チベットで続く焼身抗議 ダライ・ラマ法王の国会講演

ダライ・ラマ法王のインタビューを追加します。(121202)


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FREE TIBET と書かれたニューデリーの中国大使館
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この若者は、ジャンペル・イシェ、27歳のチベット人。
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東チベットのカム地方の出身。20歳のときインドへ亡命し、インドのダラム・サラにあるチベット亡命政府のもとで教育を受け、チベット独立を目指すチベット青年会議(TYC)の活動に参加していました。

3月26日、BRICS首脳会議のためニューデリーを訪問した胡錦濤国家主席にチベット弾圧を抗議する集会の最中に、突然、灯油をかぶって火をつけました。

ショッキングな画像ですが、真実を知ってもらうため、あえてのせます。
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叫び声をあげながら50メートル進んだところで倒れ、集会参加者が消火。
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全身85%の火傷で病院に担ぎこまれ、亡くなりました。

遺体はダラム・サラに運ばれ、チベット亡命政府は準国葬で迎えました。
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画像はこちらからお借りしました。→チベットNOW@ルンタ

インドでは言論の自由が保障されているので、この事件は世界に発信されたのです。中国国内で続いている焼身抗議については、中国政府が徹底的に隠ぺいしているので、実態がよくわかりません。焼身抗議があると、中国軍・警察によって抗議者は救命どころか暴行され、遺体はそのまま焼却処分されてしまうのです。

11月7日、アムド地方の警察署前で、ンゴシュル僧院に属するドルジェ(15歳)、サムドゥプ(16歳)、ドルジェ・キャプ(16歳)の3人の少年僧が焼身抗議を行いましたが、中国当局によって連れ去られ、消息不明になっています。

チベット亡命政府が現在把握している犠牲者は、80人を超えています。
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最新情報はこちら→焼身抗議者リスト 11月24日更新 10月以降を中心に

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現在のチベット自治区に、青海省と甘粛省西部(アムド)、四川省西部(カム)を加えた地域が本来のチベット。ダライ・ラマ14世はアムド出身。


焼身者を出した家族や地区への援助を中止し、弔問者を罰すると
11月14日、レゴンを含む黄南チベット族自治州当局はTVや張り紙により、「社会安定に関する緊急公布」と題された5か条に渡る条例を発表した。これによれば、「(中国共産党)十八党大会の開催中、州や国全体の社会の安定を乱す事件が発生したが、これらは全てダライ一味の分裂工作であり、この外部からの唆しに乗って焼身者を勇者と讃えたり、家族を弔問する動きがある。これらの行為は断固罰せられねばならない」と前書きされている。

そして、「焼身者を出した家族への政府援助、地域への政府援助を中止すること。焼身者の家族を弔問したチベット人や僧侶を罰し、弔問を行った役人は免職処分、法要を行った僧院は閉鎖される」等と書かれている。また、「家族に香典などの形で経済的援助をすることも禁止する」という。

もっとも、地元のチベット人は、「政府援助を受けている家庭は少なく、またそれも極小額であり、地域への援助と言っても道路を作ることぐらいなので、これはまったく問題にされないであろう。罰せられると言われて弔問を止めるチベット人も僧侶もいないであろう」とコメントする。

また、レゴン地区当局は最近、小地区毎に集会を開かせ、武装した部隊が見守る中でそれぞれの家庭毎に「焼身者を出させません」という証書にサインすることを強要しているという。集められたチベット人たちは脅され「サインするしかない」と言う。

家族や地域に連帯責任を負わせ、「チベット人は宗教の自由を謳歌している」と宣伝しておきながら、一方で死者を出した家族を慰問するという行為が禁止され、やれば罰するというのが中国共産党である。焼身の責任はダライ一味にあると連呼するばかりで、自分たちの弾圧が原因であると認めない限り、焼身は終らないであろう。
11月21日 Radio Free Asia

中国当局、焼身者の夫を逮捕 口止め料を拒否したため
焼身自殺を遂げたチベット人ドルカ・ツォの夫ドヌエが中国治安部隊に拘束された。中国当局からの賄賂を拒んだためだ。

中国当局はドヌエに対し、ドルカの焼身自殺の理由が中国政府に対する抗議ではなく家庭内の問題だと言えば賄賂を渡すと持ちかけていた。

ドヌエはこの申し出を断った。その後、ドヌエは中国治安部隊に密かに拘束された。現在のドヌエの状況は不明だ。

ドルカ・ツォには、4歳の娘と2歳の息子がいた。ドルカ・ツォは8月7日、東チベットのカンロのツォ僧院そばで自らの体に火を放った。彼女は、ダライ・ラマ法王のチベットへの帰還とチベットの自由を求めるスローガンを叫んでいた。ドルカ・ツォはその後息絶えた。
11月9日 Phayul Com


幼な子を抱えた母親が焼身抗議をするに至った心理は想像を絶します。察するに、愛する子どもたちの未来のために、自分が犠牲になってチベットの自由を勝ち取ろうとしたのでしょう。

私は、特攻隊の兵士が、幼な子にあてた遺書を思い出しました。愛する者を守るために巨大な敵に立ち向い、自己犠牲をいとわないという精神において、共通するものがあります。特攻隊の兵士は敵の空母に体当たりしましたが、チベット人たちは侵略者の中国人を傷つけることなく、自らを焼身するといういう究極の形をとっているわけです。

チベット人の焼身抗議は、ガンディーの非暴力不服従運動や、南ヴェトナムのゴ・ディン・ディエム独裁政権下で僧侶が焼身抗議したことと通じます。

また、「アラブの春」のきっかけとなったチュニジア政変も、一人の若者の抗議の焼身自殺から始まっています。

焼身という抗議の方法をどう解釈するかは各人に任せますが、チベット人がここまで追いつめられているという現実を、われわれはまず知るべきでしょう。ところが、「日中記者協定」により「中国友好に配慮」する日本のマスコミは、これらの事件をほとんど報道しません。

NHKはBS放送で取り上げましたが、総合テレビではやりません。


大江健三郎、村上春樹ら、進歩的(笑)知識人も、寝たふりです。

犯罪に目をつむるものは、犯罪に加担しているのと同じです。

真の日中友好とは、中国共産党の圧政下にある諸民族(漢民族も含めて)との友好であり、人権抑圧を続ける独裁政権との友好など、未来永劫ありえません。


中国の習近平指導部が発足、軍トップの座も掌握
[北京 15日 ロイター] 中国共産党は15日、習近平国家副主席を新たな総書記に選出した。習近平氏は、これまでの9人から7人に減員した中国共産党最高指導部、政治局常務委員のトップとなる。習近平氏はまた、党中央軍事委員会主席にも選出された。党と軍の双方を握り、強力な指導力を発揮できることになる。

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習総書記は北京の人民大会堂で開いた会見で、新たな政治局常務委員を紹介した後、「われわれの党は人民への奉仕に尽くす」と表明。「党は世界に名高い偉業の達成において先頭に立ってきた。われわれはこうした偉業に誇りを持つべきだ」とした上で、「しかし、われわれは自己満足に陥らず、栄誉にあぐらをかくことはない。新たな状況の下、われわれの党は多くの深刻な困難に直面している。党内にも差し迫った多くの問題がある。特に一部の党幹部にみられる汚職や民心との乖離(かいり)、形式主義、官僚主義は解決すべき問題だ」と述べた。

習近平氏は少なくとも向こう5年間、中国のかじ取りを担うことになる。

李克強・副首相も政治局常務委員に選出された。

習近平氏と李克強氏は来年3月、それぞれ国家主席、首相に就任する見通し。
(2012年 11月 15日 17:10 JST ロイター)


中国の最高指導部である共産党政治局常務委員は7人。そのトップが共産党総書記。今回、胡錦濤が引退し、習近平が後継者になったのです。

中国の政権交代は、共産党内の派閥抗争と談合、収賄と脅迫で決まります。14億の民には、選挙権がありません。国連安保理5カ国、先進7カ国、BRICS5カ国の中で、このような恥ずべき体制をとっているのは、中華人民共和国だけです。

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ダライ・ラマ14世は、1959年にチベットからインドへ亡命して以来、チベット人の精神的指導者として尊敬されてきました。中国共産党はダライ・ラマを「チベット独立をたくらむ分離主義者」と呼び、入国も、対話も、拒否し続けています。

オバマ大統領も、ドイツのメルケル首相も、イギリスのキャメロン首相も、ダライ・ラマを大統領官邸や首相官邸に招いて公式会見を行い、チベットの人権状況について憂慮の念を表明してきました。西側先進国の中で日本の政治指導者だけが、(自民党・民主党を問わず)ダライ・ラマとの会見を拒否してきました。「中国への配慮」のためです。

11月13日(衆議院解散の3日前)、歴史的な出来事がありました。

ダライ・ラマ、国会施設で初講演 与野党140議員参加
来日中のチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世が13日、参院議員会館の講堂で講演した。主催した超党派議員団によると、ダライ・ラマが国会内の施設で講演するのは初めて。与野党の国会議員約140人が出席し、冒頭には安倍晋三自民党総裁も参加した。

ダライ・ラマは「チベット文化を保っても独立する危険性はないのに、中国共産党は人権侵害、弾圧をしている」と指摘。チベット族の相次ぐ焼身自殺について「地方から中央に報告されていない」と語った。

主催した議員団は講演後、「チベットやウイグルなどへの人権弾圧の改善を中国政府に厳しく求めていく」との声明を発表。近く設立するチベット支援の議員連盟に参加を呼びかけた。
(2012年11月13日13時45分 朝日新聞)


前半は文明論、宗教論。チベット問題は49:05-

134名もの衆参両院議員に加え、次期首相と目される安倍自民党総裁も出席したため、あの朝日新聞も報道せざるをえなかった。
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呼びかけ人は民主党の牧野聖修議員です。民主党の中にも、朝日新聞社の中にも、良心的な人間はいるのです。これを機に、日中関係が正常化していくことを期待します。

残念ながら2009年以来の3年間、中共の息のかかった者どもが、日本政府の中枢にとりついていました。彼らは全力を挙げて日本の弱体化と日米安保体制の空洞化を画策し、成果をあげてきました。調子に乗った中共は、尖閣を取りに来ているのです。

日本は、東アジア・東南アジアで唯一、中華人民共和国に対抗しうる経済力・軍事力を持つ民主国家なのです。日本が中国共産党に屈することは、東アジア・東南アジア全体が全体主義に屈することになるのです。残された時間は、あまりない。

12月の衆議院選挙では、中国の圧力に対抗しうる政権を選択しなければなりません。ここで選択を間違えると、次の衆院選までの間に、彼らは必ず行動を起こすでしょう。


チベットを見殺しにすれば、明日の日本もない!

今度の衆院選で、中共に屈しない強力な政権を樹立すべきだ!

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この記事へのコメント

元駿台生
2012年12月01日 09:41
昨日、国連決議でパレスチナがオブサーバー国家として、国家に格上げされました。茂木先生はこれをどうお考えなのでしょうか。次のブログが楽しみです。
管理人
2012年12月01日 16:19
次回取り上げます。

現在、超多忙につき、次の更新は6日頃の予定です。質問には答えます。

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