フィンランド生活紹介ブログ 第15話です!

今日は、フィンランドで起業する際の準備段階で役立ちそうな情報を紹介します。

僕はフィンランド滞在中に、大学での研究活動と並行して起業することを検討中です。

自分の研究内容を、事業を通して社会に直接還元できる形にするのが目的です。

その準備の過程で僕が調べた情報をこのブログでシェアしていけば、今後海外で起業したいと考えている大学生や大学院生のみなさんの参考になるはずだと思ったため、この記事を書くことにしました。

それでは本題に入りましょう!
 

1. フィンランドで外国人が起業するには?

起業_フリー画像


フィンランドの首都ヘルシンキには、外国人が現地で起業することをサポートする機関 "NewCo Helsinki" があり、起業の準備段階で相談に乗ってくれる窓口があるそうです。
NewCo Helsinki:  https://newcohelsinki.fi/en/

また、このサイト内では、必要な手続き等に関する英語版のガイドラインがネットで閲覧可能です。
https://newcohelsinki.fi/lupamateriaali/ImmigrantEntrepreneurs_How_to_become_an_entrepreneur_in_Finland.pdf

具体的な起業準備はこのガイドラインを見ながら行なうことになるのですが、可能な起業の形態と必要な手続きの種類は、次の2つの条件によって変わってきます。

(1) 自分が EU の国籍を持っているかどうか
(2) もし EU 国籍がなければ、どの種類の在留許可証を持っているか

このブログの読者の多くは日本に住む日本国籍の方だと思うので、この記事では、「EU 国籍を持っていない」という前提で解説していきます。

2. 在留許可の種類によって条件が異なる

日本国籍の人は、90日以上フィンランドに滞在する場合は在留許可 (Residence Permit) の取得が義務付けられています。

※ただし、フィンランドはシェンゲン協定加盟国なので、最初の入国日から数えて 180 日以内の間に合計 90 日までなら在留許可なしで滞在できます。
たとえば、フィンランドに 40 日間滞在した後、シェンゲン協定外のイギリスに移動して20日間滞在し、またフィンランドに戻ってきた場合は、あと50日間滞在できる、という感じです)


フィンランドで非 EU 国籍の人が取得可能な在留許可は、B, A, P の3種類があります。

B(一時的在留許可):
  -1年間の留学または仕事に対して付与される
  -状況次第では他の在留許可タイプに変更も可能

A(永久在留許可):
  - 滞在目的に応じて、最大4年間まで付与される
  - ただし途中で更新が必要
  - この在留許可で4年間居住すれば、永住権またはフィンランド国籍の取得が可能になる
 
P(永住権):
  - フィンランドに永住できる権利
  - 在留許可 A を保持した状態で4年間フィンランドに居住した者に限り取得可能

(出典:https://fintegra.fi/en/residence_permit_in_finland/)


この記事では、A (永久在留許可)を持っている場合を想定しています。

なぜなら、1年間の在留許可「B」だと起業する時間的余裕がないだろうし、逆に永住権「P」を持っている人は僕よりもフィンランドに詳しいはずだからです。

それでは、次章以降で起業の条件について見ていきましょう。

3. 有限責任会社を設立する場合

第1章で紹介した NewCo Helsinki の英語版ガイドライン によると、自分が次の4つの身分のどれに当てはまるかによって手続き方法が異なるそうです。

<起業申請者の身分>
1. 学生 *
2. 被雇用者
3. 失業中の求職者
4. 難民

* 大学院博士課程の学生は、「1. 学生」ではなく「2. 被雇用者」扱いになります。

ここでは、「2. 被雇用者」の人が起業する場合を考えます。

当ガイドラインからの引用です。

1. 有限責任会社または組合(a limited liability company or a cooperative) を設立しようと考えていて、かつすでにA, B, またはPタイプの有効な在留許可証を持っている場合は、新たな在留許可証に応募することなく会社を設立できる。なぜなら、外国人法(the Aliens Act) により、そのような企業を経営している起業家は「被雇用者」(employee) と見なされるためである。;

(ガイドライン p.13. 下線は引用者による)


つまり、起業に際して新たな在留許可を申請し直す必要はないということになります。

これはとてもありがたいですね!

なお、ここに書かれているように、フィンランドでは外国人の起業家は「被雇用者」として扱われるようです。

続いて、個人起業家になる場合や、合名会社、合資会社を設立する場合の条件を見てみましょう。

4. 個人起業家、合名会社、合資会社の場合

再び、ガイドラインからの引用です。

もし、登録された個人起業家 (registered entrepreneur) になることを希望しているか、または合名会社 (general partnership)*1  あるいは合資会社 (limited partnership)*2  を設立したい場合は、現在の自分の職に対して付与されたAタイプの有効な在留許可証を保持していれば、追加の許可を得ることなくそれが可能である。
(ガイドライン p.13)
<引用者注>

*1 合名会社 (General Partnership):パートナーシップの一形態で,2人以上の者が共有者 (co-owners) として営業を行う結合体(association)をいう。

(引用元:weblio英和辞書)

 

*2 合資会社 (Limited Partnership):米国などで認められている企業形態の一つ。無限責任を負う最低1名のゼネラル・パートナー(GP)と、有限責任のリミテッド・パートナー(LP)とによって組織される形態。LPは有限責任である代わりに、経営に参加できないという制約がある。

(引用元:https://www.nomura.co.jp/terms/english/l/A02193.html。一部説明を改変)

このように、個人起業家になる場合も、追加で別の在留許可を申請する必要はないことがわかります。

その点で、 フィンランド政府は外国人が起業をしやすくなるように配慮してくれているといえるでしょう。

5. おわりに

本当なら今すぐにでもヘルシンキの NewCo のオフィス(前述)に行って、手続きを開始したいところではありますが、現在は COVID-19 の影響でヘルシンキは首都封鎖されており、僕の住んでいるタンペレでも不要不急の外出が制限されています。

今回の騒動が収まったら、本格的に動き出そうと思います。



いかがでしたでしょうか。今後もフィンランド留学中に得られた情報をシェアしていきますので、よろしくお願いします!

(画像引用元:https://www.photo-ac.com/main/detail/1317223)