昔の友人や知人、初恋の人探し等の人探しで、どのような調査をすればいいのか、プロの探偵業者を依頼するときの注意点について解説します。調査対象者との関係性、お手持ちの情報の量と質、法的な調査理由の有無等、ケースごとに調査の手法や難易度が変わります。ケースごとでどのような対処法があるかを詳しく検証していきます。
人探し全般の基本的な情報や、抑えておきたい基本的なポイントは以下のページにまとまっていますので、ご覧ください。
知人探しのよくあるケース
まず、比較的最近、例えば数年前まで連絡が取れていた人を探したいというパターンと、数十年以上前の昔の知人・友人・交際相手・恩人などを探したいというパターンがあります。その他に、養育費を支払えない父親、子供の父親を捜すケース、売掛金や貸金、交通事故の損害賠償金を支払わない債務者の所在を探すなど、様々なパターンがあります。
知人探しの注意点
男女交際や、夫婦の間でストーカーやDVで訴えられている加害者が、被害者の所在を突き止めようとするケースもあります。全く悪意がなく旧交を温めたいというだけの案件もある一方、相手の所在を突き止めて、迷惑行為や暴力行為を企てている邪悪な案件もあります。
こうしたネガティブな案件のせいで、現代では個人の情報の保護が優先され、簡単に人探しができない社会情勢となっています。
債務不履行の債務者や、交通事故の加害者は、逆に被害者から所在をくらまし、被害者側に財産的損害を与えています。こうした悪質な債務者の個人情報を保護する必要がないことは自明の理です。しかし、現状はストーカー殺人や DV殺人などの凶悪犯罪による社会不安のほうがインパクトが強く、理由に関係なく、とにかく個人情報をブロックすれば良いという方向性に傾いています。
こうした状況を踏まえると、知人や友人探しの場合対象者が自発的にソーシャルメディアなどで情報公開する人物や、社会的地位があり、知名度のあるビジネスマンや有名人であれば情報が集めやすいですが、そうでない一般人を探すとなると、自分で簡単に探す方法がほとんどないのが現状です。
住民票や戸籍謄本の照会ができない
理論上、前住所や本籍が分かっていれば、住民票や戸籍附票にアクセスして対象者の現住所をたどることができます。しかし、知人や友人を探すとなると、原則として住民票や戸籍謄本へのアクセスは法的に不可能となります。
住民票にアクセスできる人物は以下の通りです。
- 同一世帯の世帯員
- 債権者
- 訴訟の原告
- 慰謝料の請求者
- 弁護士などの士業
戸籍謄本や戸籍附票にアクセスできる人物は、以下の通りです。
- 直系の親族
- 弁護士などの士業
マイナンバー制度のデータ検索
日本では、マイナンバー制度が市民管理の基本システムです。住民票の登録の全てはマイナンバー制度に集約されているのです。
マイナンバー制度では市民の氏名、生年月日、性別、本籍地、住所履歴、世帯状況などの基本情報に加え、課税納税記録、保険年金などの社会保障の情報を一元管理しているデータベースです。
市民の登録情報の更新に関しては住民票の移動届が提出されるとマイナンバー制度のデータベースも同時に更新されるシステムとなっています。
日本では、出生死亡、結婚離婚、養子縁組、氏名変更などを管理する戸籍制度が別にあります。今のところ、マイナンバー制度には戸籍情報は格納されていません。ただしマイナンバー制度の中核となっている住民基本台帳ネットワークシステム本籍地の情報が登録されます。従ってマイナンバー制度の検索で本籍地を割り出せば、次に戸籍情報の照会を行うことができます。
ただし、マイナンバー制度のデータベースは、行政機関や自治体しかアクセスできません。行政機関であれば、マイナンバーや、氏名と生年月日、あるいは、氏名とおおよその市区町村の情報等をもとに、データ検索一発で人探しが可能です。しかし、民間の調査目的でマイナンバー制度のデータ検索を第三者開示するシステムは用意されていません。
住民票交付
ただし、マイナンバー制度の一角となっている住民基本台帳ネットワークシステムに連動した住民票請求は可能です。弁護士などの士業か、債権者訴訟の原告であれば、住民票請求によって前住所から新住所を調べることは可能です。
住民票交付は、マイナンバーのデータベースを検索し、氏名から登録住所を割り出すものではありません。相手の氏名と過去5年以内の前住所が分かっている案件に限り、新住所が割り出せるというものです。住民基本台帳法では、住民票は転居後5年経過すると削除することになっています。ですから、前住所が分かっていても転居後5年以上経過している場合、住民票の取得ができません。
戸籍附票(住所履歴)
他に戸籍の附票の交付の制度があります。最初から本籍が分かっているなら、戸籍の附票の請求で現在の住民票登録住所を反映させることができます。
戸籍の附票は何かと言うと、対象人物が本籍を設定している間の住所履歴が登録された書類で戸籍謄本の付属書類ということです。住民票の移動があると対象者の本籍を管轄する自治体にも更新情報が共有され戸籍謄本の附票も更新されます。
戸籍の附票の場合は対象者の本籍と筆頭者の情報を提供しなければ交付を受けることができません。また戸籍の附票の交付を受けられる者は直系の親族あるいは弁護士などの士業のみです。過去5年以内の住民票登録住所を知っていれば、本籍記載の住民票又は住民票除票を取得することで、本籍と筆頭者を判明させることができます。
要するに、住民票や戸籍謄本の請求による人探しは、マイナンバーのデータベース検索とは比較にならないほど限定された調査手法なのです。知人や友人の人探しでは、この初歩的な調査手法すら利用することが困難なわけです。
住民票登録を移動させない人物
債務不履行の債務者や、DVやストーカーの被害者(虚偽被害者含む)、セキュリティ対策をしている富裕層等は、住民票を実住所に登録しません。富裕層のセキュリティ対策の場合などは行政側からするとマイナンバーの納税データを検索すれば、他の関連住所(実住所)確認することも問題ないでしょう。
DV 特別支援の住民票ブロック
DVの特別支援措置の保護を受けている人物の場合、住民票は本人にしか取得できないようブロックされます。DV被害の特別支援措置の訴えでは、本当に DV被害があったか審査されることはありません。そのため子供の連れ去り案件の場合、虚偽DVによる DV特別支援措置の悪用が目立っています。
DV支援措置を悪用しているかどうかはともかく、探している対象者がこの特別支援措置を受けている可能性がないとは言い切れません。その場合、その対象者は探してはならない人物となります。
プロが行う捜索の方法
人探しの調査では、聞き込みなど人的ソースからの情報収集だけの調査手法では、成功しないケースも多数あります。実際、人探しでは、データベースによるデータ検索が最も有効な調査手法です。例えば、前住所が分かっていて、その近隣者や関係者に聞き込みをしたとしても、正確な転居先住所を聞き出せる確率は非常に低いです。
以下のようなパターンであれば前住所の関係者が、対象者の転居先を知っています。ただし、関係者がそのものズバリの転居後の住所を教えてくれる保証はありません。ただし、関係者に本人への伝言を頼むことはできます。
- 対象者が転居後も昔の近隣者と年賀状の交換をしている
- 前住所からすぐ近くに転居し元近隣者が転居先を知っている
- 賃貸物件の不動産管理会社が料金精算のために転居後の住所を登録させている
個人情報の登録データベース
それでは、他に本人の転居先の情報が登録されているものは何かといえば、以下の通りとなります。
- 行政機関のマイナンバーデータ(住民票データ)
- ライフラインの会社(電気ガス水道)
- 郵便局の郵便配達原簿(郵便転送先登録)
- 固定電話や携帯電話会社
- インターネットプロバイダー
- 銀行
- クレジットカード会社
- 身分証住所と連動した会員登録をしている会社
- 消費者金融会社(利用者のみ)
- 勤務先の会社
- 所有車両の登録を管理する陸運局
自分自身が、転居後にどのような団体や会社に住所変更の手続きを行うかを考えてもらえると、納得しやすいと思います。上記に列記した団体や会社では、対象者の住所登録の変更があれば、逐一データベースをアップデートさせています。仮にこれらのデータベースに自由にアクセスできればデータ検索一発で人探しができるわけです。
商業用データベース
プロの探偵業者は、多くの場合、名簿業者(名簿屋)のデータベース検索で人探しをしています。名簿業者は企業の営業活動で利用できる個人情報を収集販売しています。探偵業者自身が名簿業者並みに名簿を蓄積し、データベース化している場合もあります。
名簿業者は、一定の条件を満たすことで合法的に個人情報の販売が可能です。様々な名簿データがデータベース化された名簿業者のデータベースでは氏名のみからの検索、生年月日の一致者の割り出し、氏名と地域からの住所割り出しなどの人探しに活用できます。ただし、当然ですが名簿業者の保有データは全国民を網羅するものではありません。また、マイナンバー制度のデータベースやライフライン、携帯会社、郵便局、陸運局、金融会社などのデータを格納することも不可能です。物品購入者・同窓会・各種会員・懸賞当選者などの会員データが、商業用データベースの情報ソースとなります。これらは会員データの直接情報源ではないため、会員情報が随時アップデートされるわけでもありません。例えば、15年前の古いデータがそのまま格納されていたりする場合もあります。したがって、こうしたデータベースは参考情報として使えますが、必ず最新の連絡先情報が検索できるというものではありません。
しかし、個人の情報がデータベースに格納されているため、生年月日を一覧表示させたり氏名のみで全国検索をしたり、住所から登録者氏名を検索したりなど、カスタマイズした検索方法を試すことができます。
人探しのデータ調査
人探しで有効な調査手法として、データ調査というものがあります。データ調査とは個人の情報が登録されているデータベースを検索し、回答を見つける作業です。氏名、生年月日、おおよその住所、前住所勤務先、電話番号などの検索キーワードから、データベースを検索して人物特定をすることを目的とした調査です。
繰り返しになりますが、以下ののデータ調査がすべて可能であれば、日本での人探しの判明率は99%以上となるでしょう。
- マイナンバーのデータベース
- 戸籍登録のデータベース
- ライフラインのデータベース
- 郵便局のデータベース
- 陸運局のデータベース
- 携帯会社のデータベース
- 金融会社のデータベース
人探しの目的で合法的に上記のようなデータ調査を行う方法としては弁護士紹介があります。法的な調査理由を用意し、弁護士に弁護士照会を依頼することになります。
また上記のようなデータベースでデータ検索ができる立場の人物が誰かと言うと、各団体や企業のカスタマーサポートの職員や従業員、そしてデータベース構築や管理を担当するIT会社のエンジニアなどです。
そういう立場の人達が親族だったり、友達だったりすれば、内々にデータ検索をして、対象者の情報を報告してくれるかもしれません。あるいは、そうした関係者と直接のコネクションがなくても、偽装工作的な手法でコンタクトしm情報を聞き出す方法がないとも限りません。
世間一般の相談者は、プロの探偵業者なら何らかの特殊な手段によって一般人がアクセスできない特殊なデータベースのデータ調査により人探しを行っているというイメージを持っているのでしょう。実際のところ、そうした側面があることは事実ですが、調査結果が悪用され、事件化してしまうと探偵業者は廃業に追い込まれます。そういう意味で、人探しではどのような調査手法を使うかが非常にセンシティブな問題となってきます。
参考・情報屋の一斉摘発
以下は、2012年から2013年にかけて、データ調査のソースとなっていた情報屋の一大摘発へつながった2大事件です。警察を脅す暴力団やストーカー殺人犯が探偵業者を利用して人探しをしたことで、探偵業界に激震が走りました。
- 愛知県警部脅迫事件 Wikipedia
- 2010年、反社会的勢力が、愛知県警警部の住所、家族情報、電話番号を調査させ、調査結果を捜査妨害に利用した事件。
- 逗子ストーカー殺人事件 Wikipedia
- 2012年には、ストーカー加害者が探偵業者に被害者の住所を調査させ、無理心中した事件。
ネット情報検索
ネットやソーシャルメディアでプロファイル情報が確認できる人物の人探しでは、Facebook、Twitter、Instagramなどのディープサーチのスキルで、相手を特定できる場合があります。
出会い系サイトで知り合った名前も分からない人物の場合は、そもそも氏名や肩書がすべて架空である場合もあります。ディープサーチで手がかりが集まり進展が見込める場合もありますが、すべてのプロファイル情報が架空であった場合、調査をしても無駄な場合もあります。
資料・データベース閲覧
公開情報としてアクセスできるデータベースの検索や紙媒体の名簿リストの閲覧で決定的な手がかりが得られる場合もあります。公開情報というのはネット検索のみを指すわけではありません。また有料の会員制サイトのデータベースも含み、誰でも簡単にアクセスできるデータを指しているわけでもありません、他に厳重にブロックされた非公開データではないというだけのことです。
例えば、以下のような公開情報がありプロの探偵業者は、これらをのデータベースやリストの検索スキルを蓄積しています。
- 商業登記簿や不動産登記簿のデータベース
- 各種企業データのデータバンク情報
- ゼンリン住宅地図のデータベース
- 過去30年程度の電話帳のデータベース
- 官報のデータベース
- 30年以上前の電話帳記録
- 1950年以降のゼンリン住宅地図
- インターネットドメインの登録データベース
対象・関連のある人物へのコンタクト
聞き込みによる人的データソースでの調査手法には限界がありますが、だからといって、関係者への取材をおろそかにしていいわけではありません。事前情報の手がかりを洗い直し、新たな手がかりを収集する目的で関係者へのコンタクトも避けて通れません。
また開示請求などによる特集データ検索へつなげるための情報収集としても関係者への取材が必要となります。
プロの探偵社は、本当の肩書きや目的を偽装した覆面取材をスキルを磨いているのが普通です。本当の理由をストレートに話したのでは聞き出せない情報も、プロの探偵社の偽装調査スキルを駆使すると収集できる場合があります。
初恋の人や昔の友人を探す場合、その動機自体は法的な調査理由として十分ではありません。戸籍謄本や住民票などの照会は今のシステムでは不可能であるため、過去の電話帳、住宅地図、不動産屋商業登記のデータベース、昔の関係先への取材などで調査を進めていきます。
昔の知人や友人を探す場合は、調査に法的な理由がない為、住民票や戸籍謄本の照会が困難です。
仮に、住民票や戸籍謄本等の公簿が照会できたとしても、過去5年以内の住所か戸籍の本籍と筆頭者の情報がないと、公簿では住所を判明させることはできません。
探偵業者であれば、あらゆる公開情報を集中的にサーチしたり、関係者への特殊取材等で、ある程度の成果が期待できます。
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