プレスリリース

JSTと東大など、脳画像から「やり抜く力」を予測する手法を開発

2020/4/28 18:00

発表日:2020年4月28日

脳画像から「やり抜く力」を予測する手法を開発

~目標の細分化が脳を変化させ達成を支援~

■ポイント

▽学業やスポーツなどの目標達成に必要な「やり抜く力」の客観的指標はなく、科学的根拠に基づく支援法も提案されていなかった。

▽前頭極の構造から「やり抜く力」の個人差を予測する手法を開発し、目標の細分化が目標達成を支援するとともに前頭極の構造を変化させることを発見した。

▽個人差を考慮した学校・社員教育、トレーニング、リハビリなどの支援法開発に役立つことが期待される。

JST 戦略的創造研究推進事業において、JSTの細田 千尋 さきがけ専任研究者(東京大学 大学院総合文化研究科 特任研究員、帝京大学 戦略的イノベーション研究センター 講師 兼任)は国立精神・神経医療研究センター 脳病態統合イメージングセンター 先進脳画像研究部 花川 隆 部長(現 京都大学 大学院医学研究科・医学部教授)らと共同で、MRI(磁気共鳴画像)で測定できる脳の構造的特徴が、目標達成に必要な「やり抜く力」の客観的指標となることを世界で初めて発見し、その指標を用いて「やり抜く力」を予測する手法を開発しました。さらに、目標の細分化が脳構造の変化を促進し、目標達成を支援することを明らかにしました。

「やり抜く力」は、学業や競技成績など、人生のさまざまな面で成否を決める重要な要因です。これまで個人の「やり抜く力」を推定する客観的指標はなく、科学的根拠に基づいて目標達成に向けた行動を支援する手法も提案されていませんでした。

研究グループは、脳の最前部にある前頭極(注1))の構造の特徴を利用して、複数の課題における「やり抜く力」を80パーセント以上の精度で予測する手法の開発に成功しました。また、目標設定を細分化することで、目標達成に向けた行動と前頭極構造の可塑的変化(注2))が促進されることを見いだしました。

本研究成果は、「やり抜く力」を支える神経メカニズムの解明に新たな視点を与え、個人に最適化した効果的な学校/社員教育、トレーニング、リハビリなど、さまざまな分野の支援法開発に役立つことが期待されます。

本研究成果は、2020年4月28日(英国夏時間)に国際科学誌「Communications Biology」のオンライン版で公開されます。

本成果は、以下の事業・研究領域・研究課題によって得られました。

○戦略的創造研究推進事業 さきがけ

 ・研究領域:「社会と調和した情報基盤技術の構築」(研究総括:安浦 寛人 九州大学 理事・副学長)

 ・研究課題名:「生体情報フィードバックを用いたテーラーメードオンライン教育システム開発」

 ・研究者:細田 千尋(東京大学 大学院総合文化研究科 特任研究員)

 ・研究期間:平成26年10月~平成31年3月

○戦略的創造研究推進事業 CREST

 ・研究領域:「人間と情報環境の共生インタラクション基盤技術の創出と展開」(研究総括:間瀬 健二 名古屋大学 大学院情報学研究科 教授)

 ・研究課題名:「提示系心理情報学に基づくインタラクション基盤確立」

 ・研究代表者:寺田 努(神戸大学 大学院工学研究科 教授)

 ・研究期間:平成30年10月~令和6年3月

※以下は添付リリースを参照

リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。

添付リリース

https://release.nikkei.co.jp/attach_file/0533363_01.pdf

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