◎検証Ⅱ【『南京の真実』の紙コップの件について】

2020年05月18日 17:59

◎検証Ⅱ【『南京の真実』の紙コップの件について】


この度の『南京の真実』の中で使用した「紙コップ」のことで巻き起こった論争で、
水島氏と松尾氏が資料評価及び歴史検証の素人だったことが明らかになりました。

1948年12月24日付ニューヨーク・タイムズの記事は、通信社の配信記事であり、
その通信社の記者も花山信勝教誨師の記者会見を取材して配信したものであり、
伝聞のまた伝聞を記事にした事になり、証拠価値はありません。

ニューヨーク・タイムズを松尾氏は
「神道の花山教誨師は、※絞首刑(刑)に服す男達にワインが入った紙コップを手渡し
 (※A級戦犯は)手錠をはめた手で彼らは受け取り飲んだと述べた」と、
鬼の首でもとったかのように大喜びしていましたが、
この場合の「1次資料」は、当事者である花山信勝教誨師の証言なのです。

そのニューヨーク・タイムズの記事について水島氏は
「NYタイムズはリベラルだがこういうものは嘘をつかない」と、
証拠を提示しないで断言していたが、法的知識のなさをさらけ出していて、
改めて歴史検証映画をつくる資格がないことが明らかになりました。

そもそも花山信勝教誨師は浄土真宗本願寺派の僧侶であり、
松尾氏が「神道」と訳したことは大爆笑なのです。

実際、★ニューヨーク・タイムズの「紙コップ」のくだりは、
〔17〕「花山師は、死刑を宣言されたこの者たちは、仮寺の中で手錠をかけられたまま、
 紙コップからワインを飲んだと言った」とあり、ここで言っている仮寺とは、
★『図説 戦争裁判スガモプリズン事典』75ページに
刑場の壁と監房楝の間にある小さな小屋が「観音堂」と表記されており、
『南京の真実』で描かれていた監房楝の一階での
線香・奉書・葡萄酒・水盃・万歳をした場所は間違いである。

ニューヨーク・タイムズの★同記事〔8〕
「彼が述べたところでは、東條と他の3名が『万歳』三唱をしたところは、
 処刑場のすぐ外にある小さな、仮の寺の中であった」とあり、
当時、対日理事会議長で死刑執行米国公式立会人の
★W・J・シーボルト著『日本占領外交の回想』149~150ページに
「公式立会人としてわれわれは、高座に立ったままで、
 死刑の執行を見守るように求められた。(中略)突然部屋の外で
 『万歳!』という叫び声が何度も聞こえ、
 その大声が静寂をとおしてはねかえるように思われた」とあり、
監房楝第1楝内から5分歩くと最低でも100m以上離れた距離になり
「万歳」は聞こえないでしょう。

同書149ページに
「午後11時50分きっかり、われわれは、電気が明々と輝き、
 暖房のきいた本館から、暗黒と寒気に包まれた戸外に出て、
 歩いて5分ほどで行ける死刑執行室へと向かった」とあり、
第1楝内では米国公式立会人が「万歳」が聞こえる距離ではないので、
処刑場のすぐ外の観音堂で一連の儀式が行われていたのです。

また『南京の真実』では
「処刑執行35分前 連合国処刑執行立会人入場」と描写されているが、
実際に入場したのは5分前だったので、史実の考証はことごとく間違いだらけです。

実際、GHQ占領下の国際法上の日本と連合国の法的位置づけは、
GHQダイク代将が1946年3月20日に第4回極東委員会で報告した
日本人に対する指令は「指令を発する敏速さは、
いわば戦争中の戦略にもたとえられようかと思います。現在なお、いくさなのです」と
端的に述べていた通り、国際法上は平和条約を結ぶまでは
「戦時」と認識することが常識なのです。

戦時中のニューヨーク・タイムズは反日プロパガンタ紙そのものであり、
その延長でA級戦犯処刑時も同じであり、
A戦犯を極悪非道で人間扱いしていなかったと見ると
「コップ」を「紙コップ」に変えて記事にしたことは
不思議でもなく普通だったととらえることが出来るのです。

そこで花山信勝教誨師の1次資料になる処刑前後を記述してある著書を探したところ
1949年2月15日発行の★『平和の発見―巣鴨の生と死の記録』(308~312ページ)と
★1982年8月7日発行の『永遠への道―我が80年の生涯』(307~312ページ)に
まったく同じ記述がありましたので、
「永遠への道」に記載されている花山信勝師の証言を1次資料として
『南京の真実』を検証します。

まず307ページ【往相から還相(げんそう)へ】
★《かくて11時半にもなったので、私は大急ぎで1階にかけ降りて、
 再び「仏間」の用意をし、コップに「葡萄酒」をつぎ、
 「水」を入れたりして、7人の到来を待った》と、
一連の儀式の前を記述してあります。

308ページ★
《とりあえず仏前のロウソクの火に「線香」をつけて、一本ずつ手渡し、
 私がこうろうを下げて手もとに近づけて立ていただき、
 それから仏前に重ねておいた奉書に「署名」をしてもらった》とあり、
『南京の真実』で線香を自分で2本とりこうろうにも自分で立ていたのは虚偽なのです。

308ページに
★《それからコップに一ぱいの「葡萄酒」を口につけてあげて飲んでもらう。
 さらに「水」のコップを私が少しずつ飲んでは、みなさんに飲んでいただいた》とあり、
「葡萄酒」も「水盃」も紙コップではなく「コップ」だったのです。

ちなみに★城山三郎著『落日燃ゆ』(1974年)では、
同場面を「ガラスコップ」と表記されています。

また塩田道夫著★『天皇と東条英機の苦悩』(1988年)では
同場面を「グラスにブドウ酒をついだり」と表記してあります。

水島氏は「米軍が使うために日本の業者に発注して作らせた」と明言していましたが、
東罐興業によると
「日本で、飲料用紙コップの生産が開始されたのは、
 1954年(昭和29年)当時のアメリカ進駐軍に
 コールド飲料用紙コップを納品したのが始まりです」とあり、
水島氏の発言は失当です。

いずれにしても、現在でもコップとは「ガラスのコップ」を意味しており、
コップを「グラス」と呼ぶようになったのは、
ワイングラスが一般的に定着した1970年以降ととらえると解りやすいのです。

いずれにしても花山信勝教誨師の証言が第1級の1次資料であり、
1949年2月15日に発行した著書にも「コップにブドウ酒をつぎ」とあり、
処刑の直ぐあとに執筆した著書が第1級の1次資料であり、
『南京の真実』での紙コップは失当である。

また水島氏は『南京の真実』は史実に基づいて制作したと断言しているが、
処刑場へ向かう隊列は同書に
「当番将校の先導で、その後にチャプレン・ウォルシュ師と私がつづき、
 そのうしろに土肥原、松井、東條、武藤の順で並び、両脇には看守、
 あとに将校が二、三人つづいて」とあり、
『南京の真実』では米国人牧師の姿が一切消されていることも失当である。


そして『南京の真実』の酷いのは、
花山信勝教誨師が2回の処刑シーンを物陰から覗いて
「感極まった」表情に演出していたが、同書には
★《急いで「仏間」に帰る途中、ガタンという音をうしろに聞いた。
 時計をみると、午前零時1分だった》とあり、
2回目の処刑の時も《この時も、また途中でガタンを聞いた。零時20分だった》とあり
史実に忠実ではなく失当である。

花山師が処刑場に入って読経するあいだ
《ウォルシュ牧師は、懐中電灯で、『聖典』を照らしていてくれた》と、
しんみりするシーンを『南京の真実』では無視しています。

当日の午後、国内外の記者との共同会見したときのことを同書314ページに
★《この会見で、ある外国通信社の記者が「棺」の中にある死者の表情について、
 執拗に私を追及した。私は思わず激して、それをたしなめた。》とあり、
死人に対しても敵対的な態度だった通信社の記者が配信した記事に
侮辱的表記があっても当然であり、それを決定的な証拠と大喜びする水島氏と松尾氏は、
資料評価も史実考証もできない歴史を語る資格のない素人なのです。

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