June 27, 1997 発行 全地球史解読事務局
[link]と示した記事は、ニュースレター以外のページに収録されているので、そちらにとびます。
中島健介(九大・理・地球惑星)
海洋は地球表層の物質・熱循環において重要な役割を担っており、その変遷について の知見は、地球史の解読に欠かせない。海洋の循環を支配する要因の第一は、海面から の熱・運動量・水フラックスを決定する大気の運動である。これは、太古代においては 太陽が暗い・大気成分が異なる・地球自転角速度が大きいなどの要因のため現在とは多 少とも異なっていたものと推測されるが、パターンとしてはあまり違わないと想像でき る。しかしもう一つの重要な支配要因である陸の配置は、太古代においては、マントル 対流とプレートのスケールが小さかったために現在とは全く異なると考えられている。 また、海底からの熱流量が現在より多いことも太古代初期には本質的に重要となる可能 性がある。これらの要因により、太古代の海洋循環は定量的のみならず定性的にも現在 とは全く異なっていたと予想され、その実態の解明が必要である。
太古代の海洋を考える前に現在の海洋の特徴を簡単におさらいしておこう。現在の海 洋は一万キロ規模の「大陸」で区画されたいくつかの「大洋」として存在している。海 水は各々の大洋の中を循環するのみならず、「ブローカーのコンベアベルト」に表現さ れる様に全海洋を三次元的にめぐっている。その一つの結果として、海水の成分・深層 の水温は全世界的にかなり一様になっている。(実際、他の大洋と隔離された地中海・ 日本海などの深層水温は、例外的な値を持っている。)この一様性が、海洋がしばしば 地質学的問題において一つのリザーバとして表現されることを、ある程度許容している のである。
次に、ひるがえって太古代の海洋を考えてみよう。プレートのスケールが小さいこと から、陸地は多数の弧状列島になっていたとされている。その場合、適当に海水の量が 多ければ、第ゼロ近似としては地球の全面が海洋でおおわれた「water world」であるこ とになる。この状況は、大規模な側面境界が存在しないという点で、現在の海洋よりむ しろ大気圏に近い設定といえる。そこで大気の大循環を手がかりにして、当時の海洋循 環を想像してみると、高緯度と熱帯の間の温度差があっても、これが作る南北圧力勾配 が平均東西風に働くコリオリ力でバランスされ、南北循環は生じにくいだろう。(実は 現在の海洋でも圧力勾配とコリオリ力はバランスしているが、その仕方は大気と異なり、 大陸が支える東西圧力勾配と平均南北流に働くコリオリ力のバランスとなっている。) この結果、海洋内部の温度や成分が現在よりもずっと南北に非一様となっていた可能性 がある。また、別の極端として海水が非常に少ない場合には、弧状列島が接続して編目 状の陸地になり、これに区切られた多数のミニチュア海洋が存在する世界となろう。こ の場合、個々のミニ海洋の間の物質交換が弱くなり、やはり海洋全体の一様性は破れる。
ともあれ、いずれにせよ上の描像は精度としては「憶測」の域を出ない。より具体的 に当時の循環を求めるには、解析的な手法には限界があることは明白なので、流体力学 の数値モデルを用いたシミュレーションを行なう必要がある。 その際、現在の海洋シミュ レーションに広く用いられている三次元の海洋大循環モデルだけでは、経験的パラメタ (しばしば現在の海洋用に調節されている)が多いこと・解像度が不足することなどの ため、十分信頼出来る答は得られないだろう。そこで、補助的に二次元(南北-鉛直ある いは、東西-南北)モデルによる多数の計算、あるいは高い解像度の計算も併用する必要 がある。また、太古代、特にその初期の陸地配置の再現精度は高くないであろうから、 特定の海陸分布における海洋循環を求めるだけでなく、海陸分布の統計的パラメタと 海 洋循環の特徴との関係をまとめる必要があろう。
最後に、こうして得られるであろう解の検証可能性について考えたい。これは裏を返 せば海洋循環が地球環境、ひいては全地球史とどの程度の強さで関係するか、という問 いと深く関わる。現在の、もはや社会問題とも言える二酸化炭素増加に伴う気候変化問 題ともなれば、そこにおける海洋循環の重要性には疑う余地はない。しかし、遠い過去 である太古代の問題となれば、有意とされる精度・地質学的証拠の量の両面で、海洋循 環の立ち入る余地は少ない、言い替えれば、その検証の可能性も小さいと言わねばなら ない。しかし、だからこそ、 謂わば演繹的に当時の状況を再現してみることの価値は高 いとも言える。つまり、さしあたりは、情報が少ない太古代の環境のイメージを膨らま せるために 必要な「妄想」のネタとして結構な意味を持つ、という所であろうか。
山本啓之(聖マリアンナ医科大学微生物学教室)
微生物生態学から見たバイオマットとは、生態系での役割は、また地球史においてど のような時間と空間を占有してきたのかなどを思い付くままに示します。
原核生物(細菌、古細菌)、単細胞真核生物(真菌、原生動物、藻類)で構成され 、 肉眼的に観察できる被膜をバイオマットとして調査研究の対象にしています。微生物が 様々な物質の表面に固着し増殖した膜状の構造をバイオマット(biomat)と定義します。 これ以外にも微生物被膜(microbial mat)あるいはバイオフィルム(biofilm)とも呼 ばれています。定常的な条件下でバイマットは岩石などの表面から剥がれることなく固 着しており、流水の中でも物理的に剥がれ落ちることはない。微生物の増殖とともにマッ トの厚みは増加し肉眼的に観察可能なサイズにまで成長します。微生物は個々の細胞を 肉眼的に認知できない生物群(例外として0.6ミリの細菌はいるが)ですが、バイオマッ トのように集団を形成した場合には周辺環境にも多大な影響をもたらすことができる。
バイオマットは微生物が生息できるあらゆる環境条件で形成されている。 温泉など の極限環境から台所の排水孔、また歯の表面にできる歯垢も立派なバイオマットです。 乾燥した環境では地衣類がマットを作ります。それぞれの環境において 様々なバイマッ トが作られていて、生態系での高分子有機物の一次生産や環境浄化(多細胞真核生物で ある動植物に有利となる)などの役割を果たしていると考えられています。バイオマッ トの規模は、指先でこすりとれるていどから海底に数キロメートルの範囲で広がる巨大 な構造まで様々である。巨視的なマット形成(ストロマトライト)や生物活動による鉱 物精製(biomineralization)は堆積物の縞状構造に確固たる生物の痕跡を残す現象といえ るでしょう。環境条件がバイオマットを形成する微生物の種類を規定しており、一般に 条件が厳しくなるにつれて生息する微生物の種類が限定されます。
過去の地球環境(6-10億年以前)では微生物のみが生態系を形成し地球環境に君臨し ていた。
分子進化の系統で最古の微生物は好熱性化学合成無機栄養細菌と考えられてます。 現生のこの細菌系統には硫化水素を含む温泉に生息し顕著なバイオマットを形成するも のがいます。38億年前の生物活動の痕跡はこの細菌系統の祖先によるバイオマット痕跡 かもしれません。
最初に初期地球で登場したのは化学合成細菌によるバイオマットで、次いで硫酸還元 細菌や高分子有機物を嫌気的に分解する細菌が登場したと推測されています。恐らく嫌 気性の硫酸還元細菌や有機物分解細菌は化学合成細菌のバイオマットの下層に集落を形 成したのかもしれない。しかしこれらの初期地球で形成されたであろうバイオマットの 痕跡が堆積物や岩石から発見されたとの話はいまだに聞いていない。 これ以降ではシ アノバクテリア(藍藻)による巨大なストロマトライトが25億年前後で発見されている。 また海底に堆積した有機物が細菌などにより嫌気的に分解れた残渣が発見されている。 このいずれとも当時は微生物による巨大なバイオマットとし 存在していたのように思 う。
現生の微生物は高熱の極限環境から生物体の内外にまで生息している。生息している 微生物の系統と生態の進化は地球環境の条件と正相関しているように見える。様々な環 境に形成される現生のバイオマットを調べることで、過去の生態系と地球環境を類推す ることが可能ではないだろうか?
バイオマットカタログをインターネットに公開する目的や意義は、学術研究と一般へ の教育と啓蒙に主眼を置いています。 学術研究の目的ではデーターベースとしての利 用と研究成果の発表を主目的にと考えています。すでに岐阜大学において実験的にホー ムページ (http://guedu.cc.gifu-u.ac.jp/~kyama) を作成したのですが、宣伝不足のためか反 響なしでした。このホ ームページはいずれ移転して改版するつもりですが、来年の3月 末までは岐阜大に残 っています。また最終的な受け入れ機関は現在交渉中です。一般 への教育と啓蒙については、熊澤Yさんの懸念(ルールを守らない輩が大挙してバイオ マットに押し寄せ、大切な自然が守れなくなる危険がありませんか?)は 当然のことと 思います。恐らく一般向けのホームページ作成のほうが難しいかもしれません。ホーム ページを二つにわけて、学術研究用は英語、一般用は日本語でということも考えられま す。
学術研究用に期待されているデーターベースとしての機能を充足するのに必調査要 な データーについてですが、誰が調査したかにより情報の質が異なると予想されます。微 生物学てきな研究では地質学、鉱物学などの情報は大幅に欠落します。逆の場合では生 物学的な記載がかなりあいまいになります。できれば高いレベルの横糸で結ばれた横縞 関係の共同調査が望まれるところでしょう。
地理情報; 1. 緯度経度 2. 高度 3. 地名 環境条件; 1. 基本的な水質(温度、pH、電気伝導度、酸化還元電位、溶存酸素濃度) 2. 特異的な水質(硫化物濃度、金属イオン) 生物情報; 1. 基本的情報(バイオマットの形状観察、微生物のみか、多細胞生物がいるか) 2. バイオマットの種類(化学合成、光合成、有機物分解) 3. 微生物の同定(バイオマーカー、色素、DNA、分離培養など) 4. バイオマットの元素分析 地質情報; 1. バイオマット基底部の堆積物 2. 地質学的年代 (まだ何かあれば付け加えてください)
地質学的年代については、例えば温泉がいつごろ誕生したのかというような情報が あると生息している微生物の系統解析に有用です。温泉の吹き出した時期の予測とい う のは可能でしょうか?
開催期間:4月4日(金)午後から6日(日)夕方まで 開催場所:千葉県東部、茂原市東方の白子鷲にある「ホテル東天光」 4月4日(金) 12:30 千葉県、JR外房線茂原(もばら)駅集合、ホテルへ移動 13:30 開会の挨拶 13:45-17:30 第1部 『 縞縞学ってなんだろう?』 13:45 熊澤峰夫(名大)「全地球史解読のめざすもの」45分 14:30 川上紳一(岐阜大)「縞縞学入門:地球システムのリズムとイベント 」60分 休憩 15:45 古本宗充(金沢大)「縞縞学入門:宇宙と地球の相互作用」45分 16:30 高野雅夫(名大)「全地球史解読における縞縞学的アプローチ」45分 夕食・風呂の後、懇親会 4月5日(土)午前 9:00ー13;45 第2部 縞縞解読ってどうやるの? 9:00 伊藤孝士(国立天文台)「ミランコビッチサイクルとは何か」60分 10:00 阿部彩子(気候センター)「気候システムの応答と縞縞堆積物の形成」60分 休憩 11:00 福沢仁之(都立大)「海底・湖底堆積物からよむ地球のリズムとイベ ント」60分 休憩 昼食 13:00 岡庭輝幸(名大)「太古代・原生代の縞縞堆積物をどうよもうとしているか」45分 13:45 豊田 新(阪大)「ESR(電子スピン共鳴)で格子欠陥をよむ」 休憩 15:00-16:00 第3部 縞縞解読にむけての先端的微小領域分析法 15:00 平田岳史(東工大)Soft Ablation Technique for Zircon U-Pb Chronology using Laser Ablation-Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry 16:00-17:30 総合討論 まとめ:増田耕一・川上紳一・高野雅夫 17:30-18:30 P-T境界問題の話題:磯崎行雄、武蔵正明 夕食・風呂の後 20:00-22:00 ポスターセッション (若手中心) 4月6日(日) 8:30 セミナーハウス出発、富津方面へ移動(バス利用) 10:00 第四紀縞縞堆積物の巡検(案内者:千葉大・理、伊藤 慎氏) 16:00 現地解散
岡庭 輝幸 (名古屋大学理学部地球惑星科学教室)
縞縞解析とは、縞状堆積物の縞のパターンに記録された、当時の月地球回転力学系の 周期と地球環境の変動を時系列解析等の手法を通して解読することである。縞縞解析の 研究は既に多数なされているが、月-地球力学系の進化を40億年の地球史にわたって定 量的に検証するには質、量共に不十分であり、特に6億年前より古い時代にはほとんど データが存在しない。その理由として古い岩石ほど縞が変形していること、堆積速度が 不明なこと、ハイエイタス・イベント層が存在することなど、単純な解析では処理しき れない障害があることが挙げられる。そこで、我々はこれらの問題点を解決する、縞縞 解析の客観的解析手法の開発を行なうと同時に、実際の堆積物について解析を始めてい る。
我々の構築しようとしている一連の縞縞解析のプロセスの中で、今回は私が主に修士 の間に取り組んだ部分を中心に紹介する。実際の解析を試みているストロマトライトの 基礎記載と、二次元画像データを一次元データに変換する方法の開発について主に話を し、現在開発中であるその先の解析手順については簡単に解説を行う。
我々は昨年夏、Canada, Great Slave Lake, Blanchet Islandにおいて縞縞解析のための試料 として19億年前のストロマトライトを採集した。このストロマトライトは、幾何学的 には通常のストロマトライトとはきわめて異なった形態をなしており、内部には非常に きれいで緻密な縞模様が保存されている。そこでまず縞縞解析ためには前段階としてこ のストロマトライトの形態や元素組成の分布の特徴の記載する必要がある。本研究では、 薄片観察、X線回折により鉱物を同定し、走査型X線分析顕微鏡、分析電子顕微鏡を分 析を用いて広範囲の元素組成マッピングを行った。そして、元素の組み合わせから鉱物 を推定し、その鉱物と縞との対応やストロマトライトの部位による特徴を明らかにし、 各元素の挙動の原因を考慮しつつ、縞読みに適した系列データの検討、選定を行った。
[形態的特徴]立体的には、一斜面が急勾配で、他の二面が緩斜面という非対称な、 膨らみを帯びた三角錘状のドームが連なる構造を示す。垂直断面では、ほぼ surface normalに成長した層厚約数100μmの緻密な縞が観察され、その縞は隣合うドームにも連 続している。水平断面ではその内部に同心状のきれいな三角形の縞模様が見られる。こ のドームは急斜面側を皆同じ方向にむけて、ほぼ同サイズのものが露頭一面に配列して いる。
[分析結果] このストロマトライトを構成する主要元素はCa,Mg,Si,Fe,K,Alであり、 基本的にdolomiteとquartzから成る。 MgはCaの分布と一致し、dolomiteを示す。 Feはおも にdolomiteのMgのサイトを置換して入っている。Feの一部はhematiteとして試料中に散在 する。Siはおもにquartzの存在を示し、K,Alはmuscoviteなど微量な粘土鉱物の存在を示し ている。
縞は、肉眼では数100μmの緻密な明暗互層となっており、側方にほぼ一定の層厚を なし、非常に連続性が良い。顕微鏡下において、主にquartzとdolomiteからなる粗粒 (25~ 50μm)のA層と、主にdolomiteからなる細粒(<10μm)のB層に分類した。ただし、見た目 の縞においてはA層が暗層、B層が明層に対応しているようにも見えるが、明瞭な対応で はない。Feは、基本的にはSiと相関があるが、所々Siと相関を持たないFeの濃集した層 が存在する。
また、ドームの部位によって組成に系統的な違いがみられた。ドームの頂部にはFe 濃集層が覆うように分布しているのに対し、窪地にはSiが濃集し、三日月状にquartz が堆 積している構造も見られる。また、ドームの steep face と gentle face では gentle face にSi が相対的に多く、二面の境界においてその濃度は明確に分かれている。
[考察] まず、規則正しい幾何学的な形態やSiの分布の横方向の非対称性は、ある 一方向からの流れの影響下でストロマトライトが形成されたことを示している。また、 Siが窪地に特に濃集していることは、quartz が粒子として供給され、堆積したことを意 味する。surface normal な縞の成長は、carbonate が化学的沈澱により形成されたことを示 唆しているが、それが無機的か生物活動によるものかについては確定的ではない。Feに 関しては、Siと相関のないイベント的な濃集層の存在などから、後の続成作用の影響を 反映している可能性が高い。
結局、縞の変化のパターンは quartz と dolomite の二成分系であり、走査型X線 分析顕 微鏡の分析においては明らかにSiとCaは逆相関の関係にあるので、縞々解析においては Siを用いればよい。また、Feは基本的にはSiと相関があるのでSiの周期のクロスチェッ クに用いることができるのと同時に、Siに相関しないFe濃集層はイベント層が存在する ものとして捕らえることができる。このような層を検出することは後述する励起存否法 を用いた時系列解析の格好のターゲットであるといえるので、Feについても解析を行う こととする。また、 gentle face と steep face の組成の違いによらず同じ周期が存在するか 見るために、両方で系列データをとり比較することがよいことがいえる。
通常、堆積物の縞は、一見きれいにみえても初生的あるいは続成作用等により縞に沿っ た方向における欠損・変形・変質などの乱れが普遍的に存在する。よって、堆積時の情 報を忠実に一次元に変換するには、ただ単に横に平均するのではなく、縞(即ち同時堆 積線)に沿って平均する方法が最も正しい。そこで、堆積物のノイズを適当に除去して 同時線を客観的に推定し、同時線に沿って平均化を行なうアルゴリズムを開発した。 基本的に側方に等濃度の線を同時線とするモデルをとる。その方法は、画像の各格子 点において濃度の最大勾配に直交し、その勾配の大きさに比例したベクトルを連続的に 滑らかに結ぶことにより、同時線を求めるというものである。消去したいしみや乱れの あるデータから長周期のトレンドに沿って線を引くために、ベクトルの方向成分の二次 元データをスペクトルパワーの大きい数個の周波数成分のみで記述するという、一種の フィルターをかける。その周波数成分をパラメータとして、最適なパラメータの数をA ICで評価することにする。
今回は一つの具体例として、層厚が数100μm程度の縞からなる、dolomiteの縞の画像 を人工的に褶曲させた場合についてこの解析法のテストを行なった。AICはパラメー タ数が7のとき最小となり、そのとき多少のずれはあるものの、大局的な縞の変形に沿っ て同時線を描くことができた。こうして決定した同時線に沿って平均化した データとそ のまま横方向に平均したデータを比較したところ、明かに前者の方がより実際の縞の変 化を表現しており、本研究で開発したアルゴリズムの妥当性を示すことができた。但し、 実際の解析におけるこの方法の有効性は、堆積物の縞の状態と解析する側の求める精度 によって評価されるべきものであり、これは今後の課題となっている。
ここで得られたデータは空間系列データであるので、これを時系列に変換する必要が あるが、堆積速度が不明の場合には変換ができない。そこで我々は、あらかじめ堆積モ デルを仮定しておいてから変換する方法をとることにする。 たとえばBIFのようにFeとSiの二成分系からなる縞について簡単な例を考えてみ る。堆積速度はFeの濃度に比例し、その比例定数をパラメータとするモデルを仮定する。
パラメータを変化させると、データは時間軸上で伸び縮みし、異なる時系列データとな るが、最適なパラメータ値の推定は実際にパラメータを変えて時系列解析を行い、その 結果として得られた周期とIKダイアグラムとを比較し、もっともよく両者の周期の組み 合わせが合う場合を検索することにより行う。どのようなモデルを設定するかは、それ ぞれの堆積物の特徴に応じて考えなければならず、当然モデル自身もいくつか異なる場 合を想定する必要がある。
時系列解析の段階において本研究では、励起存否法を縞縞解析に応用することを目指 している。そもそも存否法とは、データの信号部分がその前後の値の線形結合で決まる という自己回帰過程(AR過程)に基づくスペクトル解析法であり、その結果としてそれぞ れ4つのパラメータ(周波数、減衰定数、初期位相、初期振幅)で規定される単純な波 (波素)の重ねあわせとしてデータの信号成分は記述される。存否法においては、系の 定常的な自由振動を仮定しているが、実際の堆積物においては、たとえばタービダイト や火山灰層、ハイエイタス層など、さまざまな非周期成分がイベント層として含まれて いる。そこで励起存否法は、それらの効果を系に与えられる外力として仮定し、系の固 有振動数と外力を同時に分離、解析するための道具として開発されつつある。発表では 例として、二つの異なる固有周期を持つシステムに対し、インパルス的に外力を与えた 合成データに対して励起存否法による解析を行い、この方法の有効性を示した。
さて、励起存否法を用いた時系列解析により、複数の異なる周波数の波素が検出され る。 それらの相対周期は判明しているものの、堆積速度の絶対値が未定ならば周期の絶対 値も不明である。そこで、それらの周期の絶対値を同定するためにIKダイアグラムと の比較を行う。 実際には、得られた複数の周期を対数軸上にプロットし、その相対的な差(対数軸上 では比は差として現れる)がIKダイアグラムで予想される周期の相対的な差と一致す るところを探索する。うまく一致するところが決まれば、それにより以下の4つの情報 が同時に求まることとなる。1)堆積時の天体力学的周期2)堆積速度 3) 堆積モデル 4)イベント系列。一方、もしある誤差の範囲内で一致するところがなければ、堆積モ デルあるいはパラメータの値に問題があるとしてそれらを変更し、再度同じ解析を繰り 返すことにより、堆積物の縞の解釈として、合理的な一連のモデル群を提示することを 行う。
縞縞解析は全地球史解読計画のなかで、当初から研究の重要な柱の一つであったにも かかわらず、長い間絵に描いた餅であった。しかし、現在までの進展状況をたとえるな らば、臼杵の準備ができ、材料のもち米も入荷して、ようやく残すところ餅をついて食 べるところまできたのではないだろうか。しかし、餅の付き方にもテクニックが必要で あり、まだまだ研究課題は山積している状況であるといえる。
豊田 新(大阪大学大学院理学研究科宇宙地球科学)
ESR(電子スピン共鳴)は、物質中の不対電子が静磁場中でマイクロ波を吸収する性 質を利用して、不対電子を検出する手法である。古典的にみれば、電子は回転する円電 流の性質を持つので、小さな磁石とみなすことができる。磁場中では磁場に 平行、反平 行のどちらかの状態をとる。この2つの状態のエネルギーの差に相当する マイクロ波が 照射されるとこれを吸収し、2つのエネルギー準位間の遷移がおきる (平行から反平行 へ変化する)。これが電子スピン共鳴(electron spin resonance, ESR)である。ある常磁性格子欠陥は、一定の周波数のマイクロ波のもとでは、特定 の磁場になったときに吸収を起こす。この磁場は格子欠陥ごとに異なるため、文献値と 比較するなどによって信号を同定することができる。
ESR年代測定は、不対電子が鉱 物中に年代と共に蓄積していく性質に基づいている 。対になっている電子が自然放射線 によって電離し、一部は格子欠陥や不純物に準 安定な状態としてとらえられる。この状 態が熱的に安定であれば、地質学的時間ス ケールの間に年代に比例してその量が増加し ていく。 鉱物中の格子欠陥を「よむ」ことによって、このように自然放射線の情報が わかり、年代測定が可能になる。また、これまであまり注目されてこなかったが、信号 の原因となる格子欠陥や不純物に注目することによってこれらをトレーサーとして用い る新しい研究が可能であると考えている。 ヒドロキシアパタイトである歯のエナメル を年代測定することによって人類学の 分野では大きな成果が得られてきた。中東で Homo erectus と Homo sapiens sapiens が同時期に生息していたことが明らかになっているが、東南アジアでも同様のことが 明らかになってきている。アラゴナイトであるサンゴの化石を用いることによって第四 紀地殻変動が研究された。サンゴについては炭素法、ウラン-トリウム法とで年代のク ロスチェックが既に行われている。これに対して石英を用いたESR年代測定は、対象 となる地球科学的現象が豊富であるにもかかわらず、その方法の確立は遅れていた。最 近この確立に向けて努力が傾けられている。テフラの年代測定については、信号の熱安 定性の詳細なチェックを行うことによって、信頼性の向上が図られている。アメリカ、 ニューメキシコ州バイアスカルデラ周辺の第四紀テフラの年代測定では、信号の熱安定 性を考慮すると、夏季の地表温度の高い時期に信号が減衰したことが疑いがあることが わかり、熱的に安定な成分のみを加熱によって取り出すことによって年代測定を行った。 この結果、年代はこれまでに考えられていたより若く、6万年前程度まで火山活動が続 いていたことが明らかになった。
熱的に非常に安定な酸素空格子を用いると、10Maから1Gaの範囲の年代測定が行え る可能性があることがわかった。現段階では、花崗岩などで他の年代測定法で得られた 年代とその中の石英の酸素空格子量に相関があることがわかっているが、酸素空格子の 生成過程について議論がある。γ線の照射実験からは石英外部からのβ、γ線によて生 成したことが示唆される。
信号の原因となる格子欠陥や不純物を「読ん」だ研究を紹介する。日本各地及びド イツの第四紀の鍾乳石をγ線で照射した後、その縞模様を走査型ESR顕微鏡で測定した。 CO2-信号及びSO3-の変動が観測された。被曝線量と比較することにより、成長の遅い部 分でCO2-信号が大きいことがわかった。これは、この信号を安定化させる希土の取り込 みと関連していることが推測される。 インドネシアの現世サンゴ中の SO3-/CO2- 比の 変動を10年分について調べた研究例がある。これによると、降水量と逆相関が あり、降 水によって海水中の亜硫酸濃度が減少したことに対応していることになる。
石英中に不純物として取り込まれているチタンに関連したESR信号の、γ線照射に よる増加率(これは珪素と置き換わっているチタンの量に関連する)を指標として 、テ フラの同定を試みた。アメリカ、ニューメキシコ州バイアスカルデラ内部で採取された コアに含まれるtuffは、露頭で観察される火砕流堆積物とは異なっていることを示し、 コアでのみ見られる新しいmemberであることを確認した。石英中の酸素空格子量が年 代と対応することを用いて、日本の堆積物中の風成塵 の起源を探る試みが既に行われて いる。これによると、日本各地の堆積物中の細粒の石英中の酸素空格子量は、石英の起 源を次のような給源のものと若い日本の岩石起源のものの混合と考えれば説明がつく。 日本中部については先カンブリア期の地層の露出の少ない中国大陸中部に対応する。こ れに対し、北海道及び南西諸島南部については中国大陸中部より高い値が得られていて、 測定されていない中国大陸北部及び南部の先カンブリア期の地層が露出している部分に 起源をもつのかもしれない。
これまでの地球科学において「格子欠陥をよむ」機会は非常に少なかったのでは な いかと思う。全地球史解読の重点領域研究が組織されている機会に、さまざまな 情報を よんでいる方々と交流して、格子欠陥の情報も提供していきたい。
Takafumi Hirata (Laboratory for Planetary Sciences, TIT)
A new laser ablation technique has been developed for elemental and isotopic ratio analyses of solid materials using inductively coupled plasma mass spectrometer (ICPMS). Using a soft ablation technique developed in this study, reproducibility of the signal intensity and precision of the elemental and isotopic ratio measurement could be successfully improved. This was achieved by the continuous change in power of laser beam. The solid sample was first ablated by low-power laser beam (lower than 1 mJ) to minimise the release of large fragments of the solid sample going to plasma, and then laser power was continuously increased to give a constant and stable signal intensity of the analyte ions. Since no spiky and high intensity signal was observed in the early stage of the ablation, a preablation sequence was not needed prior to the data acquisition, and consequently analysis time and sampling depth could be minimised.
In order to evaluate the versatility of the soft ablation technique developed in this study, Pb/U abundance ratios for zircon samples have been determined. Measurements of the Pb/U abundance ratios using laser ablation techniques show a serious fractionation effect because of the greater volatility of Pb. Using a soft ablation technique, this elemental fractionation could be minimised, and resultant Pb/U ratio data for zircon samples show an excellent agreement with the data obtained by thermal ionisation mass spectrometry (TIMS) or secondary ion mass spectrometry (SIMS). The data presented here demonstrate clearly that accurate and precise elemental analysis from 10-15 um crater pits could be successfully carried out by the laser ablation-ICPMS coupled with soft ablation technique.
Combination of laser ablation technique and inductively coupled plasma mass spectrometry (LA-ICPMS) have been widely used for the multielement determinations of solid samples [e.g., Gray, 1985, Arrowsmith, 1987]. Recent instrumental developments in enhancement of elemental sensitivity, have resulted in sub-ppm trace element analysis on 10-20 um crater pits of solid samples [e.g., Longerich et al., 1993, Fryer et al., 1993, Huang et al., 1993, Hirata and Nesbitt, 1995, Machado and Gauthier, 1996]. However, the smaller amounts of material ablated yield signals that are often below detection limits of ICPMS instrument, and therefore further enhancement of instrumental sensitivity is strongly required to take full advantage of the spot analysis. Hirata and Nesbitt [1995, 1997] succeeded in improve the elemental sensitivity by using a S-option interface (which improves the first vacuum stage of the ion extraction system) and addition of small quantity of nitrogen (0.4 mL/min.) into the carrier gas. As a results, they got a enhancement factor of about×20 for heavier elements such as Pb o r U. Recent developments in LA-ICPMS suggests unambiguously that this technique will play a major role in the field of geochemistry [Falkner et al., 1995].
Zircon geochronology is one of the principal dating tool. Complex Archaean geochemistry have been successfully unveiled by the precise U-Pb age data for zircons. Standard methods of lead isotopic analysis include thermal ionisation mass spectrometry (TIMS, e.g., Krogh, 1973, 1982), evaporation techniques (e.g., Kober, 1986) and sensitive-high resolution ion microprobe (SHRIMP, e.g., Compston et al., 1986) have been widely used for the zircon dating. Zircon U-Pb age data obtained by the TIMS technique is generally accepted as an "bemch mark" standard because of its high precision of the measurement, however, TIMS is time consuming and requires skilled technique for the chemical decomposition and separation procedures. Moreover, since sample was chemically dissolved prior to the analysis, the isotopic and elemental data obtained by TIMS technique were "averaged" data of the bulk grain, and therefore all the information about heterogeneity in isotopic and elemental data within a grain should be lost. The rapidity of ion microprobe measurements together with the ability to produce spatial dara means that much more information can be derived from zircon populations than that produced by conventional TIMS technique. The resultant spatial U-Pb isotopic data clearly demonstrates that many zircon grain has a zoning or multiple growth textures mainly due to loss of Pb during a secondary geochemical sequence or contamination of Pb from the accociated rocks, indicating clearly that in-situ elemental and iotopic analysis is strongly required to arrive at a meaningful age.
A new tool in the field of zircon geochronology is inductively coupled plasma mass spectrometer (ICPMS) coupled with laser ablation technique. Using ablation craters of 10-30 um diameter Feng et al. (1993) and Fryer et al. (1993) reported precise 207Pb/206Pb isotopic ratios for several zircons. However, because of the lack of reproducibility in Pb/U ratio measurement mainly due to greater volatility of Pb, they were restricted to 207Pb/206Pb age. Without 206Pb/238U ratio, the system closure (concordance) of the zircon cannot be tested and equally the method cannot be extended to the 'young' zircons. The serious Pb/U fractionation during the laser ablation can be minimised when laser beam is constantly refocused during ablation (active focus technique, Hirata and Nesbitt, 1995, Cousin et al., 1995). Using this technique Hirata and Nesbitt (1995) reported 206Pb/238U ratio for zircon samples with the nalytical precision of about 5-15%. However, improvement of precision of Pb/U elemental ratio measurement is strongly required for the age determination based on 206Pb/238U and 207Pb/235U ratios. In this paper, a new ablation technique which can improve the data reproducibility and also can minimise the Pb/U fractionation will be described. Using the technique it is possible to obtain direct measurements of 206Pb/238U ratio data from 12 um to 15 um diameter ablation pit.
For Further Information Contact : Takafumi Hirata (thirata@geo.titech.ac.jp)
東條文治(京都大学大学院理学研究科)
昨年の「夏の学校」に引き続いて,先日「全地球史解読-春の学校」に参加してきま し た.2日間の講演と巡検が1日,夜には懇親会やポスターセッションが遅くまでと盛り だくさんなプログラムでしたが,楽しく濃い学習や交流ができたと思っています.具体 的な研究の枝葉が語られる前に,熊沢先生から「研究を担う研究者というもの」までを 含んだ「科学研究」の現状であり構造であり,良くも悪くも今ある姿というものが語ら れ,「科学研究」を横縞ナイズできたら痛快ではないだろうか?という問いかけがあり ました.ここで私は受動的な態度で研究に接することの怖さ,狭い領域に縛られない研 究へのあこがれを強くしたわけです.講演は根幹からだんだん枝にのびるように構成さ れていて,潮汐とIKダイアグラムやICP-massなど小難しい理論や装置も,全地球史解読 の中での役割が良く見えてきて有機的な構造としてとらえることができたように思いま す.また,雨の中行われた巡検は最悪のコンディションながら,熱心に露頭にへばりつ き観察をするガッツな若者の姿が印象的でした.そして「春の学校」の一番のお楽しみ だったのは,夜の懇親会で河野さんが熱く披露してくれた,激動の時代の若者の情熱と 生きざまをテーマにしたショーです.なぜだか,心を揺さぶられる思いがしました.と にかく,このショーのあとの懇親会での議論はとても燃えるのです.
若手で夏の学校を企画しようということになっていますので,多くの人に参加して頂 けたらと思います.
真砂英樹(東工大大学院理工学研究科)
春の学校の開催にあたっての冒頭の熊澤先生のご講演は、我々に本質的な命題を投げ かけるものであった。合同学会の特別講演で一度耳にしていたから今回は些か衝撃は少 なかったものの、依然驚きは隠せない。 全地球史解読計画 ── 既に幾度も耳にし、 その意義は十分に理解していると思っていたが、今になって自分の理解が全くその一部 にしか及んでいなかったことに気づかされたようである。人類の誕生と科学の創始を地 球史第7事件とし、他の6つの事件と等価なあるいはそれ以上の重みを持たせ た意味に遅まきながら気がつき、全貌を現したこの遠大な計画に今さら ながら驚嘆しているというのが正直な感想である。つまり私の浅薄な理 解で言わせてもらえば、全地球史解読計画は単なる既存の科学分野及び その境界領域の集合体などではなく、人類の存在を科学という言葉に代表 してその未来を模索、いや創造する計画だったのである。斯様な計画に 関われるということの不思議、そして微力ながらも計画の実行に貢献で きることの喜びを今感じている。
冒頭の熊澤先生のご講演を受けて、その主旨を補完する形で提示された丸山先生から のメッセージによって、この春の学校の学際性ないし哲学性はより高まったように思う。 しかしながらその命題があまりに漠然としたものであったために、多くの参加者の混乱 をきたしたこともまた事実であるように思う。
全地球史の集会らしく講演の内容は多岐にわたっ [?????ここに欠落あり--HTML編者?????] 常に全体の枠組みの中での位置づけが明確であったために、少なくとも概要は理解す ることができた。夏の学校や春の学校などの講演では、横糸的な面が強調されることが 多いが、平行に走る他の縦糸の太さを見ることでまた自らの縦糸を補強する必要性をも 強く感じられた。
巡検は生憎の豪雨。おまけに二番目の露頭に早く着きすぎた私はバスが着くまで車 中で仮眠をとっていたら、いつのまにかバスは到着し、目覚めたときには巡検は終わり、 皆帰途につくところであった。思わず「兎と亀」の寓話を思い出した私は、研究生活に おける警告と謙虚に受けとめることでその場のばつの悪さをしのいだ。
二泊三日の日程は瞬く間に過ぎた。イベントがイベントたり得る所以は、それが日 常性と認識され得るだけの時間的広がりを持たぬからで、故に瞬く間に過ぎたように感 じられるのは蓋し当然なのであろう。その短い時間に非常に大量の知識の供給があった ために、理解できないでいる部分も少なからずある。しかし熱力学の第二法則の如く、 人間もまた供給の幾ばくかはそのまま排出しなくてはならないようになっているのだろ う。私のような熱効率の悪い機関しか持たぬ者は、それを補うためには供給を増やす必 要があるため、今後の集会にも積極的に参加させていただきたいと思う次第であります。
以上、東工大・真砂英樹が拙文ながら書かせていただきました。
東條文治 京都大学大学院理学研究科
5月31日 13:00~ 『月のテクトニクス』 山路敦 14:45~ 『造山運動のテクトニクス』 真砂英樹 16:30~ 参加者全員による簡単な自分の研究紹介コーナー 18:00~ 懇親会
今回の『ちょー若手の会』は京都で開催ということで、京都でしか聞けないような話 をと、月を構造地質の立場から研究しておられる山路敦先生に話をしていただきました。 もちろん、山路先生は若手ではなくベテランの方ですが、この研究会(『ちょー若手の 会』)の主旨を理解してくださって、写真や図をふんだんに使って、わかりやすく、丁 寧に、日本の月調査計画や、月の地質研究の可能性と現状を話してくださいました。地 球のことでも、日本を越えた地域での研究というと遠い存在のように感じてしまう私が、 まして月など。月の事なんて分からないことばかりだと思っていたら、以外や以外、 NASAの月面探査のおかげか、結構月の地質やインパクトなどのイベントについて良く 研究されていて驚きました。月の研究と地球の研究は相互に良い影 響を与えあっていけ る、と感じました。
また、東工大から真砂さんをお招きして、かねてから一度勉強してみたいと、みんな から要望の高かった変成岩岩石学について話していただきました。変成岩の話に良くで てくる、変成相の概念などを変成岩岩石学の発展の歴史に沿ってわかりやすく話してい ただきました。衝突帯や沈み込み帯の造山運動に伴って上昇してくる変成岩の特性を活 かし、変成岩の履歴から造山運動のメカニズムを探るというところにまで話は進み、変 成岩に対する見方が変わったような気がしました。
山路先生は月の表面の地質構造から月のテクトニクスを探る手法について、 真砂さんは変成岩がもたらす地下深くの情報 から造山運動のテクトニクスを探る手法について、というお話で非常に立体的な研究会 になったと思います。
重点領域研究の第2年次終了を目前にひかえて、主要研究テーマであるP/T 境界・ A/P境界問題について、これまでの成果報告と今後の研究方針を確認する目的で、1997 年 1月24日(金)・25日(土)に東京工業大学西3号館にて研究集会を開いた.これまで の集会は研究組織区分に従い、班集会という形態で行われてきたが、今回初めて研究テー マ別集会を企画し、 班同志の境界を横断して活発に議論することを試みた.以下にそ の概要を報告する.
P/T 境界集会の出席者は21名であった.講演者および講演タイトルは 以下の通り.
磯崎は、P-T境界問題に関する最近の知識を整理して紹介した.その中には、
久保は古海水のredoxを定量的に推定する上で、これまで のメスバウアー 法による鉄の価数のみならず、ウランや硫黄、マンガンなどに注目し 、各々のredoxを 相対的に比較する検討方法と犬山・篠山地域での検 討結果を報告した.
篠原は犬山地域 のP-T境界層からC60タイプのフラーレンを世界で初めて発見したことを報告し、共存 するPAHとの関連などに ついて説明した.この発見の地質学意義についてはさらに議論 が必要である.
加藤は犬山・篠山地域のペルム紀-トリアス紀チャートの化学組成につ いて報告した.特にCe負異常をもつREEパターンは層序学的 に変化するものの、P-T境 界層が多量の陸源屑砕物を含み海水のREEパターンが隠されることから、堆積環境を論 じる上で不適当であると述べた.
山中は地質学的証拠から導かれた長期間の海洋成層あ るいは深海酸欠現象のモデル数値実験を試み、通常の海水循環を想定する限りでは、 10万年以上の海水停滞が不可能なこと、また赤道付近に深海に向かう下降流がある場 合には酸欠にならないことを指摘した.
阿部は、古生代・中生代古気候モデリングに関する最近の論文をレビューした上で、 彼女らが現在試みている大気・ 海洋結合モデル による系統的実験の利点と展望を述べた.
深海酸欠事件については、その空間的広がりおよび定量性がより明らかになった ことに加え、新たにフラーレンの発見によって研究の段階がさらに飛躍した感があり、 来る3月の合同学会までにさらに新しい知見が増える予感を抱せる. また、これまで 比較的声の小さかったモデリング・グループがP-T 境界問 題に具体的に参戦したことは誠によろこばしい.今後の成果が期待される. 今回はP-T境界問題にしぼった集会であったが、その中でも議論・興味が 発散しつつあり、次回はさらに絞り込んだ小テーマの集会をもとうという 声が多かった.(磯崎行雄)
翌1月25日(土)には,石川台2号館318号室において,A/P境界をテーマ にして研究集 会が行われた.プログラムは以下の通り.
丸山茂徳は,Windley, Condieなどの教科書は思想がないと批判し,マントルの間欠的 な活動(とりわけ上部・下部マントルオーバーターン)が熱の排出過程を規定している こと,これがイベント的な地質現象をもたらすということを思想として,全地球史解読 を進めつつあることを強調した.
小宮剛は,西オーストラリアで採取された資料と実験岩石学のデータにもとづいて, 38億年以降のいくつかの時代の上部マントルを1500Cかそれよりやや低い温度, 下部マントルの温度を上部マントルのそれより数百度高い温度 と推定した.上部マントルの温度は時間的に低下する傾向がみられず,これは丸山のい う熱排出のパルスをピックアップしている可能性もある.
小河正基は,化学成層をし, マグマ活動が活発なモードと熱対流のモードの相転移がA/P境界付近の地質現象であり, テクトスフェアは20億年以前の地殻下にしか見られないので,相転移の時に化学成層が 壊れた残骸と 考えている.下部マントルをも含めた対流の数値実験結果から,遷移層で の相転移を考えてもやはり上の二つのモードの相転移は起こりそうであることが示され た.
瀬野徹三は,マントルの温度が冷えることに伴う海洋地殻の薄化を考慮すると,永 年的に海水準が下がる可能性があり,7億年前に至ってはじめて大陸面積の露出した可 能性があること,したがってウイルソンサイクルに伴う海水準変動はこのころ環境に影 響を与え始めた可能性を指摘した.
本多了は,マントル冷却が大陸freenboard変化に与え る効果を,いくつかのパラメーターの関数として考察し,freeboard一定ということが起 きるためには,過去に向かって海水の総量が減る,大陸の早期消滅などの特異なことが 必要であることを示した.
隅田育郎は,A/P境界以前 の磁場強度が300μTで現在の強度 (40μT)より大きいという結果がピルバラの岩石から得られていること,核は地球内部の エネルギー輸送から見ると基本的に受け身であり,A/P境界以前の強い磁場は,内核の 差分回転,成長,成長に伴う核内の熱源分布の変化,マントル対流のCMBを通した影響 などにより,現在よりもポロイダル磁場が大きかったためではないかと述べた.
中島健介は,太古代の海洋循環は,太陽光度,大気成分,自転, 海陸分布,地殻熱流量などに よって決まり,特に大陸形成以前には多数のミニチュア海洋および water world の二つの end memberが考えられ,現在の 海洋循環と非常に異なる可能性が高いこと,海洋循環と 環境の相互作用や モデル計算結果の検証可能性などが問題であると述べた.
伊藤繁は, 光合成と呼吸は,有機分子としてはほとんど同じ部品を用いて構成されていること,ら ん藻は,すべてのセットをそろえているが,あるもの(例えば鉄バクテリア)は一部し かもっていないこと,酸素発生型光合成がらん藻によって始まったのは,環境のせいで あり,しかしそれ以前から酸素は,呼 吸に利用されていて,またH2Sなどを利用した光 合成が行われており,メカニズムそのものは単純で基本的に変わっていないこと,エネ ルギー利用 の度合いの大きさに応じて進化したのではないだろうか,と述べた.
加藤泰浩は,スペリオル型BIFの起源は,1.海嶺熱水型,2.無機的沈殿による海水起源の二 つが考えられているが,海洋堆積物は元素毎に起源が違うことや,海水は河川水と海嶺 熱水の混合を時間的に積分したものであるので,慎重な分析が必要であること,そのよ うな分析および電顕による観察の結果,A/P境界で激しい火成活動が起き,海水が海嶺 熱水で満た されて大量の2価鉄が供給され,それに引き続いてある種の生物の大量発生 が促さられ,鉄を固定堆積させた生物起源の堆積岩と考えられると述べた.
重点のA/P境界研究の大きな柱は,当時のマントルの温度や表層テクトニクスの復元, 古地磁気から核の状態あるいは核とマントルの相互作用を知ること,マントル対流のシ ミュレーションを用いたマントル進化とイベントとの対応づけ,であると思われる.こ れらは,着実かつ順調に成果を挙げている.これらをとりまく生物・有機,環境側につ いては研究が進展しつつあることは,今回の研究集会の講演数が限られたことから,見 て取る のはむずかしかった.有機・生物に関しては,2月15ー16日東工大のとる班 研究集会で少しカバーされるはずである.環境については,中島氏の参加を得,もでる 班の環境グループも過去の気候復元に意欲を見せていたので,相当進歩したという実感 を持った.P/T 境界の場合と同じく,テーマを絞りこんだ小集会をひんぱんに持つ必要 があろう. (瀬野徹三)
日時 平成9年2月15日・16日 場所 東京工業大学(15日:百年記念館、16日:本館H111)
9:00(1)丸山茂徳:オーバービュー;本年度の成果の要約
(1)西オーストラリアの部 9:30(2)磯崎行雄:ピルバラ研究の進捗状況 9:40(3)寺林 優:ノースポールの変成作用:その1、オーバービュー 9:50(4)椛島太郎:ノースポールの付加体の構造と海洋プレート層序 10:00(5)金子慶之:カプリコーンの地質 (2)アフリカの部 10:10(6)丸山茂徳:アフリカ調査の概要 10:20(7)小沢大成:26億年前の巨大岩脈グレイトダイク 10:30(8)清水健二:ジンバブエコマチアイトの地質と岩石、コマチアイトの岩石学 10:40(9)西川健史:南アフリカバーバイトンのコマチアイトの地質と岩石
(1)初期地球の地球化学(10:40-12:00) 10:50(10)海老原充:先カンブリア時代堆積岩中の白金族元素の挙動 11:00(11)内野智功:グリーンランドイスア地域のチャートの地球化学 11:10(12)箕輪はるか:グリーンランドイスア付加体の地球化学 11:20(13)加藤泰浩:ピルバラ地塊の縞状鉄鉱鉱床 11:30(14)久保健一:ピルバラ・太古代チャートのredox 11:40(15)下山 晃:先カンブリア時代堆積岩の有機地球化学 11:50(16)上野雄一郎:3.5億年前のノースポールの生命化石 昼食(12:00-13:00) (2)P/T境界研究(13:00-13:50) 13:00(17)磯崎行雄:P/T境界研究の動向 13:10(18)加藤泰浩:P/T境界チャート化学組成 13:20(19)和田秀樹:P/T境界チャートの炭素同位体比 13:30(20)堀井雅恵、酒井英男、舟木實、高野雅夫:岩石磁気の手法による地質境界の検討 13:40(21)久保健一:P/T境界チャートのredox (3)太古代の変成作用(13:00-14:50) 13:50(22)増田優記:ノースポールの変成作用:鉱物組み合わせの広域変化 14:00(23)北島宏輝:3.5億年前の中央海嶺熱水変成作用と炭酸ガス分圧 14:10(24)大田努:カプリコーンの変成作用:その1 14:20(25)真砂英樹:カプリコーンの変成作用:その2 14:30(26)田端寛和:中国超高圧変成帯の温度圧力構造とマントル-スラブ相互作用 14:40(27)山内一弘:中国の超高圧変成岩のジルコン包有物;コーズ石とヒスイの発見 休憩 (14:50-15:10) (4)マントルの組成と温度を火山岩の組成から読み取る試み(15:30-16:30) 15:10(28)小木曽哲:マントル熔融実験からの制約 15:20(29)坂下圭子:残存単斜輝石の組成と母マグマ 15:30(30)小宮 剛:太古代/原生代境界とマントル 15:40(31)大田 宏:3.5億年前のキャメルクリークコマチアイトの岩石学 15:50(32)南間利之:2.7億年前のMt. Roe玄武岩の地質と岩石学 16:00(33)椚座圭太郎:飛騨外縁帯青海地域における4.5億年角閃岩と3億年泥質岩の混合 による緑色片岩の形成 16:10(34)阿部なつ江・荒井章二・圦本尚義:島弧マントルかんらん岩の岩石学: ウエッジマントルの岩石学的進化に関して 16:20(35)竹口了介・高橋栄一:オアフ島koolau火山岩の岩石学
(5)マントルとスラブの相互作用 9:00(36)岩瀬康行:造山帯を作る、日本列島、カリフォルニア、環太平洋造山帯、 そして 地球の大陸全部 9:10(37)平田大二:太古代TTGの実験岩石学 9:20(38)小野秀史:島弧マグマの含水量 9:30(39)岡本和明:ローソン石エクロジャイトの安定域 (6)現在進行形の造山運動: インドネシア 9:40(40)丸山茂徳:チモールタニンバー地域のテクトニクスの重要性 9:50(41)金子慶之:チモールタニンバー地域の地質 10:00(42)アデ・カダルシュマン:レイテ島の変成分帯、変成相系列と造岩鉱物学 10:10(43)辻森 樹:チモール東部とキサ島の広域変成作用 10:20(44)太田 努:チモールタニンバー造山帯の年代学 10:30(45)石川 晃:チモールタニンバー地域の前弧オフィオライトの岩石学 (7)ヒマラヤ造山運動 10:40(46)金子慶之:ヒマラヤ造山運動 10:50(47)隅田育郎:ピルバラ火山岩の古地磁気研究から分かること 11:00(48)畠山唯達:Paleomagnetic and Rockmagnetic Study for Archean Banded Iron Formations 11:10(49)増田俊明: 11:20~12:00 総合討論「とる班」の部
13:20(50)大江昌嗣:地球・月系の時計と太古の縞々および海陸分布 13:40(51)平田岳史:東工大ICPMSの最近の成果~失敗と成功の繰返し 14:00(52)薮下 信:クレーター形成年代と生物絶滅の間の相関の統計的考察 14:20(53)高野雅夫:縞縞解読手法の開発:この一年の成果 14:40(54)池谷元伺:ESR顕微鏡からみる縞模様 15:00~16:00 総合討論「とけい班」の部および今年の全地球解読について
増田耕一 (都立大学) [1996年11月]
数か月前に、全地球史解読のデータベース活動に関するよびかけをしましたが、 その 後、メールをいただいたり、数人のかたと個別にお話ししたこともふまえて練りなおし ました。 1996年10月13日に東工大での研究会のときに話した内容と基本的に同じです。
ここでは、3つの、相互に関係はあるが、別々の活動を提案します。
また、(今後総括班で相談するべきことではありますが、わたしの意見としては) ここ で述べるデータベース活動は、科学研究費プロジェクト「全地球史解読」が 終わると同 時に、CD-ROMなどの形で固定した成果物を出して終了し、 以後は、新たな組織で(アド レスなども変えて)発展的に続けたいと考えています。
これは、「全地球史解読」という研究活動の広報です。 実はデータベースではないの で、網羅的にする必要はなく、 特徴のあるものをいろいろ展示するのがよいと思います。 (たとえば縞状鉄鉱の、あるサンプルの画像を示し、同じ程度に重要な他のサンプルの画 像を用意しないのでは、データベースとしては不満ですが、 広報としては当然のことで す。)
おもな読者としては、日本語圏内の関連分野の研究者や学生などを想定します。 ただ し、部分的に、世界向けに英語で書いた記事や、一般社会向けの解説もあったほうがよ いと思います。
現在、暫定版を都立大学のわたし(増田)の個人ディレクトリの下 http://www.comp.metro-u.ac.jp/~masudako/DEEP/ に置いています。 近日中(と言いながら半年たってしまいましたが)に、研究グループとして 個人名でな いアドレスを申請する予定です。 決まったらあらためてお知らせします。
現在(暫定版)の内容は、
今後、
素材の提供をどしどししていただきたいです。 ご連絡はなるべく電子メールで、 deep-www@geog.metro-u.ac.jp あてにお願いします。
前にデータベースに関して呼びかけをした際、「文献データベース」として提案した ものですが、少し変えた形で再提案します。
「全地球史解読」にかかわる知識の共同利用のための手段として、「文献、サイト、 サンプル、用語などに関するカード群が、 相互に参照できるようにリンクした構造をもっ たもの」を、 とりあえず WWW のしくみを使って実現したいと考えています。
データが大量になると、検索の効率も考えて、データベース管理システム (dbms)と呼 ばれる種類のソフトウェアを導入する必要があるでしょう。 しかし当面、データ量は少 なく、一方データベースの構造をたびたび変えることになりそうなので、dbmsの導入は あとまわしにします。
置き場は、(1)に述べた全地球史解読のWWWページの下位のページです。
構成するカードとして、次のようなものを考えています。
カードは、次のような相互の(原則として両方向)リンクをもちます。 (これはWWWで はhrefリンクとして表現され、netscapeやMosaicなどで読む人は マウスのクリックで選択 してたどることができます。)
古地理図データベース(3)とリンクさせるのは技術的にむずかしいので、 当面は、時代 インデクスと地域インデクスをテキストのページの形で用意することで代用したいと思 います。
文献については、カードボックスでは個別の文献ごとに別々のカードにしてしまうつ もりですが、あるテーマに関する文献リストの形で提供していただいた 情報は、リスト のままの形でも公開しておきたいと思います。 (暫定版WWWページに、川上さん提供の 「原生代・古生代境界」関係の文献リスト があります。)
カードにどんな項目を書いたほうがよいかについての検討がまだできていませんが、 ともかく、少量の例から始め、WWW上で公開していくことによって内容を練っていき たいと思います。 特に「とる」班、「よむ」班のかたからのサイトカード、サンプルカードや、 すべて の班のかたからの重要(かどうかは主観的判断でけっこうです)文献の 情報の提供をお待 ちしています。 電子メールの場合のあて先は、 deep-ref@geog.metro-u.ac.jp です。
地球史のなかのいろいろな時代の海陸配置、造山帯、古気候などの分布を推定した図 がこれまでに何通りも出版されていますし、このプロジェクトの中でも作られると思い ます。
しかし、紙の地図の形では、投影法や縮尺の違いもあって、相互の比較が困難なので、 緯度・経度座標のディジタル地理データの形で持ちたいと考えます。 また、各サイトの 情報を、現在の緯度・経度から換算して、推定された古緯度・経度の位置にプロットで きるようにしたいのです。これは、推定が合理的かどうかを検証するためにもやるべき ことです。
技術的にむずかしいことをさけるため、これは当面、WWWなどのオンライン技術と は切り離し、都立大学のUnixマシン上で構築することを考えています。 (データをまるご と持って行く形での移植は可能にするつもりです)。
まず、次のような点の基本的資料の収集につとめたいと思います。
すでに参照しましたように、次の電子メールアドレスを作りました。
deep-www@geog.metro-u.ac.jp 全地球史解読WWWページ作業グループ deep-ref@geog.metro-u.ac.jp 参考資料カードボックス作業グループ deep-map@geog.metro-u.ac.jp 古地理図データベース作業グループ
それぞれ、上に述べた1, 2, 3の作業に参加する人の集合(メーリングリスト)にする予定 ですが、初めの時点ではわたしだけが含まれています。 作業グループに参加したいかた は、ご連絡ください。 これまでに、関連する議論に参加してくださったかたには、こち らから個別に参加をお願いする予定です。 (ただし今月7日以後になります。) deep-www に関しては、特に、「画像や図をGIFまたはJPEG形式にすること」を 分担し てくださるかたを必要としています。
これらのメールアドレスは、データベースに含める情報を提供していただく際の あて 先という意図で作りました。作業に複数の人が参加している場合、同時に 届けば手のあ いている人が作業を進めることができますし、もし単独であっても、 個人あてのメール と受け口を区別しておいたほうが散逸が防げるからです。 したがって、メーリングリス トのメンバーになるのは、実際にデータを加工する 作業に加わるかただけでけっこうで す。ここあてにメールを送るためにメンバーに なる必要はありませんし、自動登録もし ていません。
これとは別に、データベースに関する議論をするための(作業グループより 範囲の広い) メーリングリストがあったほうがよいというお考えがあればご連絡ください。作るのは むずかしいことではありません。
わたしの電子メール読み書きは、毎日ではなく、「週1回以上」にすぎません。 また、たまたまこの11月5, 6日には、都立大学の計算機ネットワークが 保守作業のため止まることになっています。 呼びかけておきながら、お問い合わせに関する応答が遅くなるかもしれませんが、 ごかんべんください。
増田 耕一 (東京都立大学 理学部 地理学科、 「全地球史解読」総括班員・情報処理担当) e-mail (internet): masuda-kooiti@c.metro-u.ac.jp
しばらく間が空いてしまいましたがニュース7号をお送りします.今年は夏の学校を やめ,春に行いました.準備不足のところもありましたが,それでも60名が集まり,夜に は恒例となった河野剛士氏による独演会もあって盛況でした.最終日には千葉大伊藤慎 氏案内による巡検がありましたが,雨でくつをぬかるみに取られながら,皆熱心に潮汐 堆積物をみて思いをめぐらせました.春には名古屋大で地惑関連学会合同大会があり, 「全地球史解読」は共通セッション・ポスターと活躍,熊沢峰夫代表の特別講演が多く の人に感銘を与えました.また「ちょー若手の会」が自発的に発足し,若手が積極的に 動き始めたことは特筆すべきでしょう.6月にはカナダの地質学会があり名古屋・岐阜か ら数名参加,夏にかけてオーストラリア,アフリカの調査が始まります.10月はじめこ ろには秋の学校も予定されています(瀬野徹三).
このページは、瀬野徹三さんから次のメイリングリスト記事として 提供されたものに基づいています。
Date: Thu, 10 Jul 97 16:04:08 JST From: seno@seno-sun.eri.u-tokyo.ac.jp (Tetsuzo Seno) Message-Id: <9707100704.AA01250@seno-sun.eri.u-tokyo.ac.jp> To: multier-news@seno-sun.eri.u-tokyo.ac.jp Subject: zenchikyu newsletter no.7 HTML版作成: 1997-07-18 増田 耕一 (東京都立大学 理学部 地理学科、 「全地球史解読」総括班員・情報処理担当) masuda-kooiti@c.metro-u.ac.jp[目次へ]