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【ドラニュース】中日・吉見が同じ“猫背” の巨人・菅野そしてソフトボール上野由岐子から得たヒント 昨季1勝からの復活はノーワインドアップで2020年5月9日 12時21分
[蔵出し先出しエピソード]『背水』『崖っぷち』。昨季わずか5試合の登板で1勝に終わった吉見一起投手(35)は険しい表情で、自らの置かれた立場を口にしていた。「ダメなら終わり」と悲壮感を漂わせた男は、選手生命をかけ、大きな変化を選択した。 エースとして君臨していたころのように、ノーワインドアップに戻した。投球フォームも構えてから両手を上げる位置をより高く、後ろにした。感覚的なものを含めれば枚挙にいとまがない。全ては、とある日の深夜の投球練習から始まった。 「これだというのがあったんです」と吉見が回顧したことがある。それがソフトバンクが巨人に4連勝して終えた昨年の日本シリーズから数日後の10月末のこと。場所はナゴヤ球場に隣接する屋内練習場。時計の針は午後11時を指していた。選手は誰もいない。静寂に包まれた屋内練習場ブルペンで、吉見は懸命に腕を振っていた。 ちょうどこの数日前。吉見は自主トレなどでお世話になっていた鴻江寿治トレーナーと話をしたそうだ。巨人の菅野やソフトバンクの千賀も師事する名トレーナーに、「菅野と同じ体」と言われた。ともにやや猫背で、他にも共通点を多数指摘された。そしてその体にあった投げるポイントを助言された。 投げる前の構えでは、体を反り気味にする。かかとで立つようにし、左足を上げるときはつま先を意識する。左足が地面に着き、右足で一気に押し込む。苦境を打破するため、大改造に乗り出した。ひたすら投げ、これでいくー、と思えたのが、夜更けの孤独な投球練習だった。 意外な人物からの後押しもあった。それがソフトボールで日本に金メダルをもたらしたエース、上野由岐子だった。「同じ鴻江さんが師匠で、上野さんも猫背で一緒なんです。上野さんにも『吉見君はこうした方がいいよ』と言ってもらったりしました」。同じ癖を持つ人の言葉も響いた。 もちろん、投げ方を変えたら結果が出るというものでもない。「反骨心というんですか、負けん気ですね。パンクするまでやってやりますよ」。そう口にしていたように、折れない心があってこそ。鬼気迫る雰囲気をかもしながら励んでいた日々。開幕はまだ迎えていないが、きっと今季は吉見が躍動する姿を堪能できると思う。(島田明) PR情報
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