新型コロナウイルスのPCR検査について、冤罪(えんざい)が証明された足利事件のDNA型再鑑定を担当するなど、遺伝子検査に精通する筑波大の本田克也(ほんだかつや)教授(63)=法医学=が17日までに、下野新聞社の取材に応じ、「日本は古い技術のままで、手作業の多い方法で行っている」と、検査件数が増えない理由を指摘した。検査増に向けた打開策として、海外で多く使用されている自動化した検査機器の導入の必要性を強調した。
PCR検査については諸外国と比べて検査数が少なく、感染が疑われてもすぐに受けられないと不満が続出。安倍晋三(あべしんぞう)首相は4月、「1日2万件」を掲げ、検査体制の強化を図っていた。
本田教授は「新型コロナウイルスのPCR検査は、時間も手間もかかり技術が必要だ」と指摘する。海外で主流の自動化した検査機器は、国内で一般に使われている検査機器の約10倍に当たる約1千件の検査が可能であり、法医学分野の大学などに導入すれば、検査数を増やせるという。
またPCR検査では陽性と陰性の取り違いが疑われるケースも出ているが、「手作業がかかわっているところはエラーが生じる可能性はある」と述べ、陽性の場合は1回でも良いとされている国の指針に疑問を呈した。