鈴木貞夫(すずき・さだお) 名古屋市立大学大学院医学研究科教授(公衆衛生学分野)
1960年岐阜県生まれ。名古屋大学医学部卒業、名古屋大学大学院医学研究科博士課程修了(予防医学専攻)、Harvard School of Public Health修士課程修了(疫学方法論専攻)。愛知医科大学講師、Harvard School of Public Health 客員研究員などを経て現職。2006年、日本疫学会奨励賞受賞
疫学的視点から見た新型コロナ問題
ここまで、疫学的視点から新型コロナ問題について論じてきた。ここで使用したデータは、公開されているものだけであり、用いた手法は、加減乗除のみである。ものごとを印象で片づけるのではなく、きちんと筋道を立てて考えることの重要性に気付いてもらえれば幸いである。きちんと筋道を立てた思考こそが疫学者のプロ意識だと考えている。
まだまだ書きたいことはある(アビガンのこととか、特定の1例の過熱報道のこととか)が、紙面が尽きた。とりあえずは、日本の最初の流行に対する成功を評価し、次の流行に備えられるよう、油断なく準備をする必要がある。最後に3月中旬に考えた私版「新型コロナに対する方針」を提示する。今でもこの考えは変わっていない。
① 患者数把握ではなく死亡者数最小化
② 病院は隔離ではなく治療を
③ 治療は原因ではなく症状に応じて
④ 検査は希望ではなく必要に応じて
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