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【社説】

首都圏の対応 活動再開には慎重さを

 首都圏では緊急事態宣言が解除された県と、継続された都県に分かれた。解除された県では社会経済活動が徐々に再開される見通しだが、再流行は避けねばならない。命を守る慎重な対応が必要だ。

 新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言に関し、重点的な対策が必要とされた全国十三の「特定警戒都道府県」のうち首都圏では東京、神奈川、千葉、埼玉で宣言が継続され、茨城では解除された。

 四月十六日に宣言を全国に拡大した際に、新たに対象となった群馬、栃木、静岡などでも解除された。

 ウイルスの感染拡大を防ぐために制限されてきた社会経済活動は宣言が解除された県では段階的に再開されることになる。

 ただ、宣言が解除された県と、引き続き警戒が必要な都県とは近接した地域でもある。東京を中心に交通網が発展し、もともと人の往来も多い。東京近郊には休業を余儀なくされた観光地も控える。

 一部地域での宣言解除により、人の流れが再び活発となり、感染者が再び増える懸念はある。

 群馬県の山本一太知事が西村康稔経済再生担当相に、宣言解除の先送りを求めたのも、知事としては当然の判断だろう。

 政府は引き続き都道府県境をまたぐ不要不急の移動は控えるよう求めることで宣言解除に踏み切った。宣言の有無にかかわらず、命を守るためには感染が終息するまでは慎重な移動もやむを得まい。

 宣言が解除されなかった東京、神奈川、千葉、埼玉でも感染のピークは越したかに見えるが、油断は禁物だ。今後も、感染者の治療や感染防止、生活困窮者や事業継続困難者への経済支援に力を尽くすのはもちろん、特措法に基づく権限が行使できるうちに、再流行への備えを固めることが肝要だ。

 四月七日に東京など大都市圏に緊急事態宣言が出されてから一カ月以上がたち、行動制限で「自粛疲れ」も指摘される。状況が分からないままでは社会全体が疲弊してしまう。宣言の有無に関係なく各自治体は地域ごとの感染状況や医療態勢など、きめ細かい情報を住民に提供すべきだ。

 政府は、宣言解除の目安の一つとして「過去一週間の新規感染者数が人口十万人当たり〇・五人未満」という数値を挙げた。

 今回、これを満たす茨城は解除されたが、千葉は解除されなかった。ほかの数値や要因も判断材料となってはいるが、基準には分かりやすさも求めたい。

 

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