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【社会】<新型コロナ>都感染者111人報告漏れ ファクス送信でミス
東京都内の新型コロナウイルスの感染者数に百十一人の報告漏れと三十五人の重複計上が判明した問題は、各保健所の現場の多忙さから、都への感染者報告の際にミスが起きたのが原因だった。都は再発防止のため、保健所の感染者情報を即時共有できるデータベースを導入。「基礎データの信頼を揺るがすことのないよう、今後の感染拡大に備えたい」としている。 (小倉貞俊、岡本太) 「結果として正しい情報を都民に伝えられず反省している。意図的な隠蔽(いんぺい)などではない」。病床確保といった医療政策を進める根拠となるべきデータの不正確さが判明した十一日夜、都の担当者はそう語り困惑したような表情を見せた。 感染者が確認された場合の報告は、まず医療機関の医師が患者の氏名や住所、症状、感染経路などを記入した「発生届」を保健所にファクス。さらに保健所は都にファクスする流れだった。すべて紙でやりとりしていた。 ところが都の担当部署で四月中旬、保健所の感染者リストと、都のリストを突き合わせていた際に、人数のずれがあると気付いた。 確認したところ、新型ウイルスの患者急増で受診相談や疫学調査が多忙化した保健所が、発生届を都にファクスしていなかったり、逆に重複して送ったりしていたことが判明。医療機関から保健所へのファクスも遅れたほか、都へのファクスが夕方に集中し、送信エラーが起きた可能性もあった。 こうしたミスは都内三十一の保健所のうち約二十カ所であり、感染者数が多いほど増える傾向にあった。報告漏れの百十一人には死者四人も含まれていた。 データベースは十二日から稼働した。保健所の感染者情報を都が即時に共有できるため、相互チェックが可能になり、その感染者が退院したかなどの現状まで追える仕組みだ。都の担当者は「ここまで拡大する感染症の想定ができていなかった。システムの整備により、正確なデータを提示していきたい」と話した。 PR情報
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