大林宣彦監督、故郷・尾道も追悼…「時をかける少女」の艮神社宮司「お優しい、立派な方でした」

[ 2020年4月13日 05:30 ]

大林宣彦監督

 肺がんのため10日に亡くなった映画監督の大林宣彦さん(享年82)が、15本以上の作品でロケを行った故郷の広島・尾道のゆかりの人々にも悲しみが広がった。

 83年「時をかける少女」でヒロインの原田知世(52)が時空を超えて降り立つシーンが撮影された艮(うしとら)神社。ファンがロケ地を回る“聖地巡礼”のはしりとなり、今も多くの観光客が訪れる。その後、91年「ふたり」にも登場し、大林作品が現地でロケを行う際に安全祈願のおはらいを受けてきた。

 遺作となった「海辺の映画館 キネマの玉手箱」の時も18年7月1日に行われ、宮司の永井利果さん(44)は「久しぶりにお会いして、ご病気で小柄になられてはいましたが、目が力強く映画に懸ける情熱を感じました」と振り返る。当時は宮司に就任して間もない時期で「私が逆に激励されました。お優しい、立派な方でした」としのんだ。

 「ふたり」と「海辺の映画館」の撮影が行われた浄土寺の住職・小林暢善さん(68)は「見学(ロケハン)に来られた時はずっと車いすでしたが、撮影では次第に立って歩くようになっていました。一番好きな場所でエネルギーが出たのではないでしょうか」と述懐。「最後まで映画監督を天職として通されたと思います」と称えた。

 《女優の左時枝が弔問》大林さんはこの日、妻で映画プロデューサーの恭子さん、長女で映画感想家の千茱萸(ちぐみ)さんらとともに、東京・成城の自宅から出棺された。黒のワンボックスカーの助手席には千茱萸さんが座り、後部座席に安置された遺体のそばで恭子さんが寄り添った。午前中には14年公開の映画「野のなななのか」に出演した左時枝(73)が弔問に訪れ、「恭子さんに会いに来ました」と話した。葬儀は後日、家族葬で営まれる。

 《W主演のひかりと朋子》「ふたり」が映画初主演だった石田ひかり(47)が12日、自身のインスタグラムを更新し「監督の存在は大きすぎて、まだまだ放心状態です」と悲しみの深さをうかがわせた。その上で「監督から教えていただいたこと、ご指導いただいたこと、すべて、すべて、忘れません。監督、これからも見ていてくださいね」と呼び掛けた。同じくヒロインの中嶋朋子(48)は11日夜に大林さんの自宅を弔問。「監督とご一緒した尾道でのまばゆい時間は、初恋みたいに私の心をつかんで離しません。永遠の宝物をありがとうございました」と思いをはせた。

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