東京地裁(永渕健一裁判長)は、東電福島第1原発事故で勝俣恒久元会長ら3被告に、無罪判決を言い渡したけれど、東電の加害行為(放射性物質、汚染土、汚染水処理)は、いまでも続いている。

2019/09/20 ブログ
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「所詮、裁判官は、政治権力と一体だから、最高裁までいっても結果は同
じ。裁くことはできない。国民の手前、ジェスチャーをしているだけだ。原発
事故は、不慮の事故であって、個人の責任ではないということ」-という批判
が渦巻くなか、東京地裁(永渕健一裁判長)は9月19日午後、2011年3
月の東京電力福島第1原発事故をめぐり勝俣恒久元会長(79)、武黒一郎元
副社長(73)、武藤栄元副社長(69)の3被告に対して、いずれも無罪
(いずれも求刑・禁錮5年)の判決を言い渡した。3人は業務上過失致死傷罪
で強制起訴されていた。検察官役の指定弁護士が控訴すれば、控訴審でさらに
争われることになる。東京電力による加害行為(放射性物質、汚染土、汚染水
処理)は、いまでも続いている。全国の原発に作業員を送り込んできたプロ
は、福島第1原発で働いている現場作業員から聞いた恐るべき実態について、
以下のように伝えている。


 安倍晋三首相が、東京オリンピック・パラリンピック招致演説のなかで、福
島第1原発の放射能汚染水について、「福島について、お案じの向きには、私
から保証をいたします。状況は、統御されています。東京には、いかなる悪影
響にしろ、これまで及ぼしたことはなく、今後とも、及ぼすことはありませ
ん」と述べ、「アンダー・コントロール」と力説したのは、真赤なウソで、
「汚染水は4~5年前から、深海に放水されている。小泉進次郎環境相は、本
当のことを聞かされていない」という。
 小泉進次郎環境相は、就任早々、福島第1原発の汚染水の問題で謝罪した。
これに対し、大阪市の松井一労市長が、「大阪湾に流す」と言った。だが、あ
れは物議を醸しただけで、すでに福島では4~5年前から、直系25センチのパイ
プを山ほど伸ばして、400メートル海底に汚染水を放水している。黒潮と親潮
がちょうどぶつかる岩手県の三陸海岸沖あたりの海域「潮目(しおめ)」で、
黒潮と親潮が混ざっているところは太平洋の真ん中に流れていく。海底に流し
た汚染水は、太平洋の真ん中に流れていくので、それに乗せてしまえというこ
とで海底に捨てている。それも海底200メートルだと、潮の流れが激しく、汚
染水が拡散してしまうのだが、海底400メートルとなると、海流は1日に2~3
センチから4~5センチ程度しか流れて行かない。海底深くで少しずつ流れてい
けば、ゆっくりゆっくり太平洋の真ん中へと流れていくため拡散せず、放射能
も大人しくしており、そのまま半減期(放射性元素の原子の量が、はじめの半
分になるまでの時間)を迎えていくと考えられている。まさに苦肉の策だろ
う。
そういうことで、もう事故が起きる前からかなり捨てていた。東電は25年間、
流し続けている。東電は、氷の壁をつくって汚染水が海に流れるのを止めよう
と、ずっとパイプを打ち込んで地下まで凍らせて汚染水を堰止めしようとした
が、失敗した。そのため、もうどんどん海底に垂れ流している。これで、もう
魚は食べられなくなるといわれている。
 北海道古宇郡泊村にある泊発電所も、海底の潮に乗せて三陸沖に流して、そ
こから太平洋の真ん中に流している。タンクで貯めていっても汚染水はどんど
ん出てくるわけで、いつまでもタンクを置いておくわけにはいかないので、捨
てていかないとタンクの置き場がなくなっていく。タンクも足りなくなる。だ
から、裁判所も大臣の発言も、全てがジェスチャーだろう。ただ、実際に小泉
進次郎環境相や前任の原田義昭前環境相が、どこまで知っているかどうかはわ
からない。

 福島第1原発で働いていた人たちは、現場にいくための交通費は1人5万円
出したものの、現場で鼻血まで出しながら働いたけれど、結局、契約した相手
の社長が、覚せい剤の常習者で、日当1万5千円の給料は不払いで裁判沙汰に
なった。しかし、そうした不払いの下請け会社が他にもたくさんあったため、
国は下請け会社を整理して大手派遣会社を通すようにした。
 当時、働いた人たちは健康被害が著しく、東京都台東区北東部にあった「山
谷地区」や大阪市の釜ヶ崎・あいりん地区から人がいなくなった。みんな福島
第1原発の現場に派遣され、放射線量がひどくなったら、別のところに移さ
れ、結局は健康を害して、帰ってこないまま死んでいくためだ。
 いまでは、みんな、帰って来れないことを知って「原発は行きません」と
キッパリ断るため、外国人労働者が派遣されるようになった。日本の原発で仕
事をしたら、何百万円ももらえて、さらに何年か働いたら市民権ももらえるな
どと言われて、どんどん派遣されてきた。
 事故発生直後の4号機のプールでは、フィリピン人が何人も泳いで瓦礫を撤
去した。そこは、どうしても人間が入らないと除去できない状況で、どうして
も機械では操作できなかったためだ。プールで泳いだ人たちは、4~5日で体調
を崩して帰国した。だが、帰国後は、みんな死んでいる。プールを泳がせたの
だから、犯罪に等しい。ちょっと泳いで瓦礫を除去したら、300万円といわ
れて、「よし、やるぞ」と言って来た人たちで、それがどれだけ危険なプール
なのかはよくわからないで引き受けていた。そうしたことを平気でさせて来
た。プールの瓦礫は除去できたので燃料棒1200本程度は抜き取られて保管庫に
入れている。いまは、人を泳がせたりはしていないが、そのとき泳いだ何十人
かは死んでいる。

汚染土は、米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設をめぐ
り、埋立地に、汚染水は太平洋に捨てている。これが現実だ。
 しかし、外国人労働者の間でも、情報が伝わっていて、当然のことだが原発
の仕事はいくら条件のいいおカネを貰えるといっても「嫌だ」とみんな断って
きている。
 海岸べりの放射線量は半端じゃない。2.5キロほど近くまでいって写真を
撮ってきた人が話していた。もっと近くに行こうとしたけれど、体が締め付け
られるように息苦しくなり、それ以上近づけなくなった。そして半年後に亡く
なった。
いまも水蒸気が物凄く出ている。それが関東一円に散らばっている。小児がん
や乳がんが増えている。
 ここへきて、韓国が日本の放射性物質や汚染水処理について批判をしてい
る。韓国は8月23日より、日本産の農水産物や加工食品17品目ついて、放射性
物質の検査回数と検査するサンプル量を2倍に強化すると発表した。だが、当
の韓国は、日本の6倍ものトリチウム濃度の汚染水を流していた。「6倍じゃな
いか」と言われて、韓国は黙ってしまっている。しかも、韓国は放射能廃棄物
を露天に捨てており、それが日本に飛んできている。日本のことを言える立場
ではない。
 小泉進次郎環境相も前の原田義昭前環境相も、どっちも国民騙し。しかし、
もうどうしようもない。オリンピックを開催して、大丈夫なのかという声もあ
るけれど、世界中の原発から放射能が漏れているので、仮に日本に来て被爆し
たとしても、日本の放射能との因果関係は証明できない。フランスもイタリア
もどこでも、原発事故を起こしているからだ。
 【参考引用】
 朝日新聞DIGITALは9月19日午後4時39分、「東電会長ら旧経営
陣3人に無罪判決 原発事故で強制起訴」(阿部峻介)という見出しをつけ
て、以下のように配信した。
https://www.asahi.com/articles/ASM9M35HBM9MUTIL008.html
 2011年3月の東京電力福島第一原発事故をめぐり、旧経営陣3人が業務
上過失致死傷罪で強制起訴された裁判で、東京地裁(永渕(ながふち)健一裁
判長)は19日午後、勝俣恒久・元会長(79)、武黒(たけくろ)一郎・元
副社長(73)、武藤栄・元副社長(69)の3被告にいずれも無罪(いずれ
も求刑・禁錮5年)の判決を言い渡した。検察官役の指定弁護士が控訴すれ
ば、控訴審でさらに争われることになる。
 3人は、原発の主要施設の敷地の高さ(約10メートル)を上回る津波が来
ると予想できたのに対策を怠って事故を招き、4・5キロ離れた双葉病院(福
島県大熊町)の入院患者らに避難を余儀なくさせ、44人を栄養失調や脱水症
状で死亡させたなどとして強制起訴された。
 判決は、3人が10メートルを超す津波の情報に接したのは08年6月~0
9年2月ごろで、それから浸水対策や高台への施設移転などの工事を始めても
東日本大震災までに完了したか明らかでないと指摘。事故を防ぐには11年3
月初旬までに運転を止めるしかなかったが、生活・経済を支える原発の「有用
性」を踏まえれば、その判断にはあくまで当時の安全基準に基づいた慎重な検
討が必要とした。
 その上で、10メートルを超す巨大津波を予見できたかを検討した。「決定
的に重要」な判断材料としたのは、国が02年に公表した地震予測「長期評
価」だ。東北沖でマグニチュード8・2前後の津波を伴う地震が来る可能性を
示したもので、東電子会社はこれに基づく計算で08年3月、原発に「最大1
5・7メートル」の津波が来るという予測を報告した。
 判決は3人が接した長期評価について「具体的な根拠がなく、専門家から疑
問が示され、自治体の防災計画にも反映されないものだった」と指摘。予見可
能性を生じさせる情報だったとはいえず、大きな影響を生じさせてまで運転を
止める判断をするには相当の困難があったとした。判決理由の読み上げは午後
4時半ごろに終わり、閉廷した。