|  災害時等において、現存する限られた医療資源(医療スタッフ、医薬品等)を最大限に活用して、救助可能な傷病者を確実に救い、可能な限り多数の傷病者の治療を行うためには、傷病者の傷病の緊急性や重症度に応じて、治療の優先順位を決定し、この優先順位に従って患者搬送、病院選定、治療の実施を行うことが大切である。多数の傷病者が一度に発生する特殊な状況下において、現存する限られた医療資源の中で、まず助かる可能性のある傷病者を救命し、社会復帰へと結びつけることに、 
 トリアージの意義がある。トリアージとは、負傷者を重症度、緊急度などによって分類し、治療や搬送の優先順位を決めることであり、救助、応急処置、搬送、病院での治療の際に行う。
 ※トリアージ(Triage)は、治療(Treatment)、搬送(Transport)とともに、災害時医療で最も重要な3つの要素(3T)の一つである。具体的な例として、
 
 
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 | ● | トリアージの基本概念は、必ずしも災害時に限らず、日常のなかにも存在する。 |   
 | ● | 例えば、一般外来において多くの患者が待っていた場合、その時の状態によっては、長時間の外来診療に待てる状態でない患者が存在したとき、重症患者を優先して治療ができるように他の外来担当医師にも応援を依頼するなどの判断がトリアージとなる。 |   
 | ● | このような場合、 日常の医療では、時間、資材、マンパワーなどの制約がないため、一人の重症  患者にいろいろな意味で全力投球することが可能である。
 しかし、災害時においては、多数の負傷者に対して、資材、マンパワーの不足の中で、負傷者全体に対する最も効果的な治療方針を決定しなければならない。
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 | ● | トリアージにあたって銘記すべき重要なこととしては、 トリアージとは、その状況下におけるもので、絶対のものではないということであり、状況が変われば、トリアージカテゴリーも変わるということである。
 患者の状態も変化するし、医療資源や搬送条件も変化するため、トリアージは繰り返し行わなければならない。
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