(76)生野菜の細菌数
腐敗の速さは食品によって異なり、弁当にはなるべく腐りにくい食材を選んで入れていることと思われます。生肉・生魚を弁当に入れることは無いと思いますが、生野菜はどうでしょうか。厚生労働省が定めた「弁当及びそうざいの衛生規範」では、未加熱の食材の細菌数は1gあたり100万以下、また6月~10月に弁当に入れることは避ける、とされています。細菌数100万以下とありますが、多いのか少ないのか、感覚が掴みにくいものです。生野菜のサラダで細菌数を検査してみました。
購入直後のレタスなど生野菜でサラダを作り、消毒したプラスチック容器2個を用意し、それぞれにサラダを詰めました。片方は直後に一般細菌数を検査しました。もう片方は30℃の恒温室に置き、7時間後に細菌数を検査しました。結果、調理直後のサラダの細菌数は1gあたり19万でした(グラフ)。このように生野菜には購入時点で多くの細菌が付着しています。7時間後の検査では細菌数は1gあたり1100万まで増加していました(グラフ)。常温に置かれた生野菜では付着する細菌の数が時間経過とともに増加している様子が判ります。食品によって条件は様々ですが、1gあたりの細菌数が1千万~1億を超えた段階から腐敗が始まると考えられています。衛生規範の100万/1gを超えるような生野菜を弁当に入れた場合、数時間後には腐敗してしまう可能性があるのです。サラダを作る際には細菌数の少ない清潔な野菜を使用することで長持ちさせることができるでしょう。
レタスなど葉物野菜の外側の葉は捨てる、あるいは加熱調理に利用する方が多いと思いますが、これは有効な方法です。レタスとキャベツについて、1枚目の葉と、中心部に近い葉の細菌数を調べてみました。結果、1枚目の葉の細菌数はレタスが1gあたり25万、キャベツが11万であったのに対して、中心部の葉ではレタスが1gあたり380、キャベツが620であり、中心部は細菌が少ないことが判ります(表)。外側ではなく、内側の葉の方がサラダに向いていると言えるでしょう。
サラダを保存する際には、冷蔵することで、細菌の増殖速度を遅くすることができます。また、野菜に付く泥の中には多くの細菌やカビが非常に多く含まれています。洗って泥を落とし、水気を切ってから保存するようにしましょう。
(2014.10.17)