江戸川夏樹
第41回全国高校総合文化祭「みやぎ総文」(文化庁、公益社団法人全国高等学校文化連盟など主催、朝日新聞社など特別後援)が7月31日~8月4日、宮城県で幕を開けます。全23部門に全国から約2万人の高校生が集い、日頃の成果を発表します。今年の開催部門や参加校の一部を紹介します。
総合開会式で披露される七夕飾りには、「願い」や「夢」などが書かれた1万枚以上の短冊をつるす。大会の企画運営を担う「生徒実行委員会」のメンバーが県内の高校生らに呼びかけ、2年間かけて集めた。
東日本大震災では、県内で1万人以上が亡くなった。悲しみは消えないが、それ以上の願いであふれる宮城に――。そんな思いも込めた。そして、6年たった今の姿を全国の高校生に見て欲しいと願う。
仙台二華高3年の菊地里帆子さん(17)が、実行委に参加したきっかけは「悔しさ」だった。「何年たっても、宮城県はあの日のままだと思われている。海外に行けば、『波は引いたの?』と聞かれる。私たちはとっくに夢に向かって生きているのに」
出身は沿岸部の名取市閖上(ゆりあげ)。震災は小学5年の時だった。津波で家が全壊し、友人も亡くした。当事者の自分が伝えなければと、その時の様子を作文に書いたり、震災イベントで発表したりしてきた。だが、「2年たって、いつまで震災を引きずっているの、っていう友人からの視線を感じて、やめました。被災者だって言うの。でも、そしたら、私たちの元気さを誰が伝えるんだろうって」
2011年の総文祭の開催地は福島県。震災から半年もたっていなかった。《復興への決意が入り混じる中で必死でした。(宮城では)復興に向かう東北の元気な姿を世界に発信して》。今年のガイドブックには、当時の実行委員長のメッセージが寄せられている。実行委員長の仙台一高3年三浦凜理さん(17)が頼んだものだ。「今年は、震災があったことを伝えるのではなくて、震災があってからの6年間を見せることだと思う」
みんなで決めたテーマの一つが「つながる」。七夕プロジェクトを主導した仙台二高3年菅原優さん(17)は言う。「震災があったから、いろんな支援や言葉をもらった。知らない相手でも心が通ったように感じた。総文祭も同じ。互いの作品や技を尊敬し合って、自分の興味や関心、できることが広がっていく。それこそ『つながる』だなと」
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