ワシントン=大島隆
新型コロナウイルスの感染拡大をめぐる米中の対立が、ネット空間にも飛び火している。米国務省は8日、中国が外務省や在外公館当局者のツイッターアカウントのフォロワー数を意図的に急増させ、自らの主張を広げている疑いがあるとして、ツイッター社に情報提供したことを明らかにした。
米国務省グローバル・エンゲージメント・センターのガブリエル特別代表が、8日の電話会見で明らかにした。国務省の調査によると、中国外務省や在外公館の当局者が持つ36のツイッターアカウントを分析したところ、2月まではフォロワー数の増加が1日平均30人程度だったのが、3月以降は1日平均720人と20倍以上になっているという。また、多くのアカウントは最近になってつくられたものだった。
ガブリエル特別代表は「中国はロシアのような偽情報を広げる手法を使って、ウイルスの発生源は中国ではないと人々に信じさせようとしている。外交当局者らのこうした声を広げるための、人為的なネットワークがつくられている」と主張。「その特徴や内容などから、中国共産党が関与している可能性が高いと評価している」と話した。
また、「中国は自らを、パンデミックの発生源ではなく、パンデミックに対処する世界のリーダーに見せようとしている」とも批判。こうした情報をツイッター社に提供したという。
ツイッター社は8日、国務省から5千以上のアカウントの情報を前日に受け取り、調査を始めたことを明らかにした。同社の広報担当者は「共有する脅威に対処するため、政府機関と協力する機会を得たことを歓迎する。国家が支援する情報キャンペーンが確認されれば、公表する」との談話を出した。
一方で同社は、初期段階の調査では、フォロワーに諸外国の政府機関やNGO、ジャーナリストのアカウントも含まれており、多くが中国政府の立場を支持しているわけではないと説明した。(ワシントン=大島隆)
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