日赤義援金配布へ政府介入 [2011年04月11日(Mon)]
「東日本大震災への救援活動」その42 ―日赤義援金配布へ政治介入― 日赤に集まってくる東日本大震災への膨大な義援金配分が遅れていることに、枝野官房長官は記者会見で、片山総務大臣はテレビで、「本来、ボランティアなので政府介入は避けたい」としながらも、「早く配分するために政府の考え方を示したい」と、事実上政治介入した。これは重大な問題である。 東日本大地震及び福島原発事故に対する政府の対応は、率直にいって無知・無能であった。 最高指揮官である首相は、有事(災害を含めて)の時は動いてはいけない。官邸に届くあらゆる情報を整理・分析して明確な指示を出すことがリーダーの責任であり、責務である。 廊下とんびの如く、バタバタと現場に行くことは、ロジスティックを考えても多くの人手を必要とし、まして被災地の現場で不眠・不休で活動している市長をはじめ関係者の活動が一時的にストップするどころか、その間、刻々と変化する被災地への首相としての的確な指示はストップするのである。 被災地に大臣をはじめ、いったい何人の政治家がもっともらしい顔をして視察したのか。実は、広域な被災地の現場の情報の多くはテレビ、新聞を通じ東京にあるのであって、情報インフラが寸断している現場にはない。わざわざ多くの関係者をわずらわせての現地視察は、政治家のパフォーマンス以外のなにものでもない。 かつて、村山富市首相が阪神・淡路大震災の慰問に避難所を訪れた折「パンでも持ってきたのか」との罵声が飛んだことがある。東北の被災者は無口で我慢強い。しかし、混乱する現場に部下や警備を引き連れて次から次へと現場視察に訪れるだけで具体的な政策が見えないいらだちに、東北の被災者も腹の中では「パンでも持ってきたのか」との思いであるに違いない。 節電担当大臣、ボランティア担当大臣。名前は立派であるが、そんなことは政府にいわれなくても国民は黙々と実施している。国民の力を馬鹿にしてはいけない。次から次へと委員会や組織を立ち上げたところで「船頭多くして船山に登る」の諺の通り、緊急時の意思決定は少人数でやらなければ大胆で素早い決定は出来ない。そういう意味で今回の東日本大地震への対応は「無知で無能な内閣」だといわせていただいた。 ましてや被災地復興の骨太の政策を立案しなければいけない片山総務大臣や枝野官房長官が日赤の義援金配分の遅延を理由に政治介入したことは、国際社会から顰蹙をかうことになるだろう。 なぜなら、国際赤十字には人道、公平、中立、独立、奉仕、単一(一つの国に一つの赤十字の意)との有名な7つの原則がある。特に「独立」については、その国の法律には従うが、自主性は保たれなければならないと定め、日本赤十字社法第3条に「日本赤十字社の特性に鑑み、その自主性は尊重されなければならない」と定めている。 戦前、軍部の力が増大し、あらゆるところに発言権を確保しようとした。これと同じことを現政府は行ったことになり、戦前の軍部と同じである。日本赤十字社は国際的にも中立な立場の組織である。そこに政府が介入したのである。 元を正せば、阪神・淡路大震災で義援金の支払い遅延が国会で問題となった。これは日赤の責任もあるが、日本赤十字社法という法律が災害時にそぐわないことが露見したわけで、改正しなかった政治家の怠慢を日赤だけに押し付けるのはフェアーではない。 今回、政治の怠慢を隠すために政治が介入したのであり、世界赤十字の7つの原則の一つである日赤の自主性は無残に踏みにじられた。日赤は自主性のない組織として信用が地に落ちただけでなく、世界の嘲笑を受けることになるだろう。真に残念であり、気の毒である。 日赤は時代に即した日本赤十字社法に改定し、今後は断固政治介入を排除し、自主独立の組織として国民の信頼を取り戻して戴きたいものである。 <支援金募金> 2,054,210円 (株)東京ビー・エム・シー 1,700,000円 明陽電機(株) 1,400,000円 インドネシア金型工業会 会長 高橋 誠様 1,364,606円 日本学生ボランティアセンター街頭募金 1,248,700円(US$14,985) wang ji si 1,000,000円 高橋 紘様 1,000,000円 (社)日本船長協会 1,000,000円 ミヤガワ シンイチ様 1,000,000円 扶桑工業(株) 1,000,000円 石渡 博様(墨田川造船株式会社代表取締役社長) <救援物資> (株)ヘルスビューティ:足湯ボランティア用ハーブ入り浴剤セット(10kg) (株)マーフィード:放射能除去に対応した高性能浄水器(10台) ミクロ・メタル・マレーシア:高性能マスク(27,000個) (株)バスクリン:登別温泉の元など(450g×150個) 富士通(株):ノートパソコン(16台) |