、ここまで性格が変わるのはとても面白いと思います。
水割りよりもハイボールの方が気持ちよく飲める印象です。

まとめ

ブラックニッカクリアに比べると、香りはそれほど強く感じられる印象は無く、一方で甘みが強めの印象です。

加水が進むと香り味わいが大きく薄れますが、ハイボールにした場合だと炭酸からの酸味が加わって気持ちよく飲めるように変わります。
  • メーカー:ニッカウヰスキー
  • 容量:700mL
  • アルコール度数:39度
  • 香り:カラメルが先行し、リンゴ、栗、ナシ、ライムの香りが続く。
  • 味わい:ストレートでは甘みが目立つが、加水ごとに苦みが高まる。酸味はほのかに感じる。
  • ストレート B: アルコールの辛みが少なく。意外に飲みやすい。
  • ロック B: ほろ苦さが目立つものの、後から甘みが広がり、悪くはない。
  • 水割り D: 一般的な水割りでは香りや味わいが消えてしまう。
  • ハイボール A: 酸味が高まり、すっきり飲める。