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【コラム 撃戦記】

ついに五輪「1大会順送り開催案」の情報が入ってきた 翻弄される東京大会【山崎照朝コラム】

2020年4月23日 15時16分

国立競技場前の五輪マーク。さて東京大会開催はどうなる

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 東京五輪を目指すアスリートたちがモチベーションの再構築に苦慮している。緊急事態宣言による「不要不急の外出自粛」に「三密の回避」。練習する場所も限られ、なかなか実戦もできない。

 モチベーションを維持するためには気力、体力、技術がさびつかないよう工夫しなければならない。そんな選手たちがSNSに発信した自主トレの様子が話題になり、それがファンの引き留めに一役買ってもいるようだ。毎日報じられる感染者や死亡者の数に気持ちはなえるばかりだが、ここはジッと我慢。自粛の優等生としてやるしかないのだ。

 問題は1年延期が決まった東京五輪がどうなるか。組織委員会は来年7月を新たな開催日としたが、相変わらず新型コロナウイルスの終息時期は不透明のまま。延期の追加経費も巨額で3000億円とも言われ、その分担をめぐって組織委員会とIOCの間でもめている。

 そんな中、組織委員会の森喜朗会長は「再延期は絶対ない」と言いきり、安倍首相の決断だったことを明かした。ただ、これにも説得力はない。最後はIOCの判断に委ねることになるだけに、中止の可能性も大いにあるのだ。

 私のところに入ってきた情報でも五輪中止の現実味が一段と増している状況がうかがえる。

 IOCは昨年6月のローザンヌ理事会で、東京後のパリ、ロサンゼルス大会開催を決めている。しかし長引く新型コロナウイルス感染拡大の影響がそこにも出ているというのだ。

 「パリの準備に支障がでているのです。一大会づつ後ろにずらす案も浮上している」と五輪に関わるある関係者は私に話した。

 仮にそうなると早くて東京五輪は2024年。すでに決まっている五輪代表の内定をいったん白紙に戻し、再選考することは避けられない。年齢はもちろん、気力の面でも目標を失い、引退するアスリートも出てくるだろう。

 先日、ボクシングのロンドン五輪ミドル級金メダリストでWBA世界同級王者の村田諒太(帝拳)が、東京大会を目指すボクシング内定選手をオンライン講座で激励した。「出場することで満足しては駄目。金メダルがないと人生が変わりません。金メダルを目指して」と語っていたのが印象的だった。

 アスリートにとって五輪は人生そのもの。1年延期で引退を決意した選手もいる。今後の動向に注目したい。(格闘技評論家=第1回オープントーナメント全日本空手道選手権王者)

 

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