今、緊急事態宣言の解除を、誰が最も望み、最も望まないのは誰か、考えてみてほしい
なぜか。誰がこの緊急事態の解除を最も望んでいるかを考えよう。最大の勢力は検察庁である。検察庁は、安倍内閣7年の間、人事介入を繰り返され、叩きのめされ続けた。親安倍派の検察官は、多くの事件をもみ消したとすら噂される。検察は、安倍内閣の7年間、耐えに耐え続けてきた。そして、復讐の時が来た。安倍側近の河井克行元法相夫妻の逮捕は秒読みだ。ところが、このコロナ騒動の間は、かき消されてしまう。だから、一刻も早く騒動が終わってくれれば、河井夫妻逮捕、そして安倍倒閣に動く気だ。
次に緊急事態宣言の解除を望むのは、財務省だ。自粛が長引けば、補償をしなければならない。しかも、次から次へと。無制限の歳出など、財務省には耐えられない。だから、早く終息してほしいと願っているのだ。検察庁と財務省、いずれも安倍内閣の敵である。
安倍政権の延命には、この危機を長引かせたいのだ。
そこで利用されるのが、「専門家」の意見だ。「このままでは42万人が死ぬ」「人との接触を8割減らせ」「あと2週間の我慢だ」などの意見に従い、安倍内閣は緊急事態宣言を全国に広げた。だが、冷静に考えよう。相手は未知のウイルスなのだ。誰も証拠のある断定などできない。あくまで「仮説に基づく実験」にすぎないのだ。
では商人にとって、人との接触を8割減らすとはどういうことか。売り上げが8割以上減ることである。店に1日中1人も客が入らないなどザラだが、家賃は容赦なく発生する。家賃を払ってもらえないと、大家も収入が無くなる。
確かに専門家は「コロナ対策が万全になるのに1年かかる」「アメリカは2年だと言っている」などと主張する。そら、そうだろう。医者は人の命を救うのが仕事で、1人も人を死なせない方策を提言する。だが、優れた専門家にありがちだが、大局観で知を総合できない。伝染病で死ぬ人間への対策が医者の仕事であって、経済で死ぬ人間の話は門外漢だ。
こうした場合、最終的に判断するのは政治家、特に総理大臣の役目だ。安倍首相はコロナとの戦いを戦争にたとえた。ならば、戦争においては前方の戦線と後方の補給の双方を維持しなければならない。この場合の前方とは伝染病との戦いで、後方とは国民経済だ。どちらかを取りどちらかを捨てる話ではない。安倍首相に戦時宰相のような能力を求めても無駄だが、長引けば長引くほど自分の政治的立場が有利な状況なのだから、専門家に悲観論を言わせるに決まっている。
こうした環境にあると、国民が世の中の状況を見極めるべきだ。そして声を上げるべきだ。「安倍首相よ、緊急事態宣言を延長したいのならば、内閣総辞職を約束せよ!」と。
今の日本政府は、法律に基づかないで自粛を要請してくる。それでいて十分な補償も行わない。騒動勃発以来、自民党と官僚は数多くの失態を犯したが、それでも人口当たりの死者数は極端に少ない。すべて国民の頑張りだ。その国民に対し、安倍首相や自民党は、一度でも真剣に感謝し、己の無能と無力を詫びたことがあるか。結果を出せていないし、初動の誤りが無ければ、ここまで深刻化はしなかった。ならば、安倍首相は安全地帯で他人事のように要請するのではなく、己の進退をかけて国民にひれ伏して頼むべきではないのか。
与党も野党も、緊急事態宣言を延長する場合は、騒動終了時の安倍内閣の退陣を合意し、協力し合えば良いではないか。それならば、国民も納得する。
国民の我慢は、心身ともに限界にきている。「戦争」なのだったら、まず首相が命を懸けろ!
憲政史研究家 ’73年、香川県生まれ。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中より国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務め、’15年まで日本国憲法を教える。現在、「
倉山塾」塾長、ネット放送局「
チャンネルくらら」などを主宰し、大日本帝国憲法や日本近現代史、政治外交について積極的に言論活動を行っている。ベストセラーになった『
嘘だらけシリーズ』など著書多数。最新著書に『
13歳からの「くにまもり」』