[PR]

 新型コロナウイルスの感染拡大で、家賃の支払いが難しくなった事業者を支援する新たな仕組みの案を、与党が決めた。売り上げが半減するなどした中小事業者に家賃の最大3分の2を助成する。コロナ禍が続き、廃業の検討に追い込まれる事業者も少なくない。制度の詳細を詰め、早急に実施すべきだ。

 家賃は休業中も支払わねばならない固定費の中でも大きな費目で、その支援策は、中小の事業者を守るうえで課題となっていた。仮に緊急事態宣言が解除されても、感染拡大の防止に向けた取り組みは欠かせず、かつてのような経済活動には当面戻れそうもない。今回の家賃支援は6月分から半年間が対象で、事態の長期化を見据えた施策の導入は一歩前進といえる。

 ただ、今回の措置だけでは、中小事業者の経営は支えきれない。助成の上限は月50万円だ。東京都の標準的な家賃だというが、事業者は上限を超える分や助成対象外の3分の1の家賃は負担しなければならない。

 与党は、すでに導入されている金融機関からの無利子無担保の融資で資金繰りを支え、その後に家賃分を補助する仕組みを考えている。問題は、融資には事業者の申し込みが殺到し、実行が遅れがちなことだ。政府は手続きを簡素化し、融資の停滞を解消する必要がある。

 コロナ禍の直撃を受けている飲食業や劇場・パチンコといった娯楽業などは、標準的な事業者より1事業者あたりの家賃負担が多い。東京・銀座など家賃の高い地域の店もある。これらの事業者をどう支えるのか、知恵を絞らなければならない。

 地域の実情に詳しい自治体と連携することも一つの手であろう。全国一律の助成は国が、必要に応じた上乗せ策は自治体が、それぞれ担う。その際は、政府による財政面の後押しが欠かせない。

 与党案には、公明党が提案した、独自の家賃支援を行う自治体への政府による補助も盛り込まれた。その配分にあたっては、自治体の感染状況や財政力とともに、各地域の家賃相場にも目を配ることが求められる。

 政府・与党のコロナ対策は事態の深刻化に対応できず、後手に回ってきた。例えば4月に決めた今年度の補正予算では、中小事業者に最大200万円の現金の給付を決めたが、「1回限り」の措置で、不十分だと批判された。

 今回の家賃支援でも、野党は既に先月末に法案を衆院に共同提出済みだ。政府・与党は、雇用調整助成金や大学生の学費支援の拡充も検討中だ。追加対策の検討を加速し、2次補正予算案のとりまとめを急ぐべきだ。

こんなニュースも