韓国の市民団体「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」(以下、正義記憶連帯)が11日に「寄付金の内訳は透明性を持って管理されている」として公表した2017年から2019年までの「年度別寄付金収入内訳および事業別支出内訳」は、記者会見のため別途作成された非公式資料だったことが明らかになった。正義記憶連帯が自ら、かつて国税庁ホームページに公示した「公益法人決算書類」とも違っていた。
正義記憶連帯は当初、国税庁の公示で「被害者支援事業」として2018年に27人に2320万ウォン(現在のレートで約200万円)、昨年は23人に2433万ウォン(約213万円)を支給したと発表していた。これは各年に手にした寄付金の1.9%と3%に相当する。
しかし、記者会見で公表した資料では、過去3年間の収入の41%を「被害者支援事業」に使ったとされていた。寄付者が「奨学金」「博物館建設」など明確に使途を指定した寄付金(指定寄付金)を資料から除外した結果、比率がこのように増えたのだ。
正義記憶連帯は詳細な内訳の公表を要求する声に「世界のどの非政府組織(NGO)が活動内容を一つ一つ公開し、詳細を明らかにしているだろうか」「各企業にはなぜ要求しないのか…あまりにも過酷だと思う」として回答を避けた。だが、企業とNGOは設立目的や活動自体が違うため、不適切な比較だとの指摘がある。ある会計士は「企業は資本金によって収益事業を行うところであり、NGOは外部から寄付金をもらうところなので、単純な比較は不可能だ。また、企業は株主が要求すれば会計帳簿を閲覧する権利もある」と話す。
正義記憶連帯がこれまで税法に基づいて公示してきた資料もずさんだった。公示した会計資料には、寄付金の使用件数や対象者数の記入欄が所々、「999」「99」などいい加減に書いた数字で埋められていた。例えば、2017年の資料には正義記憶連帯が毎月の管理費を999カ所に支出したと書かれている。正義記憶連帯は「人員不足の中で仕事を進めたため、内部的な問題があった。厳密ではなかった」と述べた。
正義記憶連帯の李娜栄(イ・ナヨン)理事長は同日の会見で、韓国人慰安婦被害者の李容洙(イ・ヨンス)さんと支持者に向けて、「心に不要な傷を付けてしまって申し訳ない」と公式謝罪した。だが、寄付金使用に関する疑惑については、「この問題でひぼう中傷し、ひいては活動家を分裂させ、傷付けた皆さん、反省してほしい」と非難した。