〈 L[u], φ 〉=〈 ρ, φ 〉
は, u, ρ∈L^2(Ω) かつ φ∈D(Ω)⊂L^2(Ω) であることより意味を持つ. 上式から
〈 L[u]−ρ, φ 〉= 0
任意のρ≠0に対して
(L[・]−ρ)^(−1)(0)=:Ker(u→L[u]−ρ)⊂L^2(Ω)
の元uは上式を満たす. ゆえに弱解u=u_ρ∈L^2(Ω)⊂D'(Ω)が存在するとしたら, それは少なくともKer(u→L[u]−ρ)の0でない元でなければならない.
Ker(u→L[u]−ρ)⊇Ker(L)+L^(−1)(ρ)⊇{0}+L^(−1)(ρ)
ゆえにKer(u→L[u]−ρ)は空でない(L^(−1)(ρ)は空集合かもしれないが{0}は空でない). ρ≠0だからKer(u→L[u]−ρ)≠{0}である(任意のu∈Ker(u→L[u]−ρ)に対してu=0とするとρ≠0に矛盾する). ゆえに元
u_ρ∈Ker(u→L[u]−ρ)
が存在して, u_ρ≠0, u_ρ∈L^2(Ω),
〈 L[u_ρ], φ 〉=〈 ρ, φ 〉
を得る.
L≠0であるからρ=0の場合は例えばu_ρ=0とすればよい.
[弱解の一意性の証明]
上のu_ρは任意定数を2つ持つ. 初期条件と境界条件から, それらについての連立二元代数方程式を得られるので, その解を任意定数に代入すればu_ρは一意的に定まる.
[弱解の正則性の証明]
〈 L[u_ρ]−ρ, φ 〉= 0,
かつカップリング〈・,・〉においてφ∈L^2(Ω)と考えられ, L^2(Ω)上でL^2内積はカップリングと等しく, カップリングはD(Ω)の位相で連続ならばL^2(Ω)の位相で連続だから, カップリングをL^2内積と解釈する. そこでφ=L[u_ρ]−ρとするとL^2ノルム||L[u_ρ]−ρ||=0,
すなわち
L[u_ρ]=ρ in L^2(Ω),
かつρ∈(H^k)_0(Ω)だからL[u_ρ]∈(H^k)_0(Ω)である. ゆえに任意の自然数k≧2とLの階数ℓに対して
u_ρ∈(H^(k+ℓ))_0(Ω)
である(ℓ∈{0, 1, 2}).
さらに, リース-フィッシャーの定理(L^p関数列がL^p収束すれば, その適当な部分列が殆んど至る所で各点収束すること)・エゴロフの定理(有限値可測関数列が測度有限な可測集合の殆んど至る所で各点収束すれば, 殆んど一様収束すること)・微分積分法における各点収束するC^1級関数列の導関数列の一様収束極限と微分の入れ替えの定理をこの順に(繰り返し)使うと, u_ρがΩで有限値のとき, u_ρを近似するD(Ω)の任意の列{u_n}_nに対して, D(Ω)の位相の定義と関数列がD(Ω)の位相で収束するならL^2の位相でも収束することから, u_ρに殆んど一様収束する部分列を取り出せるので, それを改めて{u_n}_nとすると, Ω上で殆んど一様収束極限
lim_(n→∞)L[u_n]=L[u_ρ]
が存在しΩ上で殆んど u_ρ∈(H^(k+ℓ))_0(Ω)∩C^∞(Ω) となる. すなわち, 任意のε>0に対して或るΩに含まれる可測集合N_εが存在して, N_εのルベーグ測度<ε, かつu_ρ∈(H^(k+ℓ))_0(Ω)∩C^∞(Ω−N_ε)
となる.