だいぶ前に買ってたのですが感想はまだ書いてなかったので。
帯には『KEI×GONZOが贈るオリジナルアニメの公式スピンオフ!!!』と書かれています。
これでこぴはん三種が揃いました。CD1枚、マンガ2冊。
あとはアニメDVDだけですね。出なさそうだけど。
あらすじはこんな感じ。
2034年の近未来。
ペーパーレス、電子貨幣ばかりになって便利になっていた。
瓜野という少女は手にりょーまというパペットをつけている。
瓜野は無口。りょーまが代わりに喋った。
瓜野は推理が得意なようだった。落し物から持ち主を当てたりする。
その推理力を見込まれて?国語の石南先生に呼ばれ学内の事件解決を依頼される。
グロ画像が送りつけられる事件。すぐに犯人を見つける。
解決した褒美として校内新聞を復活させる。
瓜野は校内新聞を配信する。
が、この町に徳川埋蔵金があるという話が出て新聞の人気は奪われる。
さらに校内新聞の配信システムを誰かがハックして埋蔵金のニュースをばらまく。
瓜野はいろいろ調べて犯人見つける。
犯人は陸上部に恨みがあり、埋蔵金発掘で校庭が荒れて陸上部が練習できなくなるようにしたかった。
埋蔵金はデマだったが、代わりに1999年に書かれた書類を校庭から掘り出す。
高校名が現在の「熊四手高校」ではなく「熊が山から降りてきてどぎゃんした高校」だったと記されていた。
学校側は改名するかでもめるが、最終的に改名することで決定。
生徒たちは無関心。
瓜野と少数の生徒は改名反対に向けて活動開始。
資料が本物かどうか探る。
資料が捏造と暴いて、すべての黒幕を見つけて、
黒幕は実は高校のためを思ってやっていたと自白して。
瓜野は正式な新聞部を作ることになって、終わり。
うーん。
絵はよかったです。
内容は、……こぴはんのアニメに比べたら面白かったです。
まあそれは分かった上で購入したので。
知りたかったのは、なぜ製作者は舞台を近未来に設定したのか、そして各キャラたちにはどのような動機と目的が設定されているのか。
それだけのために買いました。
KEI版のマンガでは、あまりわからなかったので。
例えばソードアートオンラインなら物語の中心となるバーチャルリアリティのMMORPGが必要で、技術が確立されてるだけでなく一般家庭にまで普及していないといけません。なので必然的に舞台は近未来になると思います。現代だとどれだけ辻褄あわせを頑張ってもリアリティが薄れてしまいます。
ガンダムだってサイコパスだって同じ。
現代にはない技術が普及していることにするには近未来にした方が物語に説得力が生まれます。
今回のこぴはんの内容はミステリ風のストーリーでした。
学園で発生した問題を調査して解決するという。
近未来という設定は結局ほとんど関係なかったです。
これなら別に現代でも問題なく同じ話を展開できるのになーと思いました。
唯一近未来が関係してたのは情報は100%電子上でおこない、紙媒体はなくなったという設定でしたが。
それなら生活スタイルは激変しているはずだけど、そういう部分は見られない。
たった20年で紙が消える説得力がないのかなーと。
紙が消えたら、法律や社会や文化も変化を遂げているはず。
ノートやペンが消えたという小道具的な変化だけでなく、すべてが電子媒体に変わった世界を人々が受け入れて暮らしているなら、その世界には大きな思考の転換が存在するはずです。
それが書けたらSFだし、近未来設定も生きてくる気がします。
キャラクターも漠然とした設定しかなかったです。
瓜野は校内新聞を復活させたいという目的を持っているようなのですが、なぜ復活させたいのかと言えば、校内新聞を復活させたいから、です。
トートロジーに陥ってますね。これがキャラが薄くなってる原因かなと思います。
例えば瓜野がこの学校に入ったのは賞をいくつもとる優秀な新聞部があったから。なぜ新聞が作りたいのかといえば、無口な自分は人とうまく意思疎通できないけれど、新聞では多くの人になにかを伝えることができる、という魅力に引かれて作ってみたかった。なのに廃部になっていたから復活させたい。
ぐらい設定されてあると共感できる目的になったかなと思います。
あとストーリーの構成が、正しいのにおかしかったですね。
連作短編でありつつ大きな流れもあるのですが。
全体から見てここをプロットポイントとして設定したんだなとは分かるのですが……。
事件自体に興味が惹かれないから、驚くべき出来事があっても、ふーんで終わってしまい、プロットポイントとして機能しなかったのかな、と思ったり。
そもそもセントラルクエスチョンが設定されていないからかも。
瓜野ははたして○○できるだろうか?という物語を貫く中心軸がない感じ。
でもまあ。
あとがきを読んで衝撃的だったのが、
瓜野の公式設定は『「他のキャラ皆から変な奴だと思われている」としかなかった』
あとイラストだけらしいです。
キャラのプロットが存在しないのかな。
それで話を作るのは大変だろうなと思いました。
とまれ、いろいろ書きましたが。
創作をする上で、キャラクターはどのように作るべきなのか、世界はどう設定すればいいか、ストーリーの組み上げ方。
こんなに考えさせられる作品はそうはないと思います。
とても参考になる作品でした。アニメとともに。
マンガや小説などの創作活動をしている人にはオススメ、かもしれません。
全然関係ないけど、やゆゆのループは名曲だと思います。
終わり。