韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協、正義記憶連帯の前身)は2012年、寄付金の入金を受け、慰安婦被害者の休養施設として、「平和と癒やしが出会う家」の建設地をソウル市麻浦区から安城市金光面上中里の田園住宅(農村の戸建て住宅)に突然変更した。当時挺対協の代表を務めていた尹美香(ユン・ミヒャン)次期国会議員(共に民主党)が17日に説明を行ったものの、疑惑は膨らんでいる。問題の田園住宅を紹介した人物が尹氏夫妻と親しかった同党の李圭閔(イ・ギュミン)次期国会議員(京畿道安城選挙区)だったことが判明するなど、釈然としない点が多数存在するからだ。
(1)「NL系」運動団体出身の与党次期国会議員が仲介
当時「安城新聞」代表だった李圭閔氏は地元建設業者のK氏が建てた田園住宅を挺対協に紹介した。K氏は安城新聞の運営委員長で、李圭閔氏とは特別な関係にあった。K氏は本紙の電話取材に対し、「李圭閔氏から『挺対協の尹美香代表から良いことに使うために購入したい』という連絡があったので売った」と説明した。政界からは「K氏が以前から李圭閔氏の『後見人』の役割をしてきた」との声も漏れる。
仲介者の役割をしてきた李圭閔氏は尹美香氏夫妻とさまざまな縁で結ばれている。尹氏の夫、キム・サムソク氏は同じ民族解放(NL)系列の運動勢力出身だ。李氏は1991年に利敵団体「反米救国戦線」を組織したとして、1年6月の実刑判決を受けた後、特別復権した。K氏も94年に「兄妹スパイ団事件」でスパイ、国家保安法違反の罪で懲役4年を言い渡され、2017年に大法院での再審でスパイ罪は無罪となった。K氏は現在、水原市民新聞の代表であり、李氏が15年まで安城新聞代表として活動していたことと共通点がある。2人は10年に設立された京畿地域メディア協会の設立メンバーでもある。
李氏は尹氏とも近い仲だった。尹氏は16年の総選挙に出馬した李氏について、「この男性の信頼性をよく知っている」と応援し、今年の総選挙でも李氏を公に指示していた。正義記憶連帯は17日、「安城は最終候補地3カ所の1つにすぎなかった」と説明した。
(2)なぜ高齢被害者が行けない場所に変更されたのか
現代重工業は12年8月、社会福祉共同募金会を通じ、慰安婦休養施設の建設に10億ウォン(約8700万円)を指定寄付すると発表した。休養施設は当初、ソウル市麻浦区城山洞に建てることが決まっており、現代重工業は12年12月に実際に寄付を実行した。ところが、挺対協はその後、現代重工業側に突然「京畿道安城市金光面上中里に場所が変更された」と通告した。同社関係者は「挺対協が特に声明もなく、事業計画を一方的に変更したものだ。慰安婦被害者女性の休養施設という基本趣旨に反してはいないと判断し、寄付の撤回はしなかった」と説明した。