自家製ルーで作るワンランク上のカレーうどん

今回のテーマは、「カレーうどん」です。さらりとした口どけのよいとろみに、お店で食べるような風味とコクがプラスされたワンランク上の味を作ってみましょう。

「茹でうどん」は手早く料理したいときの強い味方。今日はリッチなカレーうどんをつくります。ベースとなるのは小麦粉とバターを炒めたルー。そこにカレー粉とそばだし(5:1:1)と牛乳を加えて「カレーうどんのつゆ」をつくります。面倒であれば薄めためんつゆに市販のカレールーを加える方法もありますが、一から手作りすると格段にすっきりとした味に仕上がります。

カレーうどん

材料(2人前)

茹でうどん…2玉
水…450cc
鰹節…8g
昆布…4g(1片)
醤油…50cc
みりん…50cc
バター…12g(大さじ1)
小麦粉…9g(大さじ1)
カレー粉…小さじ1~
牛乳…100cc

豚バラ肉…60g
新玉ねぎ…1/2個
サラダ油…小さじ1
青ネギや茹でグリーンピースなど…好みで


1.豚バラ肉は2cm幅に切り、新玉ねぎは根元をとりのぞき、くし形に切る。そばだしをつくる。水、鰹節、昆布、醤油、みりんを鍋に入れ、中火にかける。沸いてきたら弱火に落とし、5分間煮る。火を止めて、ザルなどで濾す。

2.鍋にバターと小麦粉を入れ、中火にかける。かき混ぜながら小麦粉に火を通す。トロトロになって手応えが軽くなったらカレー粉を加えて、さらに軽く炒める。火を止め、1のそばだしを一気に加え、泡立て器などでかき混ぜてルーを溶かす。強火にかけてかき混ぜながら沸騰させとろみをつける。牛乳を加え、火を弱火に落とす。

3.フライパンにサラダ油小さじ1と豚バラ肉と玉ねぎを広げ入れ、強火にかける。片面に焼き色がついたらざっくりと混ぜ、2の鍋に移し、茹でうどんも加えて温める。温まればほぐれやすくなるので無理にほぐさないこと。

4.茹でうどんが熱くなったら、仕上げに青ネギの小口切りや茹でグリーンピースを散らし、器に盛り付ける。


カレーうどんのとろみ

カレーうどんは日本生まれのオリジナルカレー料理、偉大な発明と言えるでしょう。とろみがついたスパイシーなかけだしが病みつきになるおいしさです。

つゆにとろみをつける方法には「小麦粉(ルー)」と「片栗粉」の2種類があります。作る人によって違いますが、一般的にカレーうどん専門店は小麦粉、うどん屋さんは片栗粉を使う場合が多いようです。どちらにも一長一短がありますが、今回は小麦粉を使う方法を選択しました。

小麦粉をバターで加熱するとデンプンの鎖が切れて短くなるので片栗粉を使うよりも「さらりとした口溶けのよいとろみ」が出ます。また、デンプン分子がデキストリンという物質に変わり、さらにデキストリンが糖に分解され、この糖が小麦粉とバターのタンパク質とメイラード反応を起こすので、風味がよくなります。ここにルーを使うメリットがあるのです。とろみの強さは小麦粉とバターの量を加減することで調整することができます。

カレー粉の量は好みで加減してください。今回はプロのあいだで「赤缶」と呼ばれているS&Bのカレーパウダーを使いました。カレー粉は様々な料理に使えるので買っておいて損はありません。保存はしっかりと封をして、さらにジッパー付きのビニール袋などに入れてから、冷蔵庫(または冷凍庫)で。冷凍庫に入れておけば風味はかなり長持ちします。

牛乳を加えるのはカレーうどんの専門店でよく行われている手法。5:1:1のそばだしはざるそば用の少し濃い目の味付けなので、牛乳で薄めてマイルドにするとともにコクを出します。さらに生クリームを50ccほど加えるとお店の味になりますが、家では牛乳だけで充分かもしれません。

茹でうどんは製品によって味や食感に差があるので、好みのものを選んでください……とよくこんな風に「好みのものを選ぶ」と書かれても「なにを選べばいいかわからん」と思われる方も多いのではないでしょうか。
製品を選ぶコツは「意識して特定のジャンルの製品をいくつも食べる」ことです。比較することで単体ではわかりづらい差異がわかり、そこではじめて「自分の好み」という曖昧なものの方向性が見えてくるのです。つまり好みを見つけるには〈意識をして〉経験を積み重ねるしかありません。

好みといえばうどんには「コシを求める派」と「やわらかさが必要派」の二通りの嗜好が存在します。茹でうどんは基本的に後者の需要に応える製品ですが、コシをアップさせる裏技も存在します。袋を開けて耐熱皿に移したらふんわりとラップをかけ、電子レンジで1分~1分30秒ほど加熱するのです。
レンジにかけてからの手順は同様で、たっぷりの湯で温め、つゆをかけて食べます。これは工学院大学の山田昌治先生が考案した方法で、茹でうどんから水分をとりのぞきコシを出し、それを茹でることで弾力を強める効果があります。コシを求める派の方は試してみるのもいいでしょう。


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この連載について

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おいしい」をつくる料理の新常識

樋口直哉

食の博識、樋口直哉さん(Travelingfoodlab.)が、味噌汁、ハンバーグ、チャーハンなどの定番メニューを、家庭でいちばんおいしく作る方法を紹介します。どういう理由でおいしくなるのか、なぜこの工程が必要なのかを徹底的に紹介し、...もっと読む

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    naoya_foodlab カレーうどんです。片栗粉よりも炒めた小麦粉のほうがおいしい。市販のかくつゆ+カレールー+牛乳でもいいのですが一度は出汁をとってみると「こんなものか」とわかりますりワンランク上のカレーうどん|樋口直哉 @naoya_foodlab |https://t.co/lIgrOekOLb 約10時間前 replyretweetfavorite