【特別公開】〈Archive／Interview〉Mrs. GREEN APPLE／音楽と人2017年6月号

火曜日から日曜日、過去の記事を1日1本ずつ特別公開中！　反響の大きかった記事、今だからこそ読んでもらいたい記事などを、編集部がセレクトして、お届けします。

本日は、Mrs. GREEN APPLEがシングル「どこかで日は昇る」をリリースした時に行われた、大森元貴（ヴォーカル＆ギター）と若井滉斗（ギター）の同級生コンビによるインタビュー。2人の特別な関係を垣間見る記事となりました。

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『音楽と人』2017年6月号
Mrs. GREEN APPLE

小学生の頃からプロのミュージシャンになることを本気で目指し、音楽の道へ自分を追い込むために学校にもあまり通わず暗い青春時代を過ごした大森元貴（ヴォーカル&ギター）。彼が組んだMrs. GREEN APPLEがここまで大きな存在になったのは、その時の努力の賜物であることは間違いないだろう。でも今回のニューシングル「どこかで日は昇る」しかり、彼の作る曲には必ず自分以外の誰かの存在がいる。そしてこのバンドにおいては、バンドのリーダーでありギタリストである若井滉斗が大森にぴったり寄り添う相棒のような人物として存在している。バンド内で唯一大森と中学時代の同級生という間柄の彼が大森に声をかけたことが、このバンドの始まりであることも含め、若井の存在は大森にとってとてもデカいはず。というわけで今回は〈友達〉をテーマに2人で仲睦まじい写真とともに取材に臨んでみたら、思っていた以上に2人の関係は特別なものであることがわかった。

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今回このコンビで取材することとシングルの関連性は特にないんですけど（笑）。

若井「あはははは！」

大森「や、僕はあるような気がする。いきなり本質的な話になっちゃうけど、今まで僕が書いてきた曲というのは、この5人で鳴らす意味とか理由みたいなものをたくさん考えた末にできた曲だったんだけど、今回はちょっと違ってて」

どう違うと？

大森「今回映画の主題歌っていうのもあるけど、この5人の曲っていう意識より、もっと多くの人のものになる曲っていう前提で書いたというか。つまり4人のことを意識せず曲を書いたってことで、しかもそれって結成当時の感覚に近くて。例えばメンバーとの距離の取り方含めてそうなんだけど、それを一番わかってるのが若井なんですね」

どの曲も自分以外の誰かを思いやるようなシングルで。20歳になると唄う内容も変わるもんだなと（笑）。

大森「あー、確かに成人式に行ったから書けた内容だとは思う。1曲目とか特に人との繋がりをテーマに書いているので」

そういえば成人式は2人で？

若井「一緒に行きました」

大森「楽しかったよね。楽しかったけど、懐かしい気持ちになって、でもその懐かしい気持ちっていうのは、僕にとってはあんまり嬉しいものではなく（笑）。今まで散々話してきたんで説明不要だと思うけど、とにかく当時のことをたくさん思い出すような時間でした。若井はめちゃめちゃ楽しんでたけど」

若井「楽しかったです（笑）」

大森「はしゃぎ過ぎて潰れちゃって先に帰っちゃったもんね」

ウェイウェイしたと（笑）。で、話を戻すと、成人式で感じたことが「どこかで日は昇る」には入ってて。

大森「と思います。やっぱり人との繋がり、ですよね。僕、小学生の時に〈ミュージシャンになるぞ！〉って決めてからあんまり学校に行かなかったじゃないですか。ずっとそういうモードでここまで来たけど、それを成人式で1回フラットにされた感じがして。それこそ昔の友達は僕をミュージシャンとしてではなくひとりの同い年の人間として見るわけだし。僕もみんなのことをそうやって見るし。つまり同じ制服着て同じ学校に行ってた感覚が久々に蘇って」

それを楽しいと思えたってことが大事で。

大森「楽しかった、とっても。だからすごくいろんなこと思い出して、もっと日常というか日々のことだとか誰かとの繋がりとかを自然に書こうと思ったんじゃないかな」

で、その日々の中に若井くんもいたと思いますが、大森くんとはどういうきっかけでバンドをやることになったんですか。

若井「中1の時に元貴と同じクラスになってるんですけど、そこではあんまり仲良くならなくて。それで中3でまた同じクラスになった時、僕はもうギターを始めてたんですけど、当時学校で僕以外に音楽やってる人は元貴しかいなくて、それで僕から話をしにいったんですけど、元貴は僕のことを避けて……」

あははははは！

大森「その時僕はすでにオーディションとか受けたりするような、つまり音楽は趣味としてじゃなく命題としてやってて。だからこないだギター始めたようなヤツと一緒に音楽をやるとか考えられなかった」

若井「確か『なんのギター使ってるの？』って話しかけたんですけど『え……レスポールだけど』みたいに迷惑そうな感じで返されて。でも修学旅行で一緒の班になって、そこでお互いの深いところを話して仲良くなったんです」

大森「そうだね」

若井「修学旅行がなかったら一緒にバンドやってないよね」

大森「あれがきっかけだよね。だってさ、修学旅行って数日間一緒にいなきゃいけないから（笑）」

修学旅行から帰ってきて、さっそく一緒にやろうと。

大森「『スタジオ入ってみよっか』ってなって」

若井「僕もそれまで音楽仲間みたいなのがいなかったんで、スタジオに入るのがその時初めてで」

2人でスタジオ入って何をやったんですか？

若井「あともう1人ドラムがいて3人で入って。あの時やったのはコピーだったけど、それでも元貴の魅力がめちゃめちゃ出てたんですよ。演奏も歌もずば抜けてすごいというか、すでに中学生レベルじゃなかった」

大森くんはどうだった？

大森「まぁ言ってしまえば、ドラムの子も含めて演奏はめちゃくちゃで。中学生がお小遣いでスタジオに入ってみましたっていうレベル。でも僕はすでに大人の人とスタジオに入ったりしてたんで、つまり若井とはまず音楽じゃないところからスタートした、みたいな（笑）」

そこにギャップを感じなかった？

大森「スキルはもちろんとんでもないレベルだったけど、若井からは純粋に〈やりたい！〉っていう気持ちが伝わってきたというか。それがなんか……〈楽しいな〉と思ったんですよね」

そこが自分的には意外だったのでは？

大森「たぶん。だって僕、最初は若井のこと嫌いでしたからね。これは成人式で思い出したことのひとつだけど、こいつはサッカー部でわりと……それこそウェイウェイしてたんですよ（笑）。それがすごく嫌で、当時は。友達と群れて『ウェーイ！』みたいな」

若井「ウェーイって（笑）」

大森「だから成人式で〈そういえばこいつのこと嫌いだったな～〉とか思い出したんですけど。だから不思議だよね、そんな人と一緒にバンドをやることになるなんて」

すごく優しいけど、すごく鈍感なところもあれば敏感なところもあって……こういう人じゃなかったらたぶん、僕は一緒にやれてない