中国国防省は、中距離弾道ミサイル「DF-26(東風26)」をロケット軍に実戦配備したと発表しました。メモ代わりの更新。
国防部:东风-26型导弹列装火箭军部队(2018/4/26 中国国防部)
东风-26型导弹是我们国家新一代中远程弹道导弹,具备以下四个特点:一是具备完全自主知识产权,是中国自行研制的武器。二是战斗部核常兼备,既可遂行快速核反击任务,也可遂行常规中远程精确打击任务。三是打击目标陆海兼备,具备对陆上重要目标和海上大中型舰船精确打击能力。四是融合了多项新技术,通用化、集成化、信息化水平高。

DF-26とは?

DF-26の存在そのものは、2014年に知られていました(過去記事)。その時点で中距離弾道ミサイル(IRBM)であることも伝えられていました。

実際に披露されたのは、2015年9月の抗日戦勝利70周年記念軍事パレードでした。輸送式起立発射機(TEL)に搭載されて登場しました。当日の公式アナウンスにて射程3,000~4,000kmと発表、核弾頭による対艦攻撃能力があり、空母のみならず駆逐艦サイズの標的にも用いられると言及されています。

2016年5月では、早くも『米中経済安全保障調査委員会の報告書』においてDF-26の脅威が強調されています(過去記事)。特徴は「モジュール設計」で、核弾頭と各種通常弾頭を標的に合わせて交換可能であること。これまで中国ロケット軍の部隊は、核と通常任務いずれかに担当を分けていて、両方を司る部隊はありませんでした。しかし、モジュール弾頭採用により、ひとつの部隊で核/非核両弾頭を扱うようになるかもしれませんし、核⇔非核の切り替えが、これまでより迅速に行えるようになるかもしれないと指摘されています。

一方、同報告書ではDF-26の疑問点にも字数が割かれています。たとえば、発射機数が少ないことが挙げられています。パレードで16両確認されていますが、総数は分かりません(2018/4/24時点で22両まで確認)。また、半数必中界(CEP)は150~450メートルほどとみられ、中国の現時点でのC4ISR能力ではグアムを精密攻撃することができない、とも評価されています。


「対艦弾道ミサイル(ASBM)」としても運用可能とされる

準中距離弾道ミサイル(MRBM)の「DF-21D」と同じく、DF-26は対艦弾道ミサイル(ASBM)としての能力を持つとされます。ただし、上記のC4ISR能力不足を考慮すると、DF-26が持っているというASBMモジュールも、きわめて限定的なものとならざるを得ない、というのがアンドリュー・エリクソンら専門家の意見です。DF-26は、DF-21Dが直面している同じ技術的課題に挑戦することになる、というものですね。ASBMの先輩格であるDF-21Dは、いまだに洋上移動目標に対する試験を行っていません。インターネット上では、遠望型4号を協力的な標的艦として破壊試験が行われたとの噂もありますが、エリクソン氏はエビデンスとして十分ではないと取り上げていません。DF-26も洋上の移動目標に対する攻撃実験をしたとの発表はありません。

DF-26の飛翔試験はすでにいくつか報告例があり、最近では2017年5月に新疆または甘粛省から東に向けてDF-26Bが発射され、渤海に着弾する実験が行われています(2017/5/10 サウスチャイナ・モーニング・ポスト)。当該実験のものと見られるロケット・ブースターが内蒙古・獅子王旗に落下し、携帯の動画や写真がインターネット上に公開されています(参照)。


グアムキラー&空母キラー

DF-26の配備によって、中国は第1列島線どころか第2列島線内全域の接近阻止・領域拒否能力を高めることになります。
DF-26射程
(湖南省・懐化を中心に3,000~4,000kmの範囲。正距方位図法で。)

DF-26には2つの異名があります。1つは「关岛杀手(グアムキラー)」。中国のとある専門家いわく、「米中両国の戦略的均衡を保つためには、中国がグアムを攻撃する手段を持つ必要がある」とのこと(過去記事)。実際、第1列島線で中国を封じ込めることはもはやできない、と米国は考えています。そのため、第2列島線の強化に着手しており、その礎となるのがグアムなのです。グアムを戦略的中心地にすることで、米軍は中国のミサイルや空・海軍の抑止力から離れることができ、米軍の長距離攻撃能力を活かして台湾海峡、朝鮮半島、南シナ海問題に対処しようとしています。対する中国はこうした米国の意図をくじくために、DF-26に核弾頭を搭載してグアムの戦略目標を攻撃しうる意図を示し、能力を誇示しようとしています。

もう1つの異名が「航母杀手(空母キラー)」です。洋上を移動する空母をピンポイントで攻撃することは通常弾頭では依然として技術的に難しいとブログ主個人は考えております(過去記事)。先述のエリクソン氏も非核弾頭ではまだ実現性の疑わしい兵器であると言及しているようです。解放軍側でもパレードで「核弾頭による対艦攻撃能力」としている通り、非核弾頭の弾道ミサイルを対艦攻撃に用いることが現実的ではないという認識を持っていると思われます。

中国は弾道ミサイルに極超音速滑空体(HGV)を搭載し、ミサイル防衛網を突破しようという試みを進めています(過去記事)。弾道ミサイルを射程の短いHGVの運搬プラットフォームとする思考です。弾道ミサイルは終末機動で着弾点を微調整できる代物ではないので、DF-26が空母キラーとして運用される場合には、核兵器以外なら将来的にはHGVが搭載されるのかもしれません(ブログ主個人の想像ですし、“誤認リスク”などを含む問題の多いオプションでもあります)。


【参考過去記事】