暮らしに役立つ情報
国の政策・施策・取組の中から、私たちの暮らしに身近な情報や役に立つ情報をまとめました。
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裁判や裁判所は、自分の生活とはあまり関係がないと思っていませんか。裁判所は、公平な裁判を通じて、憲法で保障されている私たちの権利や自由を守る、大切な役割を担っています。また、裁判所の中でも最高裁判所は、国会でつくられる法律が憲法に違反していないかどうかを最終的に判断する役割を担っており、「憲法の番人」とも言われます。5月3日は憲法記念日、5月1日~7日は憲法週間です。この機会に、裁判所の仕事と役割について紹介します。
私たちは、毎日、様々な社会生活のルールに従って暮らしています。そのようなルールの中には、法律や契約などがあります。しかし、ルールはあってもそれが守られなければ、争いごとが生じます。このような社会の中で起こる争いごとを、憲法や法律などに照らし合わせ、公平な裁判を行い、解決に導く国の機関が「裁判所」です。
公平な裁判を行うための最も基本的なルールは、昭和22年5月3日に施行された「日本国憲法」です。日本国憲法は、国の統治のしくみを定め、国民の権利を保障することを目的とした国の最高法規です。日本国憲法によって、男女平等や教育を受ける権利、表現や学問の自由、政治に参加する権利といった私たちの「基本的人権」は保障されており、様々な法律もすべて憲法に基づいてつくられます。
また、公平な裁判を行うため、司法権を担う裁判所は、立法権を担う国会や行政権を担う内閣から独立し、日本国憲法が保障する私たちの権利と自由を守る役割を担っています。
裁判所で行われる裁判には、主に「民事裁判」と「刑事裁判」があります。
(イラストは最高裁判所パンフレット「裁判所ナビ」より)
民事裁判・民事調停
貸したお金を返してくれないなど、日常生活で起こる法律上の争いを判断して解決する裁判です。「民事裁判」では、法廷で、裁判官が双方の言い分を確かめ、証拠を調べた上で、法律に照らして、判決を言い渡すほか,双方が合意して和解することもあります。また、裁判官と調停委員(※)のあっせんで、話し合いによって円満解決を図る「民事調停」という非公開の手続もあります。
刑事裁判
窃盗や詐欺、殺人、傷害など罪を犯した疑いで起訴された人が有罪か無罪か、有罪であればどのような刑罰を科すかを決める裁判です。刑事裁判では、起訴する側の検察官と、起訴された人(被告人)やその弁護人の言い分をよく確かめ、それぞれの側から出された証拠を調べ、被告人が本当に犯人であるかどうかを判断し、無罪あるいは有罪の判決をし、有罪の場合は刑を言い渡します。
また、「民事裁判」と「刑事裁判」以外に、「家事審判・家事調停・人事訴訟」、「少年審判」があります。
家事審判・家事調停・人事訴訟
「家事審判」は、後見人の選任や未成年者の養子縁組の許可などの問題について、裁判官が事情を調べて、適切に判断をする手続です。
離婚や養育費、遺産分割などの夫婦間や親族間の問題などでは、主として「家事調停」が行われ、裁判官と調停委員(※)が当事者や関係者の言い分をよく聴き、事情を調べた上で、納得のいく公平で妥当な解決をあっせんします。
「家事調停」で解決できなかった場合、養育費や遺産分割などについては家事審判に移って裁判官が判断をしますが、離婚などについてはそれを求める人が民事裁判の一つである「人事訴訟」を起こすことになります。
家庭に関する争いは、プライバシーに配慮することが重要であることから、家事審判、家事調停は非公開で行われます。
少年審判
非行少年、つまり罪を犯した少年や、罪を犯すおそれのある少年などについて、過ちを自覚させ、更生させることを目的とした手続です。調査や審判は、保護者にも出席を求めて、原則非公開の手続で、和やかな中にも、非行について反省を促すような相応の厳しさのある雰囲気のもとに行われます。
※調停委員は、調停に一般市民の良識を反映させるため、社会生活上の豊富な知識経験や専門的な知識を持つ人の中から選ばれます。
公平で慎重な裁判を行い、裁判の誤りを防ぎ、人権を守るために、「三審制」という仕組みが導入されており、裁判所の判決などに納得がいかない場合には、原則として、2回まで、上級の裁判所に不服を申し立てることができます。
裁判所には、最高裁判所、高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所、簡易裁判所があり、最初の裁判(第一審)は事件の内容によって、原則として、地方裁判所、家庭裁判所、簡易裁判所のいずれかで行われます。地方裁判所では民事裁判や刑事裁判などを、家庭裁判所では家事審判・家事調停や少年審判、人事訴訟などを取り扱います。また、簡易裁判所では、争いとなっている金額が比較的少額の民事裁判と比較的軽い罪の刑事裁判のほか、民事調停なども取り扱います。
高等裁判所は、原則として、地方裁判所、家庭裁判所、簡易裁判所の裁判に対してされた不服申立て(控訴など)を取り扱う裁判所です。
最高裁判所は、高等裁判所などの裁判に対してされた不服申立て(上告など)を取り扱う最上級、最終の裁判所です。最高裁判所は最高裁判所長官と14人の最高裁判所判事で構成されており、最高裁判所の審理は、全員で構成する大法廷と、5人ずつで構成する三つの小法廷で行われます。事件はまず、小法廷で審理され、法律や命令、規則または処分が憲法に適合するかしないかを判断するようなときは、大法廷で審理および裁判が行われます。最高裁判所の判断は最終のものとなり、さらに争うことはできません。
平成21年5月21日に、国民が刑事裁判に参加する「裁判員制度」がスタートしてからは、これまで以上に、裁判所や裁判が身近なものになりました。
裁判員制度は、国民が「裁判員」として、地方裁判所で行われる国民の関心の高い一定の重大な犯罪に関する刑事裁判に参加し、被告人や弁護人、検察官の言い分を聞いたり、証人の話を聞いたり、証拠を確認したりして、被告人が有罪か無罪か、有罪の場合はどのような刑にするかを、裁判官と一緒に決める制度です。
裁判員制度では、毎年、20歳以上の有権者の中から「裁判員候補者」がくじで選ばれ、事件ごとに裁判所での選任手続を経て、原則として6人の裁判員が選ばれ、裁判に参加します。制度がスタートした平成21年5月21日から平成26年12月31日までに、裁判員として刑事裁判(裁判員裁判)に参加した人の数は41,834人となっており、7,262人の被告人に判決が言い渡されています(最高裁判所「裁判員制度の実施状況について」)。
国民が裁判に参加することによって、裁判がより身近に、分かりやすくなり、司法への信頼が高まっていくことが期待されています。
- 裁判員制度について詳しく知りたい方はこちら
裁判所「裁判員制度ウェブサイト」
裁判を傍聴することは、私たちが司法の役割を知ったり、身近に感じたりする機会になります。また、傍聴を通じた国民の適正なチェックによって、公平・中立な司法の維持にもつながります。
公開の法廷で行われる裁判は、原則として、だれでも傍聴することができます。法廷が開かれていれば、事前の申し込みなどの特別な手続をしなくても、中に入り、自由に傍聴することができます。どのような裁判が行われているのかは、法廷の入口に掲示されている裁判の予定表(開廷表)で確認してください。
なお、傍聴希望者が多い事件では、傍聴券が必要な場合があります。傍聴券が必要な裁判については、裁判所ウェブサイトの「傍聴券交付情報」で確認できます。詳しくは、傍聴する裁判を行う裁判所にお問い合わせください。
また、傍聴するときには、裁判の妨げにならないよう、次のようなマナーを守ってください。
法廷内では静かに
法廷の中では、審理の妨げとならないよう、大きな声で話したり大きな音を立てたりしないでください。
持ち物
法廷内では、携帯電話など音の出る機器の電源を切ってください。
危険物や撮影・録音ができる機器などは、許可なく法廷内に持ち込むことはできません。
法廷内では、写真撮影や録音は許可がないかぎりできません。
詳しくは、下記のウェブサイトをご覧ください。
5月3日は憲法記念日、5月1日~7日は憲法週間 各地の裁判所の様々なイベントに参加しよう
昭和22年5月3日に「日本国憲法」が施行されたことを記念し、5月3日は「憲法記念日」に定められています。また、憲法記念日を含む5月1日から7日までの1週間は「憲法週間」です。
各地の裁判所では、憲法記念日・憲法週間の時期に合わせ、裁判所をより身近に感じ、裁判所や裁判についての理解を深めていただくための様々なイベント(模擬裁判員裁判体験、模擬調停見学会、少年審判説明会など)を積極的に行っています。開催の有無およびイベント内容については、参加ご希望の裁判所にお問い合わせください。
また、裁判所では、ふだんから、国民の皆さんにとって裁判がより利用しやすく分かりやすいものとなるよう、裁判所ウェブサイトや裁判員制度ウェブサイトなどを開設し、裁判例情報や司法統計、見学・傍聴案内、裁判員制度の紹介や実施状況、裁判員を経験した方の声など、様々な情報を提供しています。この機会に、ぜひ、アクセスしてみてください。
【憲法記念日・憲法週間イベントに関するお問い合わせ】
- 最高裁判所 電話03-3264-8111
- 各地の裁判所
<取材協力:最高裁判所 文責:政府広報オンライン>
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