体内に埋め込んで妊娠をコントロールする無線式「避妊インプラント」、販売へ
一度体内に埋め込めば、16年間にわたり遠隔操作での避妊を可能する装置が、2018年に店頭に並ぶ予定だ。
TEXT BY LIAT CLARK
PHOTO COURTESY OF MICROCHIPS
TRANSLATION BY MIHO AMANO, HIROKO GOHARA/GALILEO
WIRED NEWS (UK)

リモコン操作が可能で、16年間機能が持続する無線の避妊インプラントが、2018年に米国の店頭に並ぶ予定だ。
チップ自体の大きさは2×2×0.7cmほどで、臀部、上腕、または腹部の皮下に挿入する。このチップから、ホルモン剤のレボノルゲストレルが毎日投与されることになる(レボノルゲストレルは黄体ホルモン剤のひとつで、経口避妊薬・IUD〈子宮内避妊具〉・緊急避妊薬などの有効成分として用いられている)。
このチップの素晴らしいところは、16年にわたって避妊できるだけのホルモン剤を蓄えておけるという点だ。
その間、維持管理も不要だ。体内のチップは安全なケースに覆われており、1回分の30マイクログラムが放出される間だけ、薬剤が蓄えられている領域に電流を流し、シールを溶かす。
同様に機能するインプラントで、3年程度持続するものはすでに存在し、およそ99%の有効性を示している。だが、特に大きな違いは、この新しいモデルが完全に遠隔操作できるという点だ。スイッチのオンオフだけで、不快な処置なしに、女性が自分の受精をより主体的に制御できるようになるという。
この画期的な装置を開発したのは、マサチューセッツ州に本拠地を置くMicroCHIPS社だ。同社のロバート・フェラ社長はBBCの取材に対して、遠隔操作がほかの人からハッキングされる可能性については、安全な暗号化を使用すると述べている。「インプラントとの通信は、皮膚と接触するレベルの距離で行う必要がある」とフェラ社長は説明した。
MicroCHIPS社は2012年に、体内にインプラントする薬物送達システムの臨床試験に初めて成功したことを発表した。
その後、ビル・ゲイツが同社の研究所を訪問したことをきっかけにして、同社は避妊技術に目を向けるようになった。避妊は、ゲイツ氏の慈善団体「Bill & Melinda Gates Foundation」が重点を置いている公衆衛生問題のひとつだ。
同社は今回、米国で来年開始される臨床試験が成功したら、この装置は2018年までに利用可能になるだろうと発表した。
パリに出現した「アルマジロ型のビル」:ギャラリー
プリツカー賞を受賞したレンゾ・ピアノの建築事務所が設計したアルマジロ型のビル。建物に挟まれた狭い敷地を有効活用するための設計で、日照問題やプライヴァシーの問題も解決しているという。
IMAGES COURTESY OF RENZO PIANO BUILDING WORKSHOP
TEXT BY MARGARET RHODES
TRANSLATION BY MINORI YAGURA, HIROKO GOHARA/GALILEO
WIRED (US)
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1800年代のパリは、信じられないほど建物が密集していて汚かった。いまではパリの特徴となっている広い大通りや風通しのいい都市広場は、ナポレオン3世時代の政治家ジョルジュ=ウジェーヌ・オスマンの構想に従って、1800年代後半に建設されたものだ。
そうした通りのひとつが、13区にあるゴブラン通りだ。この広い大通りを建設するために、オスマンは古い映画館を含む近隣の建物をすべて取り壊して、奇妙な三角形の街区の中に移動させた[ギャラリー#2]。
この土地が、今回の建築の舞台となった。建築界のノーベル賞とも言われる「プリツカー賞」を受賞したイタリアの建築家レンゾ・ピアノの建築事務所は、建築にはふさわしくないかたちの非常に狭い土地と取り組まなければならなかったのだ。
だが、制限があるからこそ、想像力が掻き立てられることも少なくない。このケースではそれが、パリの通りに体を押し込んで進む巨大アルマジロさながらの、アーチ状に湾曲したドーム型建物につながった。
パテ・ジェローム・セドゥー財団(フランスの映画制作企業パテ・グループの一部)はオフィスビルを必要としていたが、今回のスペースに元々あった映画館では、オフィスに必要なスペース分がとれなかった。
レンゾ・ピアノ・オフィスの建築主任トーステン・サールマンらのチームは、長方形の建物ではなく、傾斜した円形の建物を設計。近隣住民向けに、計約558平方メートル超の中庭なども設けた。
また、1階部分と近隣の建物の間に距離を取ったおかげで、Pathe Foundationの新しいビルをガラス張りにして、自然光が1階にもっと届くようにできた。
3階から上の階は、隣接する建物の正面が近づき始めるので、サールマン氏らのチームは、外壁を穴の開いたアルミ製サイディングで覆った。内側からは外が見えるけれども、外からは不透明に見え、プライヴァシーがあるような錯覚を生み出せる。
もとの映画館は歴史的価値がないと評価されたこともあって取り壊されたが、ファサード(正面)の彫刻は別だった。「ファサードの彫刻は、ロダンが学生時代に、金が必要になって制作した作品だ。この2つの彫刻がロダンの作品であることは誰もが知っているので、『ロダンの映画館』として知られていた」とサールマン氏は語る。
ファサードを残すため、アルマジロ型のビルは2つの部分に分けて建設することになった。
通路部分のアトリウムは、まず中庭を通った後、螺旋階段につながる。この螺旋階段でドームの中を上がっていく造りになっている。