第26話海弟の成長と閉ざされた住処にある者 中編
「どうしようか」
「すごいですね、魔物を1人で倒しちゃうなんて」
「いや、今これからどうするか決めてるんだけど…」
倒したから帰っていい。いや、後ろからきたって言う事は、まだ外にいるかもしれない。
「じゃあ、洞窟の中にいきませんか?」
「え?」
「えっ、あっダメなら……いいです…けど…」
「いや、ダメじゃない、ダメじゃない。けどイヤだ!!」
「それは、ダメって言う意味だと思いますけど…」
……そうだね。
「いこ」
「いかない」
「いこ」
「いかない」
「いこ」
「いかな…」
「い…どうしたんですか?」
「行くことにしよう」
「へ?」
いや、後ろからの視線がスッゴイいや。たぶん、村の若い衆だと思う。個人的に。
いくとかいかないとか言ってるからだ!!それと、最初に始めたのはこのこだ!!
「真っ暗ですね」
「そうだな」
そう言って、魔力でちっちゃい炎をだす。
「便利ですね~」
「魔力のコントロールの勉強は難しいんだぞ」
特に、師匠があれの場合。おかげで、すごいスムーズに魔法を使えるようになったけど…。
海弟と、少女はあるいていくと、ずっとまっすぐになっていて枝分かれもなし。もうすぐ行き止まりだ。
「行き止まりだな」
「まだです!!」
少女は走っていく。海弟も追いかける。どちらも転ぶ。
「いてて」
「……もう、突っ込まんぞ」
そこにいるのは、魔物。
「燃えろ」
『ジュエェ~』
「強いですね!!憧れます!!」
「もうちょっと、喋り方を直せ」
特に、泣きそうな時。
「ほら、行き止まり」
「魔法を使って掘り進めると言うのは…」
「無いな」
「残念です…」
そんな問題じゃないと思うがな…。
「それにしても、広いな」
「そうですねって、あれなんですか?」
指差している方向を見ると、少し光がある。
すごく、小さな光だが魔力の類を感じた海弟は近くによって見る。
「……妖精」
「妖精ですね…」
「ヒッグ、ふぇ?」
「泣いてる、ってこっち向いた」
「可愛いですね~」
「だ…れ?」
「怪しいもんじゃないぞ、特に魔物ではない」
「私も、人間ですよ!!」
「にんげん…」
和みムードの海弟たち。でもそれは長く続かなかった。
「妖精だと、捕まえて売れば!!」
「がっぽりだな」
「金持ちになれる!!」
3人の村人が出てくる。
「おい、あんた。もう魔物退治は終わっただろ、帰ってくれよ」
「そうだ」
「いや、この子と妖精がいるし…ってかさっきの聞こえてたし…」
「うられちゃう…」
「私が守ってあげるよ」
「おいおい、魔物退治を頼みに言ったのは俺たちだぞ」
「でも…」
3人と少女が話し合いをしているが、分が悪い。海弟と妖精は見ているだけだ。
「お前は、関係ないだろ」
「私も、きたもん」
「付いてきたなら俺たちもだろ」
「それに俺達は頼みにもいった。その報酬だったら「あ!!」なんだよ」
「報酬ね。んじゃ、このこ貰ってくから。じゃね」
「「「………あ!!」」」
「魔法使いさんナイス!!」
報酬として、妖精を貰った海弟だが逃がすことに決定。
「ほら、行っていいぞ」
「だめ…わたし、とべないの…」
「……難儀だな」
「うん…」
とりあえず、妖精を肩にのせて、村まで行くことにする。その間、妖精が捕まっていた籠みたいなのを点検。魔法石だけを貰っておく。
魔法石は、元の世界で言う電池的なものだと思ってくれ。電池を抜けば動かなくなる。そして、その電池は他のものにも使える。
「今回使った魔力回復~」
「まほうせき?」
「そうだぞ」
いや~、妖精1人いるだけで、和む。この子ほしい。
回復し終わり、ポケットに入れて村の宿屋に行く。今日はここで夜を明かす。
一室に着き、妖精をおろす。
「ん、そういや名前は?」
「ふぇーるっていいます。みんなからはえっと、ふぇーってよんでもらってます」
「ん、フェーね、俺は風詠海弟っていう。よろしく」
「うん!!」
笑顔、和む。これなら、きた甲斐あったな。
青空とダブルで来たら俺、ヤバイな。
「かいで、だれかきたよ」
コンコン
こいつ、気配を感じ取れるのか。俺も感じ取れるけど、気配の種類がちがうからな~。
「っと、今あけます」
ガチャ
「こんにちわ」
「……村娘その1久しぶり」
「そういえば、自己紹介をしてなかったですね」
怒らない子サイコー。
「ジューネっていいます」
「風詠海弟って言う」
「ところで、カイデさん」
「なんですか、ジューネさん」
「妖精ちゃんは?」
「机の上だ」
「わ~、かわいい~」
「えっと…」
「そいつの名前は「ちょっと待った」は?」
「名前、教えてもらったの?」
「ん?まぁ」
「……、帰る」
「さいなら」
「追ってこないでよ!!」
このパターン嫌いだ。しかも、
「ゴメン、行って来ていい?」
「また、あのひとたちこない?」
「……」
俺、どうしたらいい?
さて、今回は~っと。
ハマネ・クルトフ・ガセルーン 男
レティナの文官さんです。でも、魔法も使えて武官にならないか?とか誘われてます。(断ってますけど)
信頼できる部下って大切ですよね。裏話(ちょいと天然はいってます)